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2017-10

【コンサートその10 上海フィルハーモニック管弦楽団 東京オペラシティコンサートホール 2017.10.5】 - 2017.10.06 Fri

 アジアオーケストラウィーク2017の一環として。
 実は東京に来るまで、こうしたイベントが2002年から続いていることを知らなかった。
 文化庁が外国のオーケストラを独自に招聘する唯一のイベントなのだという。
 今回は、ホストは関西フィル。アジアからのゲストは、上海フィルハーモニック管とマレーシアフィル、
 上海フィルを聴く。

 曲目は、芥川也寸志の弦楽のための三楽章「トリプティーク」、ショパンのピアノ協奏曲2、ドヴォルザークの8番。
 指揮者はリャン・ツァン。ピアニストはジェ・ヤン。

 まずトリプティークの二章がよかった。全般には、アンサンブルの精緻さなどがやや崩れて気になる時もあるのだが、日本の地方オケと十分比肩する。しかもこの二章のような繊細で情緒的な曲には、東欧の桶を思わせるような温かい弦の響きが満ち、幸せな気持ちになった。ショパンの2番協奏曲も、そういう意味では、楽団の適性を考えた選曲だと思う。ピアノのジェ・ヤンも丁寧で時折しずくが零れ落ちるような美音を披露してくれた。
 8番の最終楽章に見せた、がむしゃらな推進力も、若々しく希望に満ちていて、なんともすがすがしい気持ちになるオーケストラだった。
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 客は6割くらい。
 ちなみにぼくは最上階の席でなんと1030円。ヨーロッパのオーケストラやオペラハウスは学生などは、ワンコインで聴ける席もあると聞いたことがある。そういう意味では、文化庁、宣伝不足だけど、とてもいい。でも、日本人のヨーロッパ志向があらわになるなあと思う。
 パンフレットには、15年の歴史も収められており、ぼくが知らないオーケストラもたくさんある。
 ヨーロッパに追い付け追い越せだった時代は、ぼくらの国にはたしかに必要だった。が、なんというか、その間に、もっとも大切なアジアの隣人の成長に全然目を向けずに来ているんだと実感する。

教師教育メールマガジン31号千葉孝司さんです! - 2017.10.06 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」31号
           2017年10月6日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 教師を変化させる3つの力
              音更町立音更中学校教諭
                ピンクシャツデーとかち発起人代表
      千葉 孝司
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 31号は、千葉孝司さんです。いじめ・不登校に関わる積極的な提案と
社会啓発運動とに精力的に取り組んでこられました。書籍や執筆も多数。
北海道の中学校教諭です。               (石川 晋)
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3つの変化
 成長とは望ましい方向への変化です。その変化させようとする力の方向
は3種類あると私は考えています。教師にとって先輩から教わることは
「上からの変化」と言えます。職員室文化を若手に継承させようとする営
みは、上からの変化です。職員室には、教育という技能者の集まりという
側面があり、上からの変化は不可欠です。しかし、上からの変化には最大
の敵が存在します。それは子どもの変化であり、保護者、地域の変化で
す。時代適合性を失った集団は、一気に無力化します。

 そんな中で職員室の中で無条件に受け入れられている考えに、疑問を投
げかける者も現れます。これを「下からの変化」と呼びましょう。たとえ
ば、画一的な教室に多様性を持ち込もうとし、先輩教師の眉をひそめさせ
るような行為です。これらの変化が受け入れられるかどうかは、言説の正
しさよりも職員室の人間関係や力関係によることが多いでしょう。上から
の変化は押し寄せる波のように下からの変化という砂の城を削っていきま
す。
 現在、民間教育のセミナーなどで得られる提案性のある実践は、この下
からの変化を後押しし、力を与えるものでもあります。
 
 さらに3つ目の方向があります。それは「水平的な変化」です。社会の
求め(単純には言い難いが)に応じて、学校、職員室が変化することで
す。アクティブラーニングや特別支援教育の出現、シフトチェンジは、少
なくとも職員室からの発信ではないでしょう。
 
 ことさら教師教育という言葉が語られる現状は、上からの変化だけでは
不十分だということを意味しています。
 おそらく教室から越境できる者が、下からの変化、水平的な変化を生み
出し、対応していくのでしょう。
 教師教育において、これら3方向の変化を意識することは、時代適合性
を失わず、一人ひとりの子どもを生かし、育むことになるのではないで
しょうか。


自分自身の3つの変化
 幸か不幸か、私が初任で務めた学校は、荒れの中にありました。そのた
め立て直しのために優れた実践家が集められたようです。そして数年で荒
れは収まり、その過程を体感することができました。良質な上からの変化
を得られたと感謝しています。
 初任校では、2度卒業担任をもたせてもらいましたが、そのどちらにも
一人ずつ学校に来られない生徒がいました。不登校に関しては、先輩教師
達に相談しても納得のいく答えは得られませんでした。多くは、「学校に
来なければどうしようもない」というものです。無理もありません。登校
拒否という言葉も現場には残り、力づくで教室につれてきたという担任が
英雄視された時代の名残もあった頃のことです。登校刺激は状況を悪化さ
せるという意見は、専門家たちからは出されていましたが、現場に浸透す
るまでには時間がかかっていました。自分の無力さに悔しさを抱えながら
二校目へと転勤しました。
 その後不登校について勉強を続けました。百数十冊の不登校に関する書
籍を読み、カウンセリングの研修に足を運びました。不登校の当事者の集
まりで親の声を聞きました。不登校経験者の叫びを聞きました。すると自
分の学級のみならず、関わる不登校生徒が、ウソのように再登校できるよ
うになってきました。しかし、その手法も、すんなりと受け入れられたわ
けではありません。
 「不登校は生徒のわがままだ」と決めつけられ、「そうやって甘やかせ
るからダメなんだ」といった声もなかったわけではありません。しかし、
その声も次第に耳に届かなくなりました。

