FC2ブログ
topimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimage

2018-08

スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

教師教育メールマガジン79号、藤原由香里さんです! - 2018.03.27 Tue

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
メールマガジン「教師教育を考える会」79号
            2018年3月27日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
くもりのちあめのちはれときどきくもりを抱きしめる
                 京都府八幡市立美濃山小学校教諭
                           藤原 由香里

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 79号は、藤原由香里さん(京都府八幡市立美濃山小学校教諭、NPO授業づくりネットワーク副理事長)です。このメールマガジンでも数度にわたって話題に上ってきた美濃山小学校の校内研修についてを、内側から語っていただきました。  (石川 晋)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 教育相談についての夏季研修。自分の今の心模様を天気に例え、絵に描き語らう。お互いのことを語り合う中で教師自身が自分の心を大切に感じたり、互いを愛おしく思えたりする時間。「こんな研修がいいわ。」同僚が見せたほっとした表情が忘れられない。果たして、そんな時間がこれまでの校内研修の中にどれほどあっただろう。子どものことは、いつだって知ろうとしているというのに。

 私自身が同僚を相手に研修をする。「これが大切」「あれを変えないといけない」……話を聞く同僚が見せる不安げな表情。曇る彼らの顔を見ながら、私は、正しさで同僚を傷つけている、と思う。

 教えるということ、学ぶということは、喜びや楽しさだけではない。
 とりわけ、大人になってからの学びは、痛みを伴い、時に自分を否定され、傷つくものだ。
 しかし、教師であるならば、それでも学び続けなければならない。
 だが、教師である自分自身が大切にされないで、どうして子どもたちを大切にできるだろうか、とも思える。

 私の今の仕事は、一人ひとりの教職員が大切にされる校内研修づくりを同僚と一緒に試みることである。
 今回、校内研究の一端をメールマガジンで書き記すにあたり、ラジオ番組の対談風に、書いてみることにした。
 なぜにラジオ番組?
 最近、車のカーステレオが壊れCDが聴けないので、もっぱらラジオを聴いているから、ということにしておこう。
 パーソナリティは架空の人物・平川さん。このメルマガ執筆者の中で、時々私の聞き手となってくださる方の名前とキャラクターをお借りした。誰かはご想像におまかせします。
 この書き振りが成功したかどうかはわからない。
 ただ、「やったことのないことをやってみる」という研究の途上に、本稿を位置付けてみたかった。
 では、はじまりはじまり。


/////////MM802.『ティーチャーズレディオ』放送開始///////////

平川:午後10時となりました。毎週火曜・金曜にお送りしている『ティーチャーズレディオ』。パーソナリティーの平川(以下、平)です。教師教育をテーマに多様な方をゲストに迎え、思い出の曲をまじえながらお話を聞いてきました。いよいよ、最終回が近づいてきたわけですが、最後までラスト2回、となった本日のゲストは京都府八幡市立美濃山小学校教諭の藤原由香里さん(以下、藤)です。
藤原:こんばんは!よろしくお願いしまーす。
平:よろしくお願いします!藤原さんにお会いするの、1月の美濃山小学校での公開研究会以来ですねえ。
藤:そうですね。あの時は見に来てくださって、写真撮影までしていただいて、もう、職員大喜びでした!
平:いやー、めちゃくちゃいい写真だったでしょ?
藤:はい。もう、子どもも職員も、こんないい表情してるんだ!って、心底感激しました。
平:いやいや、よかった。まあ、今日は、その研究発表会の裏側も含めて、色々、つっこんだ話を聞いていきたいと思います。


//////////////////// 1 ゲスト 自己紹介 ////////////////////
平:では、まず、自己紹介をお願いします。
藤:はい。八幡市立美濃山小学校で研究主任をしています藤原由香里です。現在教員12年目です。
平:藤原さんは、初任の時に、あの糸井登さんと同じ職場だったんですよね?
藤:はい、そうなんです。ちょっと詳しく自己紹介をしますと、私、2006年春、兵庫教育大学を卒業して、京都府宇治市立平盛小学校で新規採用教員として働き始めたんですね。で、そこで、職員室の机の向かいの席に座っておられたのが糸井登先生(本メールマガジン11/14発行号執筆者)だったんです。
平:わーお!
藤:その頃、精力的にアーティストや企業との協同による授業づくりを手掛けておられて、「今度、ダンサーと一緒に理科の授業をするんだよ。」「演劇を使った算数の授業を劇団の人と企画しててね……。」というような話を聞いて、もうね、びっくりするやらうれしいやら!
平:そりゃそうや。
藤:私自身、大学時代にモダンダンスや即興表現に夢中で、現場に出たら子どもたちと表現活動をしたいという夢がありましたので、本当に、神様に導かれたようでした。
平:うーん、めちゃくちゃすごい!運命的な出会いですね。
藤:そうなんです。糸井登先生という創造的な先輩教員との幸せな出会いから教師生活がスタートしました。糸井先生には原稿の書き方や助成金申請のコツ、授業づくり、生徒指導、学級経営、研究主任としての姿、たくさんのことを教えていただきました。
平:ほうほう。
藤:その後、新採3年を終えて、現任校の八幡市立美濃山小学校へ異動。2年間勤務した後、休職し、兵庫教育大学大学院教育コミュニケーションコースに通いました。自分自身の中に当初あった問題意識が、学校現場に馴染むに連れ、消えかかっていくことへの焦りがありました。同時に、学校現場で働きながら、湧き上がってくる自分のやり方、あり方はこれでいいのだろうかという疑問。このまま教師を続けていいのだろうか。一度立ち止まって、学校現場の外から、教育について考えたい。そんな思いで大学院の扉を叩きました。
平:なるほど。5年働いて休職……上手にインターバルをとったのですね。大学院では、どんなことをされていたんですか?
藤:大学院での2年間は、様々なワークショップの現場に出入りしながら、当時学んでいた即興演劇を教育のメタファとしてとらえ直すことを試みました。学ぶことの楽しさを味わい尽くすとともに、研究者となったつもりで論文を書いたり、学会で発表したりと、「やったことのないことをやってみる」ことで、その人がこれまでの自分とは別の自分になっていく、という感覚を得ました。論文には、ロイス・ホルツマン博士の論を援用しながら、即興演劇のワークショップ中のパフォーマンス分析をしました。
平:こちらですね。じゃん。『学びの新しいメタファとしての即興演劇ー相互行為の中で創造される意味とパフォーマンスー』。即興とか、演劇とか、現在の活動ともつながっていますね。


/////////////////// 2 大学院での収穫 ////////////////////
藤:はい。ただ論文の内容以上に、研究方法や研究者としてのあり方を学べたことが、大学院での大きな収穫でしたね。
平:と、いうと?
藤:んー、大学院で出会った質的心理学研究法のひとつ「フィールド・エスノグラフィー」の考え方に大きく影響を受けました。というのも、教員として学校で働いていた時は、正直、学校文化のネガティブな側面が目につきがちで、「なんで学校ってところは……」と思いがちだったんです。
平:ふんふん。
藤:でも、大学院生と言えども、研究者として学校現場に入ることになった時、「その現場の社会文化を尊重するまなざし」がなければ、その文化の本当の姿が見えて来ないということを知ったんです。
平:ああ……立場や関わり方が変わったことによる変化ということなんでしょうか。
藤:そうですね。大学院生という立場ではありながら、研究者の「ふり」をして学校現場に関わった……まぁ、つまり、これまでとは異なる立場や姿勢で「学校文化」と関われたこと、また、学校というコミュニティの人間でありながら、その外の人間でもあるという曖昧な存在……周辺的な存在となったことが、自分自身にはよかったのかなって思います。
平:周辺的ねえ……。
藤:そうなんです。なんていうか、あるコミュニティの外に出ると、やはり、中に入りたい、戻りたい、よき理解者として寄り添いたいという気持ちが出てくるんですよ。一方、外にいるから感じられることがあることにも気づく。その曖昧さや寂しさ、不安を経験したことが、私にはよかったですね。学校を外から見て、学校文化を尊重する立場で学校と関わり直したことで、私の中の学校文化に適応しきれない部分やネガティブな感情がよい意味で消え、謙虚な姿勢で学校との関係を再構築していけるようになったように思います。
平:なるほど。それは面白い話ですね。
藤:はい。で、大学院修了後、勤務校に戻り、3年間学級担任をした後、2016年度、2017年度は研究主任兼国語専科をして、4年生?6年生の授業と学校全体の研究に関わっている、という感じです。
平:ほうほう。今年の研究発表会の様子は、このメルマガでも渡辺貴裕さん(66号)や平井良信さん(70号)が取り上げておられましたね。では一曲お聴きいただいた後、研究発表会の話に移りましょう。リクエスト曲をご紹介ください。
藤:はーい。では別れと出発のシーズンということで、タテタカコさんの『テクテク、イキテク、アルイテク』をお願いします。
平:では、お聴きください。