 そして今自分は、後輩教師に次のように伝えています。「学校に来なけ
ればどうしようもないということではない。学校は校舎が大事ではなく生
徒が大事。家にいたって大切なクラスの生徒。場所にとらわれるんじゃな
く、まずは良好な関係をつくろう。そこで大切なことを伝えられたら、そ
れが玄関先だって、学校になる」
 
 不登校を勉強し、自分のクラスを超えて多くの不登校生徒とかかわるう
ちに、いじめについても考えざるを得なくなりました。不登校になりかけ
て、心のエネルギーが落ちている生徒、自分の存在が承認されるかどうか
に敏感な生徒にとって、教室のいじめは致命的です。たとえ自分がされて
いなくても、次は自分という不安を高めてしまいます。
 そこでいじめ問題に取り組みはじめます。そこでぶつかったのが、「い
じめられる側にも原因がある」といういじめを許容する考えです。
 仮にいじめられる側の原因をなくしたところで、いじめる側はターゲッ
トを変えるだけです。いじめは終わらないのです。いじめは、いじめられ
る側ではなく、いじめる側の攻撃性にこそ原因があるからです。
 その攻撃性を目立たなくしたり、後押ししたりするのが周囲の空気で
す。日本の子どもは空気で動く。そしていじめを許容する空気は大人社会
にも厳然としてあります。いじめをした側の親が、された側の親に対し
て、「どうして、うちの子は、あなたの子をいじめたんでしょうね」と口
にすることさえ耳にしました。

 大人も含めて、空気を変えるには、どうすればよいでしょう。そこで出
会ったのがカナダ初のいじめ反対運動ピンクシャツデーです。
 
 2007年、カナダでピンクのシャツを着てきた男子生徒が、男らしく
ないという理由でいじめをうけます。それを聞いた先輩が、翌日周囲にピ
ンクの服を着ることを呼びかけました。実際に校門前にディスカウント
ショップで買ったピンクのシャツを多数置きます。
 するとメール等でその話が広がり、翌日学校はピンクの服や小物であふ
れました。このエピソードがラジオやネットで広がり、2月の最終水曜日
がピンクシャツデーとなりました。現在いじめに反対する日として世界中
に広がっています。

 2013年の2月。ピンクシャツデーイベントを北海道帯広市で開催し
ました。平日の夜に200人を超える人が集まってくれました。その場に
は、かつていじめで苦しんでいた大人も参加しました。
 先日も北海道の美深小学校で、ピンクシャツデーインびふかとサブタイ
トルをつけ全校児童に授業をしました。そこではピンクの付箋にどんな学
校にしたいかを書いてもらい、模造紙に貼り付け、大きなピンクのTシャ
ツをつくりました。
 これまで数千人の人に、いじめについて話させてもらいました。その多
くは、児童生徒よりも大人です。私はささやかながらも水平的な変化を目
指しているのです。
 社会に対して、いじめはされる側の問題ではなく、する側の問題である
という波を起こそうとしています。いつか、それはさらに大きな波となっ
て学校現場に返ってくるでしょう。
 「いじめはする側もされる側も周囲も傷つける行為だ。子どもは全て大
切な存在だ。あなたを大切に思っているよ。だから、いじめはやめなさ
い」と。

 こういった場には現場の教員だけではなく、教員志望者も参加できま
す。そこで生まれる結びつきは、教師教育に十分資するでしょう。私自
身、3つの変化にかかわることを体験してきて、意識が大きく変化してい
ることを感じます。その意識の変化は、結局何を見てきたかということに
よるでしょう。
 子どもを理解するということは、学校での姿を知ることだけではなく、
ときには親の苦しみを知ることでもあります。学校という定点から見える
子ども、親の姿は、学校に見せる顔でしかありません。
 職員室から見える現実が全てと思わずに越境することが大切だと感じて
います。

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 いじめや不登校について様々な指摘がなされながら、学校現場でも民間
研修の一部でも変わらぬ根性論が少なからず巣くっているのが現状です。
千葉さんのお仕事を同じ十勝の教員として比較的間近に見ることができた
私は、千葉さんの仕事を大変深くリスペクトしています。千葉さんのお仕
事は「学校」という枠組みを越境する場所で広く展開されてきました。こ
うした活動に教員志望者が関わることで、大きな変化が起こるという千葉
さんの指摘、うなづけます。
 FBのアカウントをお持ちの方は、
https://www.facebook.com/Pinkushirtdaytokachi/
ピンクシャツデーとかち
https://www.facebook.com/koji.chiba.520
千葉孝司さん
などのアカウントにつながってみてください。千葉さんの広範なお仕事や
直近の活動を知ることができます。

 次号は、10月10日。長尾彰さん。ユニークで広範な活動で知られる
ファシリテーターです。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
31号(読者数2544)2017年10月6日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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教師教育メールマガジン30号、加茂勇さんです! - 2017.10.04 Wed

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メールマガジン「教師教育を考える会」30号
           2017年10月3日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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「特別支援教育」と「障害児教育」、そして、当事者理解と自己理解

     障害をもつ子どもと教育実践研究会 世話人
     教育科学研究会 全国委員 「発達障害と教育」部会世話人
                 新潟県 公立小学校教員 加茂 勇
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 30号は、加茂勇さん。国内で一番大きな民間教育団体である教育科学
研究会の「発達障害と教育」部会の世話人をされています。丁寧に書いて
くださいました。                   (石川 晋)
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 いろいろ書こうというものは、たくさんあったのですが、いざ書くとな
ると難しいものです。こちらのメルマガでは、障害児教育とか特別支援教
育の関係者ということでは、赤木さんや田中さんも書かれているので、
「どのように差別化するのがいいのかな?」とか「面白くするにはどうし
たらいいのかな?」なんて考えながら、文を打っているところです。