////////////////////音楽、流れる////////////////////


/////////////////// 3 校内研究の話 ////////////////////
平:後半は、先ほど話題にもあがっていた美濃山小学校での校内研究の話を聞いていきたいと思います。京都府教育委員会の研究指定を受けられているんですよね?
藤:はい。平成29・30年度京都府教育委員会指定「学力向上システム開発校」です。この指定は、学力向上に関わる研究であるということと、教職員が異動しても、学力向上のための仕組みが校内に残っていく、そんなシステムづくりに重きが置かれている研究です。
平:なるほど。ユニークですね。研究主題は?
藤:「表現活動を取り入れた主体的・対話的な授業の創造 ー表現しながら理解を深める学習者を育てるー」です。具体的には、演劇的手法を授業に取り入れながら、「自分以外の他者やものに“なってみる”」という学び方を通して児童の理解が深まるような授業づくりを全校で研究しています。古くからの研究仲間の渡辺貴裕先生(東京学芸大学教職大学院准教授)に、指導に入っていただいています。
平:ふーむ。その、「演劇的手法」、もう少し詳しく教えてください。
藤:演劇的手法は、全身の感覚や想像力を使った表現活動です。上演を目的としたり、上手に演じたりするためのものではなく、「誰か・何かに“なってみる”、状況や立場に“身を置いてみる”ことを通して、体験的に学ぶ学び方」です。動作化やロールプレイも、演劇的手法の中に含まれます。
平:そうですか。そう聞くと、ちょっと身近なものに思えてきました。この間の研究発表を観に行った時も、子どもたち、すごくいい表情をしてて、いきいきと学んだり自分の言葉で語ったりしている姿が印象的でした。
藤:ありがとうございます。そうですね。演劇的手法は、なにか特別なものというよりは、表現しながら思考を共有したり、深めていったりする思考の道具のひとつ、と考えていただければと思います。「あ、役になって動いてみたら、教科書の文章を追っているだけではわからなかったことが見えてきたぞ。」「その人の立場に立ってやりとりすると、新しい視点で考えられる!」、こんなふうに、“なってみる”ことで気づきが深まり、理解が促されることを目指しています。
平:なるほど。


/////////////////// 4 研究の背景 ////////////////////
平:でもねえ、演劇的手法って、なんていうか、もう、ほんとにニッチな分野なわけでしょ?そういうのを学校全体で研究するっていうことになった時の先生たちの反応って、正直なとこ、どうだったんですか?
藤:あー。笑 まあ、もう、不安だったと思いますよ……。私も不安だったし。
平:ですよね。演劇的手法を使ってる人って藤原さん以外にいたの?
藤:いえ、いません。私自身も、専門家でも、演劇を学んできた人間ではないですし。全校的に演劇的手法を活かした授業づくりに取り組んでいる学校ってほとんどなく……まぁ、本当に試行錯誤ですよね。
平:校内の反対とかは?
藤:もちろん、不安な方はおられたと思いますが、表立って反対とか対立とかはなく、わからないなりに、やってみよう!という感じでした。渡辺貴裕先生や英語芸術学校MARBLES主宰の小口真澄先生にワークショップをしていただいて、教職員みんなで演劇をして、楽しい時間を味わったこと、「表現しながら理解するってこういうことね!」という、ブレイクスルーを共有したことは、大きかったですね。
平:ふむふむ。
藤:そういえば、この研究に取り組むことになったきっかけは、校内の研究授業で演劇的手法「ホット・シーティング」を使った国語の授業をしたところ、職員から好評だったことなんですね。是非やってみたい、という声が職員から上がったり、みんな自然に「ホット・シーティング」を使い出して、廊下をすれ違う時に、「藤原先生、『モチモチの木』でホット・シーティング使ったら、すごい面白かったです?。」みたいな報告をされたり、いい感じの波及効果があったんです。
平:おー。そういう共感や楽しい、面白いっていう感情が研究のベースにあったんですね。
藤:そうなんです。理論ベースというより、共感ベースですね。
平:それで、腑に落ちました。こんなニッチな分野の研究を学校全体でできる理由、納得です。
藤:そうですか。笑


/////////////////// 5 校内研究システム ////////////////////
平:じゃあ、もうちょっと突っ込んでみたいんですけど、藤原さんの小学校では、校内の研究システムにも、演劇的手法を活かしているということですが、授業に、というのはイメージできるんですけど、校内研修に演劇的手法を生かすって、どういうことなんですか?
藤: えーっと、具体的には「教師自身が学習者に“なってみる”」ということです。
平:学習者に“なってみる”?
藤:はい。まあ、シンプルに言うと、教師としての帽子をぬいで、まず、学習者として、教材を遊びながら言語活動をつくってはこわし、また遊びながらつくりを繰り返しながら授業をつくり、振り返りと改善を行なっていく、という授業研究のシステムです。
平:ふーむ。もう少し具体的に教えてください。
藤:はい。教師が学習者に「なってみる」のは、主には3つの場面です。まず「活動試行」。授業構想の段階で、実際に身体を動かして場面をつくってみたり、演劇的手法を使ってみたりしながら、教材研究をし、言語活動を創造していくことです。ここでは、ずばり、「つくってみる」。
平:おお、楽しそう。
藤:楽しいですよ。一番創造的な時間です。みんなで、あれこれ、自分の身体感覚を使いながら学習環境、教材を動きながら生み出していくのです。
例えば、実際の活動はこんな感じ。

「◯◯先生、主人公役やってみて?。」
「じゃあ、私、相手役やりましょか。」
・・・実際に役を決めて動いてみる・・・
「おお、このやり方だと、めっちゃ主人公の揺れ動く気持ち、追体験できますよ!」
「よし、じゃあ、動く前と後で、気持ちを一言ずつ語ってもらったら、さらに変化がよくわかるんじゃない?」
「いいかも。そしたら、こういう小道具も使ってみたら?」