1 自己紹介

 では、まず、最初に自己紹介をしようと思います。名前は加茂勇です。
趣味はマラソンや写真撮影、ドライブです。今もフルマラソン、ハーフマ
ラソンにがんばって挑戦しています。また、僕は新潟県で教師をしていま
す。漫画では、鋼の錬金術師が好きです。
 ただ、教師ということでは、毎回、所属と校務分掌が大きく変化してい
るので下に示します。

1校目 特別支援学校小学部                 3年間
2校目 特別支援学校高等部                 3年間 
3校目 小学校通常の学級 兼 特別支援教育コーディネーター 4年間 
4校目 大学院派遣 上越教育大学 特別支援 認知心理学研究室 2年間
5校目 小学校生活指導主任 兼 特別支援教育コーディネーター 2年間
6校目 小学校特別支援学級 兼 特別支援教育コーディネーター 1年間
(ちなみに3校目と5校目は同じ学校です)

 気が付くと、今年で15年も教師をしているのですが、僕の経験してき
た職場は、学校種も違いますし、対象となる子どもの年齢も違います。さ
らには、当然ながら、発達段階も全然違うというというところで仕事をし
ています。これだけ、コロコロと変わる仕事をしている人はあまりいない
のではないかと思ってしまいます。
 対象となる子どもに応じて、教師もキャラクターを変えることになりま
す。小学部の頃には、まるで「おかあさんと一緒」のお兄さんのようにテ
ンションをあげて接していました。(ただ僕はそんなにというか、むしろ
全くテンションが高い人間ではないので、テンションを上げて接するとい
うことは、かなり大変でしたし無理していました)そして、高等部の子ど
もたちに対しては、一番身近である大人として、落ち着いた雰囲気で接し
ていました。(そうそう高校生という大きな子どもに対応するために、ジ
ムにも通って筋トレもしていました。そして太ってしまいました。涙)
 小学校に異動した後、担任をしないで生活指導主任と特別支援教育コー
ディネーターの時には、とにかく自分の心を開いてくれる存在である様に
ひたすらちょっかいを出す人でいました。(ちょっかいを出すことでかか
わろうとする戦略だったのですが・・・)
 仕事内容は変わっていますが、共通していたのは、それぞれの子どもや
保護者、家族に対して丁寧に接するということでした。さらに言うと、相
手の痛みをしっかりと我がことのように感じることを心がけていました。

2 学生時代のエピソード

ここで、1つ学生時代のエピソードを話します。学芸大学時代の話なの
ですが、僕の面倒を見てくれた研究者がいました。その研究者の行ってい
る学習支援活動等にも僕は数多く参加していました。基本的には、熱心で
障害児やその家族のことをいつも真剣に考えている研究者でした。(後か
ら出てくる森博俊先生ではありません)
 でも、その人はいざ相談にのったりするときには、冗談を言いまくった
り、ふざけているのではないかと感じるくらい力の抜いた話をしたりする
のです。当時はかなり真面目だった僕は「○○先生は、何でしっかりとし
た知識もあるのに、そんないい加減に話すのですか?」ときつめに質問し
ました。するとその先生は「障害児やその家族は、いっぱい傷ついてきた
し、これからも傷ついていくんだよ。真面目に相談にのると良い部分もあ
るけれど、それだけでは、きつい部分もある。だからこそ、冗談なんか言
いながら、笑いながら、軽い感じで話し合える関係の人も必要なんだ」と
いうような説明をしてくれたのです。(20年近く前の曖昧な記憶を元にし
たイメージです)この答えに対して、僕は「おぉー、凄いなぁ」と感動し
てしまい、多くの影響を受けてしまったのです。
 ですから、僕は子どもたちと接するときも、教育相談等で保護者と接す
るときも、軽い感じで、ユーモアを大事にして接することを心がけていま
す。相手が萎縮せずに対等でフラットな関係を目指しています。(ただ、
昨年、特殊教育学会で、その研究者にこのことを話したら、全く覚えてい
なくて、『いつも俺は真面目に話しているはずだ』と全否定されてしまっ
たのですが・・・)

3 「障害」と「障碍」、「障害児とその家族」に向き合う際に

 次に少し真面目なリアルな話をします。まずは次の文章をどうぞ。
(ちなみに保護者からは了解を得ています)

 『先生はじめまして。A男の母の○○です。今年1年間どうぞよろしく
お願いします。前年2年生の時も先生からもお聞きになっているかもしれ
ませんが、A男は発達障害の傾向があります。勉強の面では問題ないので
すが、人とのかかわりの面で少し苦手な部分があります。生活指導の先生
のご紹介で大学病院の先生より診断していただき、お手紙を書いてもらい
ました。今日の連絡袋の中に入っていますので、ご一読いただければと思
います。よろしくお願いします。先生と連絡を取り合いながらどうしたら
A男にとってよい道なのかを親も考えていきたいと思います。ご迷惑をお
かけすることも多々あると思いますが、温かい目で見ていただければと思
います。どうぞよろしくお願いいたします』

 これは、僕が小学校で通常の学級の担任をしたときに、4月の初日に保
護者からいただいた連絡帳です。保護者は、非常に子どもに愛情をもって
かかわってきました。そして、担任や周りの大人にも分かってもらいたい
と思いながら生きてきたことが分かります。と同時にまわりに気を使いな
がら、必死に生きてきた姿も感じ取れました。(ひたすらお願いしまくっ
ているのです)そして、保護者は僕が障害児教育のことを少し知っている
ということも分かりませんでした。僕はこの連絡帳の文章を見て、切なく
なると同時に、まだまだ発達障害のある子どもと家族にとって、世の中は
つらいものとして存在しているのだと知ったのでした。僕は、このような
家族には、教師が味方なんだと伝える必要があると考えました。そして、
もう少し子どもにも家族にもゆったりと困難に向き合えるようにして欲し
いとも願ったのです。
 
 昨年までいた学校では、僕が教育相談を1年間に合計で平均80件くら
いも行っていました。僕は、A男とその家族とのかかわりの中で学んだこ
とが多くありました。だから、一度に解決するのではなく、ゆっくりじっ
くりと相手の話を聞きながら、選択肢を提供することを大事にしてきまし
た。障害児関係の相談も生活指導関係の相談も問題があるからするのでは
なくて、「問題がなくても話をすると楽になるよね」「いろいろと語るこ
とで分かることもあるし、つながっていくといいよね」ということを大事
にしてきたつもりです。そして「お母さん(もしくはお父さん)ももっと
ゆっくりと気分転換した方がいいですよ」と伝えてきました。そういうこ
とをするためには、話し合いという場を気軽に頼める関係性を構築し、楽
しく話すことができるように会話の中のユーモアを意識してきました。
 障害児教育関係や生活指導関係の相談というものは、発達と密接にリン
クしています。ですから、これが良くなったと思ったら、また、新たな問
題も出てくるし、その後にもまた違う不安があったりするのです。それら
に対して、僕たちはアタフタしてしまうし、動揺もしてしまうのですが、
「それって面白いよね」みたいに笑えるような雰囲気や「それくらいたい
したことないよね」と許しあえる余裕が大事だと思うのです。
 「問題に見えることというもの」も、見方を変えると「子どもが発達を
願うために出てくる発達要求の行動」だと感じあえるようになったら最高
です。よく最近流行のhow to本などで、「こうすれば解決」みたいなもの
がありますよね。あれって大事です。教師や家族も、ある程度は支えられ
ているでしょう。しかし、確かにそれによって解決するかもしれないけれ
ど、実はまた新たに問題(に見えるもの)は必ず出てきます。障害という
ものは、残念ながら、無くなるものではなくて、常にその人たちの傍にあ
るものなんです。それとどう付き合っていくかを考えないといけないので
す。なんか、how toによりできないと、「何が悪かったんだ?」なんてな
ることありませんか?でも、できないことってあるのですよ。それなのに
諦めきれないで、理由さがし犯人さがしをしてしまう。でも、できない。
だから、僕たちの気持ちの中で、「だからダメなんだ」となって、排除に
なってしまう可能性がある気がして、僕は嫌なんですよね。(小声で)
 
 実は、僕の恩師の森博俊先生は、「障害」ではなく「障碍」という字を
使っています。ここで使う「碍」という字は大きな石とか岩みたいなもの
を意味するらしいのです。その大きな岩のような困難の前で人がどうしよ
うか悩み、考えて向き合っている姿を障碍としているのだと。そう考える
と、「障碍」のある人の困難を感じ取り、痛みを想像することってとても
重要だなと思います。また、障碍という字には、それなりにいい意味があ
るなぁとすら感じてしまいます。
(ちなみに、障碍という字が使われていないのは、「碍」が当用漢字から
はずれて使用できなかったかららしいです)

4 悩んだとき向き合うときの足場として

 今、日本においては、特別支援教育の流れというか、インクルーシブ教
育への流れが強く進んでいます。
 僕が障害児教育について学び始めた頃なんて、LDとかADHDなんて学校の
先生も学生もほとんど知りませんでした。今、そのようなことを知らない
人なんて教育関係者ではほとんどいませんよね。20年くらいの時間でも
のすごく変化したなぁと感慨深く思っています。
 しかしながら、これまで蓄積してきた障害児教育時代の実践というもの
は、残念ながらほとんど知られていないのではないでしょうか?
 多くのhow to本が出てはいますが、子どもに応じた支援というものが、
これまでの歴史を抜きにして語られ、画一化されたものとして広がってい
こうとしていることに対して、大きな怖さも感じています。知識は広がっ
いるはずなのに、教師の悩みは減っていないですよね。むしろ増えている
かもしれません。これらは、実は関係していると僕は思っています。
 そのためにも、もう少し障害児教育の歴史とか実践の蓄積も通常の学校
に広がって欲しいと僕は願っているのです。
 
 僕は、都留文科大学の森博俊先生の「障害をもつ子どもと教育実践研究
会」という学習会でずっと学び続けてきました。そこには、多くの現場の
先生や研究者が参加していました。当時の有名人も多くいました。でも、
学習会では、例えものすごい先生であっても、悩みながら実践を行い、子
どもと保護者に向き合っていることが分かりました。そして、それを僕た
ちに丁寧に語ってくれたのです。僕は、そこで障害や発達に関する知識だ
けではなく、教師としての子どもや家族への向き合いかたや子ども理解の
方法を学んできたと思っています。
 また、森先生との関係で、僕は教育科学研究会にも全国委員としてかか
わってきました。しかし、僕らの「発達障害と教育」部会は教育科学研究
会の中では、けっして中心ではなかったと思っています。(今でも中心で
はないのですが・・・)そのような中で、僕は、障碍児の子ども理解を軸
にすえた教育実践のあり方を考えてきました。そして、どのような教育方
法があるかを模索し悩み続けてきたのでした。
 
 告白しますが、実は、僕には常に主流派でないという劣等感がありまし
た。その上、前述したように、勤務する学校先までもがコロコロと変わる
わけですから、いつも「分からないこと」の連続でした。でも「分からな
いこと」があるからこそ、僕は自分で動いて、人とつながり、学ぶことを
大事にしてきたつもりです。
 例えば、特別支援学校時代に障害児教育を学ぶ際には、全国障害者問題
研究会の学習会にもかなり参加してきましたし、障害者の性教育に没頭し
ていた時もあります。通常の学校に異動して子ども関係の対応の生活指導
ということでは、全国生活指導研究協議会にも参加してきました。そして
集団での教科学習ということでは、「学びの共同体」に参加したり、「授
業づくりネットワーク」の学習会に参加することもありました。結局、今
は教育の古典に戻って、大田堯先生の学習会に参加しています。(大田先
生はなんと99歳です)こうして振り返ると主義主張がないというか、か
なりミーハーな感じがして、自分のことながら、呆れてしまうほどです。
 でも、それにより気づいたこともあります。それぞれの場所には、それ
ぞれの立派な教師と研究者、場合によっては保護者や施設等の関係者等も
いたのでした。学び続ける人たちは本当に真面目に教育に向き合っていた
し、共感できる部分が多くあったのです。
 そして、自分で動き、出会い、聴いた体験が、今の僕を形づくっている
のだと思いますし、自分の足場になっていると感謝しています。
 学び続けたとしても、教師を続けていれば悩むことは多くあります。そ
れは、教育方法の違いであったり、教育への価値観のズレであったり、人
間関係であったり、実に様々です。また、子どもや保護者とゆったりとし
た感じで相談を続けていたとしても、相手の痛みを受け入れるという行為
は、自分をも傷つけることになります。
 それらが蓄積したときに、どうしていったらよいのかと本当に悩んでし
まう場面がたまにあります。これは、本当にツラいことなのです。僕の場
合、そのようなときに、救ってくれたのは、自分を作ってくれた足場でし
た。今後も何度かの大きな困難に直面することはあるでしょう。それでも
学習会などで築きあげてきた足場が、立ち直るためのおす拠り所となり、
子どもや保護者に向き合う原点になると信じています。

5 連携をできたらいいな

 「障害者差別解消法」の施行がなされた今、障害者の周囲の状況は、教
育や福祉のみならず社会のあらゆる場所で変化が起きてくることが予測さ
れますよね。ひょっとしたら、今回の選挙も今後に大きく影響を与えるか
もしれません。僕たちは、そのような動向を意識して実践と向き合う必要
があります。そこには、これまで以上に「理念の問題」「システムの問
題」が大きく関係してくるだろうと思います。
 でもですよ、教育現場では、「理念の問題」「システムの問題」以上に
大事なことがあるのです。それは、当事者の「一人ひとりの発達はどのよ
うになっているのかな?」とか「一人ひとりの心の内側はどのようにつく
られているのかな?」ということです。
 それは、日々の子どもたちの姿を丁寧に観察することであるし、当事者
の言語化すら難しい内面に存在する声に耳を傾けることであります。さら
には、彼らのライフヒストリーを読み解くことでもあることかもしれませ
ん。そして、困難のある当事者が他者と共に生きる社会のために、教師が
どのような存在であるかを考えることも、きっと重要なことですよね。
 そういうことを語ることというのは、僕の参加してきた学習会にいた人
たちは実は大好きなんです。いろいろな小さな価値観のズレといった問題
はあるかもしれないけれど、大きな目的のために、つながれたらうれしい
なぁと、最近の僕は思っているのです。自己紹介で語った 鋼の錬金術師
では、物語の最後の方で、エルリック兄弟や、スカーやリンヤオやブリッ
グズの仲間が協力するイメージです。あれってかなり格好いいですよね。
あんな感じの連携が理想です。(ちなみに、僕はリンヤオが好きです)
 東京や大阪などの都市部と違って、地方の人が学ぶ場を確保するという
ことは結構大変なんですよ。学べるところで学ぶって大事です。そして、
そこからの「連携」が大事だと思っているのです。
 「ぜひぜひ、連携しましょう」と僕は宣言します。興味のある方よろし
くお願いします。(10月14日15日にはSNE学会で連携します)

 自分の思いつくままにダラダラと打ちながら文章にしてみました。こう
いう文体で書くのは初めての経験ですので、読みにくかったと思います。
先に謝ります。「申し訳ありません」

 最後にせっかくですので、宣伝をさせてください。「かもがわ書店」の
雑誌「教育」2018年1月号の第2特集を編集執筆したものが12月上
旬に発売されます(僕は、まだ1文字も書いていませんが)
 特別支援教育の特集が組まれることは年に1度あるかないかなので貴重
です。
 現在のところ、テーマは「ケアと指導の狭間-包摂と排除-(仮)」で
す。久冨善之先生、田中康雄先生、赤木和重先生、加茂勇が執筆します。
僕以外は、みんな超有名人ですので、興味がある人は読んでください。
 ちなみに、1月号は通算864号です。1年に12冊出しても、72年
という恐ろしく歴史ある雑誌なのです。「教育」という名前もシンプルと
いうか王道というか。(でも、現場の知名度は恐ろしく低いのです。涙)

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 how to系の本へのやわらかな疑問など、書きにくいことも丁寧に書いて
くださって、読み応えのあるご論考でした。加茂さん自身の学びの筋道、
そして様々な場面での悩みや心の動きを記してくださることで、教師がど
のように学んでいくのか一つの姿が目の前に立ち現れてくるような感じが
しました。また、子どもたちの姿を丁寧に観察するところから、日常の実
践を考えていくには、さて、どうしたらいいのかなあという問いかけでも
あると感じました。久しぶりに(笑)、「教育」誌、読もうかな、と思い
ます。
「教育誌」はこちらから購読できます。
 http://kyoukaken.jp/mag/mag_
 次号は、10月6日金。千葉孝司さんです。いじめ・不登校に関わる積
極的な提案と社会啓発運動とに精力的に取り組んでこられた北海道中学校
教諭です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
30号(読者数2541)2017年10月3日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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教師教育メールマガジン29号高田保則さんです! - 2017.09.29 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」29号
           2017年9月29日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 田舎で連携して学ぶ
    北海道公立小学校通級指導教室教諭/
    オホーツクADHD&LD懇話会副代表/
    オホーツク子どもの発達サポート教育研究会副会長
                     高田 保則
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 29号は、高田保則さん。オホーツクで、小学校教師として、また地域の人々と共に子どもの発達に関わる研究会づくりに長年取り組んでこられた方です。         (石川 晋)
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1.教師が田舎で暮らすということ
 私が暮らすオホーツクは、圏域の端から端まで230kmの土地に約30万人の人々が暮らしています。
 田舎です。札幌市に行くには車で5時間掛かります。
 オホーツクは少子化の先進地とも言えます。少し郊外に車を走らせると、廃校舎が至る所に点在します。子どもが少なくなり、運営を維持できなくなった小さな学校が統廃合されているのです。一方、田舎の少子化は、点在する市町村のコミュニティー毎に、人々の結び付きが強まり、地域の子どもと家族をみんなで支えていくという可能性を秘めているのかもしれません。
 私はオホーツクで生まれ、オホーツクの学校に赴任して30年間仕事をしてきました。教師が田舎で暮らし、田舎で学ぶ意味について考えるようになりました。
2.連携するということ
 現在私は通級指導教室の指導者です。学びやコミュニケーション等で、様々な困りを抱えるお子さんを担当しています。指導室でのその子の様子を観察し、家庭やクラスでの様子をうかがい、困りの背景を分析し、支援策を提案するのが仕事です。通級指導は、その子に関わる人たちとの連携を抜きには成り立たない仕事なのです。
 関わる人たちのお話から、オホーツクの子どもたちも、現在は様々な子育てサービスを利用している事に気付きます。医療機関を受診している子がいます。塾や習い事に通っている子もいます。放課後に児童センターやディケアサービスを利用している子もいます。就学前は地域の保育園や幼稚園に通っています。保健師さんや子育て支援センターの相談を利用した子もいます。
 担当する子の情報を集めるために、保護者の承諾をいただき、そうした方たちに問い合わせをすると、誰もが好意的に回答してくださいます。子どもと関わる地域の大人は、積極的に学校と繋がりを持ちたいのだと感じます。
 人材の資源が限られたオホーツクは、連携機関のスタッフとすぐにお友だちになることができます。顔の見える連携が可能なのが、田舎の強みです。
 オホーツクでは、連携機関の方たちが参加する学習会や事例検討会が定期的に開催されています。そういう場に顔を出し、彼らの話をうかがう機会は刺激的です。
 その子の困りの改善を目指す作業療法士や言語聴覚士がいます。その子のニーズに合わせたきめ細かなサービスの提供を模索するディケアスタッフがいます。その子の成長を語る保育士がいます。その子の生い立ちや家族の苦悩を語る保健師がいます。集団遊びの中で、自立と社会性の育みを目指す児童センターの指導員がいます。
 職種や立場が違うと、同じ子どもへの向き合い方や接し方は自ずと変わります。彼らの価値観や仕事への矜持に触れると、子どもを育てる事を生業とする教師の仕事の意味について、改めて考えさせられます。
3.地域の資源を知るということ
 担当する子の保護者と一緒に食事をする機会が多いことも、田舎の特長かもしれません。お母さん方とお話するのは育児や子どもの様子についての話題が主になります。一方、お父さん方と食事をすると、互いの趣味や仕事のことが話題になります。
 オホーツクの基幹産業は一次産業です。農家や漁師のお父さんのお話から、地域の今が見えてきます。
 畑が雪に閉ざされる冬に、オホーツクの農家のお父さんは、本州へ旅行に出掛けます。市場を見て回り、消費者のニーズを探る視察をしているのです。『男爵』という品種のジャガイモがあります。小さなイモは、生産の場では規格外として廃棄されていました。ところが都会の高級レストランでは、小さな規格外の『男爵』を丸ごと調理して、料理の付け合わせに提供し、評判になっていました。自分の畑に棄てていたイモが高い価値を持っていた事に気付いたお父さんは、販路を開拓するために奔走しています。
 今の家庭で、魚を捌いて調理する事は少なくなりました。オホーツクの漁師のお父さんは、獲ったカレイを捌いて衣をつけてフライにし、温めるだけで食べられるまで加工する『六次加工』の魚を出荷する方法を探っています。オホーツクの酪農家のお父さんは、農場を会社にして従業員を雇い、機械化した牛舎で数千頭の牛を飼育しています。
 家族と暮らしを守るため頑張っている保護者のお話は魅力的で、教材化できそうな情報の宝庫です。保護者との繋がりから、地域の人材を紹介していただき、現在進行形で変化する地域の実情を知ることができます。
4.広く学ぶということ
 全国の田舎町に、子どもと関わる大人はいます。暮らしを支える産業があります。学校と自宅を往復するだけでは分からない事を、地域の多様な人たちと関わる中で学ぶことができるのではないでしょうか。
 ところで、辺境の地にあるオホーツクの教師は、新しい知見と情報を得ることに飢えています。都会に出て学ぶのは、時間も経費も掛かります。そこで、学びたい人を募り、お金を出し合って遠くの講師をお招きする学びの場が盛んに開催されています。私が携わる小さな研究会でも、そうした研究大会を続けてきました。講師の方にとって、オホーツクは、なかなか訪れる機会がない土地です。私たちはそこを逆手に取って、お話していただきたい講師候補の方に接触します。「オホーツクに来ていただけませんか?」
 もしも、そうお声を掛けられたなら、私たちにお付き合いいただけると嬉しいです。
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 私の初任地はオホーツクでした。高田さんとはその頃からのつながりでもあります。私は一度オホーツクを離れ、大きな町で教員をした後、再び田舎教師を選びました。高田さんのように田舎教師一筋ではなかったけれど、高田さんの問題意識を共有でき、同じような活動も、自分の暮らす地域で行ってきました。今、東京でに出てきて、様々な学校に入る機会をいただく中で、改めて、「村を育てる学力」とは何だろう、そして、それを担う教師の育ちはどのように支えられていく必要があるのだろうと考えています。北海道の郡部地域には、大量の新卒教師が採用されています。先日おうかがいした高等支援学校では3分の1がその学校で新規採用になった教師だとお聞きました。
 次号は、10月3日火。加茂勇さん(教科研「発達障害と教育」部会世話人/新潟県公立小学校教諭)です!
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メールマガジン「教師教育を考える会」
29号(読者数2538)2017年9月29日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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教師教育メールマガジン28号、横山験也さんです! - 2017.09.26 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」28号
           2017年9月22日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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  アフリカ・ルワンダにも教師教育を
               株式会社さくら社 代表取締役社長
                            横山 験也
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 28号は、若い頃から注目の実践家としてご活躍され、現在は、教師の
育ちを支えるための出版社を立ち上げて、書籍や教育ソフトで、多くの現
職教員の仕事を支えておられる、横山験也さんです。   (石川 晋)
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1,簡単な自己紹介
 元々は小学校の教師をしていました。教材作りが好きで、あれこれ作っ
ては楽しんで授業で使っていました。90年代後半、学校にコンピュータ
ルームができ、どうしても自分で教材ソフト、とりわけ算数ソフトを作り
たくなり、退職の道を選びました。
 授業で使える算数ソフトの開発を進める傍ら、若い頃から雑誌原稿や書
籍を書かせていただいていたので、そろそろ御恩返しと思い、教育の出版
社さくら社を設立しました。
 教師教育関連の書籍では、
『教師教育』(上條晴夫編集)
『三宅貴久子という教師』(三宅貴久子を語る会著)
『まんがで知る教師の学び』(前田康裕著)
『議論を逃げるな』(宇佐美寛著)
などを刊行しています。
 
2,一通のメール
 4年ほど前のことです。JICA(国際協力機構)の海外支援事業に関わっ
ている企業の重役M氏から1通のメールが届きました。アフリカの途上国
の理数科教育に力を貸して欲しいというような内容です。
 現役の頃から、「算数教材は国境を越える」と思っており、いつかはア
フリカ・南米の子供達に届かせたいと思っていました。自分の中にも途上
国への協力という思いがあったので、M氏とはすぐに意気投合しました。

3,途上国の厳しい環境
 その後、一緒に、アフリカのルワンダとケニヤの教育視察に出かけまし
た。
 見るもの、聞くもの、「悲惨」の一言です。まさに悲しいほどの状況で
した。算数の授業に至っては目を覆いたくなる内容でした。
 そこで、算数ソフトを使って授業をするとどうなるか、実際に現地の小
学校でやってみることにしました。(これはNHK報道局の取材を受け、
放送されています。)
1)子供達のモチベーションが一気に高まる。
2)内容の理解が、あっという間に進む。
3)集中したまま1時間の授業が続く。
4)教える先生が、何が重要なのかに気づく。(日本の指導法のノウハウ
がソフトに組み込まれているから)
 このような手応えがあり、視察後、いよいよ本格的に海外支援事業に乗
り出そうと決意を新たにし、JICAの事業に関わりつつ、今日に至っていま
す。
 この流れで昨年はアフリカのルワンダに3回渡航しました。

4,ルワンダでの教師教育
 ルワンダの算数を改善するために、教師教育をどう行うべきか、私なり
に仮説を立て取り組みました。

1)誰でも効果の上がる教材(現地版算数ソフト)で授業をすると、より
効果的な指導法を現地の先生が考え始めるだろう。
2)より効果的な指導法をグループで考えることが、授業研究・校内研修
づくりの一歩となるだろう。

 「教材により授業が大きく変わることを体験し、そこから研究を始めて
いく」という流れです。環境が劣悪なので、日本の研究の仕方をそのまま
持ち込んでも、研究の必然性が伝わりません。必然性のない研究は持続せ
ず、下手をすると、押しつけるようなことになり逆効果にもなります。大
事なことは、現地の先生が「よりよい授業にするために、工夫したい!」
という気持ちになり、それを実行できる環境を作ることです。
 そういう仮説を持ちルワンダに渡航していたからか、実践と研究を5日
連続して行える特別講習が、現地のIT企業とのタイアップで可能となる
幸運に恵まれました。

5,現地の子の計算の仕方
 「3+4」を計算する時、日本の子はすぐに「7」と答えてきます。し
かし、ルワンダの子は全員が下のように○を書いてから答えを出します。

  3 + 4 =
 ○○○ ○○○○

 まず、数の分だけ○を書いています。それから、○の数を1から順に数
えて答えを出し、それを記入します。大昔の「目の子算」です。○を書い
て数える目の子算は、数が少ない内は十分に効果を発揮します。しかし、
7+9などとなると、○の数を数える途中で数え間違いが発生することも
あります。あまり、良い方法とはなりません。
 こういう話を日本に帰り先生方にすると、それは半具体を用いているの
だから、まずは認めることが必要だと言う人もいます。それも分かりま
す。ですが、この○を書く方法はかけ算でも行われます。

 8×5= と出題されると、その脇に○を書き始めます。
○○○○○○○○
○○○○○○○○
○○○○○○○○
○○○○○○○○
○○○○○○○○

 ○を全部書き終えると、1から数えはじめます。5や10での区切りへ
の意識がないので、途中での数えミスが多発します。こういった様子を見
ていると、「5や10の束で考える」「基礎計算は暗算で答えられるよう
にする」という自覚が先生に無いということも見えてきました。教科教育
の研究もかなり遅れていると考えられます。
 悲惨な現状ですが、算数ソフトを用いることで、子供の算数力アップ、
先生方の教材研究力アップにつながるであろうことも、同時に確信できま
した。

6,「算数ソフト+研究」の効果は絶大
 頑固なほどに目の子算をする子供達に、算数ソフトを使う特別講習を行
いました。指導に当たったのは、現地の先生5人です。5人の先生は、事
前に算数ソフトと指導法についての研修を受けて講習に臨みました。ま
た、先生を2つのグループに分け、毎日、明日につなげる話し合い(研
究)を行いました。
 5人の中には教師になったばかりの若い先生もいましたが、どのクラス
でも成果は絶大でした。暗算で答えられる子が続出し、位取りを守ること
の大切さも理解できました。
 大きな成果が得られたので、ルワンダ教育局の局長との面談となりまし
た。現地の先生方が口々に、こういう授業ができるように学校環境を整え
て欲しいと熱くお願いしていた光景が忘れられません。局長もICT環境に
必須の電力を供給するために、ソーラーシステムの全校導入などどんどん
進めていくと話していました。

7,今後
 授業の研究をその都度行うだけでは、大きな見通しが立ちません。校内
研修などを見通しをもって行わせるには、どうしたらいいのか。そんなこ
とを思案していたら、それを伝える教師教育のムービーがあると伝わりや
すいとの声が現地関係者からあがりました。目下、前田康裕先生の『まん
がで知る教師の学び』のムービー化が検討されています。また、ルワンダ
大学に入っているアフリカの理数科教育研究組織からは、算数教育での共
同研究の話をいただいています。良い形でタイアップできれば、ルワンダ
の現場にあった教師教育の道が創れます。
 ルワンダの教育界は、日本のような資質の高い先生方、充実した学校の
設備、確立された研究組織、各方面との連携など、先達からの積み重ねの
ある世界とはほど遠い現状です。しかし、今は情報の伝達も物理的な移動
も、昔とは比べものにならないほど容易になりました。私が現役だった頃
には想像もできなかったアフリカの国ルワンダの教育界と、手を携えるこ
とが実現するまでになりました。かつて日本が百年かけて築いた教育の充
実も、そんなに多くの時間をかけずに繋いでいくことが可能なはずです。
そうしていつかは「ルワンダの教育はすごい!」と世界中が注目するよう
な教育システムができあがればと願っています。そのために、算数ソフト
など優れた教材に強い関心を持ち、教師教育を現地に合った形で進めたい
と考える方々と力を合わせてこの先を歩んでいきたいと思っています。
--
※文中の算数ソフトは『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』という名
称で販売されています。

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 ルワンダの教師教育の現状を紹介する形で、日本のこれまでの蓄積に丁
寧に焦点を当ててくださった論考です。日本の学校教育が培ってきた持ち
味・強みについて、改めて考える機会になりました。「前田康裕先生の
『まんがで知る教師の学び』のムービー化」、日本の我々も見ることがで
きるでしょうか。とても楽しみです。

 次号は、9月29日金。高田保則さん(北海道公立小学校通級指導教室
教諭/オホーツクADHD&LD懇話会副代表/オホーツク子どもの発達
サポート教育研究会副会長)です。北海道の北辺で、現場の教師たちがど
のように学んできているのか、丁寧にご紹介いただきます。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
28号(読者数2536)2017年9月26日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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【アートその6 奈良美智 for better or worse 豊田市美術館 2017.9.22】 - 2017.09.24 Sun

 前日は小倉での用務。名古屋の飛行機乗り継ぎを選択してでも見たかったのは、これだった。
 まず、入場してすぐ、彼の幼少期からのこだわりの品々があるわけだが、洋の東西を問わぬフィギュアなどは当然として、児童文学作品(ジョゼフのにわがあった!)がたくさん。そして、神田日勝の図録、掛川源一郎の写真集に驚いた。

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 青森に育った彼には、北海道がどのような地と見えていたのだろう。

 今回の展覧会は、奈良自身が「卒業制作」であると語っており、まさに、セルフライフヒストリーアプローチの側面を持った、中締め的な大回顧展という色合いのものだった。作品については、好きすぎて説明のしようがないや 笑。
 おもしろいと思ったのは、いつもは個々の作品のタイトルが気になるのだが、この展覧会ではほとんど気にならなかったこと。それはポップアート特有の匿名性とか、模倣性とか、そういう問題ではないようだ。うーん、奈良の作品そのものへのぼくの前のめり感の表れなのだな、ととりあえず思ったことを書き残しておこうと思う。
 珍しく、グッズもいくつか買う。図録は後から送られてくるそうだ。北海道を出るときに、おびただしい図録、全部処分したのに、またこうして増えていくな。

 豊田市美術館、とてもいいところでした。
 次回は、ジャコメッティだそうな。

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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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