藤:このように、動きながらだと、どんどんアイデアが生まれます。まるで、舞台の創作現場みたいなんです。
平:へえ!それって、既にある手法を使ってやるんですか?
藤:そこが実はおもしろくって、既にある「ロールプレイ」とか「ホット・シーティング」のような手法をベースにしながらも、その教材の持ち味や授業のねらいをふまえて、最終的には自分たちでアレンジを加えたりつくりかえたりして、美濃山小オリジナルの手法が生まれていくって感じなんです。
平:おー、それは、本当にクリエイティブですね。つくりかえられるっていうのがいいなあ。
藤:はい。続いての段階は、模擬授業ワークショップ。ずばり「やってみる」!
学年ブロックごとに、教員相手に演劇的手法を活用した言語活動を実施してみて、学習者としての実感を出し合い、活動を練り直していきます。ここで、「ワークショップ」と名付けているのは、指導案はこの段階では作っていなくて、この授業をしながらも、どんどん作り変えていくからです。
平:ああ、それは新鮮ですね。
藤:あと、模擬授業を受けるといっても、「子ども役」というよりは、「学習者の一人である自分」として受けるのが通常の模擬授業とは違うかなって思います。変に子どもっぽく演じたりはせず、ガチで教師自身が学習者になってそのままの自分で体験します。そうじゃないと、自分の学習者としての感覚を働かせられないので。
平:おお。「授業ごっこ」じゃないんですね。
藤:はい。違いますね。で、最後の段階の「追体験」は、研究授業後の事後研で行います。授業で児童が行なっていた言語活動を実際に、体験してみて、そこでの実感を拠り所に授業の意味を語り直していくことです。ずばり……
平:「なってみる」ですね!
藤:そうです!でね、これがすごいんです。今年1月の研究発表会でも、その事後研の様子を「教職員劇」でレポートしたんです。平川さんも、すごく気に入ってくれてた、あの教職員総出の劇ですね。ちょっと、その再現映像、お見せします。
平:おお!あれですか! では、リスナーのみなさんは音声のみですが、お楽しみください!


//////////////////// 研究発表会での教職員劇 「事後研でのエピソード」の再現部分を視聴 //////////////////// 
研究主任「はい、では、今日の事後研では、まず、先生方に、今日、観ていただいた授業の中心部分の活動を体験していただきます。授業者のA先生、お願いします!」
(A先生)「はーい、では、みなさん、主人公・ケンタくんになってココロ会議(三人組で、主人公の心の中にいる色んな立場になり、やりとりをしながら心情理解を深める手法)をしてみましょう。」
(ナレーション)このように、実際に、事後研究会では授業の中心場面を再現し、子どもたちと同じ学習活動を追体験し、その後、実際に子どもと同じ活動をして感じたこと、参観した時との印象や感覚の違い等を交流しました。
(B先生)「いや?、授業をみた時は、なんで、子どもたち、あんなに迷うんだろうって思ってたんですけど、実際に自分がやってみたら、すごく気持ちが揺れました。子どもたちも、今日の授業でこんな感じだったのかなあ。」
(C先生)「道徳の授業って、どっちかが正しいという答えを出すべきではないし、今日みたいな授業だと、嘘をついてしまった主人公の立場にも共感的に寄り添える気持ちが育つんじゃないかなあ。」
(D先生)「ああ、それこそが、道徳で育てたい子どもたちの姿だと言えるかもしれへんねえ。」
(E先生)「授業見てただけではわからなかったことが、実際に学習者の立場になってやってみることで、わかることがたくさんある気がします。」
(F先生)「そうやんねぇ。客観的に見るのと、実際に自分が体験するのは違う。子どもも、ロールプレイをするまでは、嘘をつくのはよくないっていう意見が多かったけど、実際にココロ会議をやっていく中で、ケンタの置かれた状況や立場への共感的な理解も増えていってたしね。」
(G先生)「子どもにしても、大人にしても、やってみるって、すごい可能性がありますね!」
////////////////////映像視聴、終了////////////////////


藤:とまあ、こんな感じです。
平:うーん!なんだか、もう、やってみなきゃ、わかんないって、感じだね。
藤:そうなんです。「やってみないとわからんね」は、うちの学校の合言葉です。特に授業づくりに関しては、ああだこうだと議論を尽くすのではなく、「とりあえず、やってみて、考えよう」ということを大事にしています。「やってみたら、何か見えてくる」という実感を積み重ねられたことも、そう言える自信につながっていると思います。教職員アンケートでも、学習者の体験をすることが、研究の助けになった、という割合がすごく高くて、手応えを感じています。まさに、「表現したら理解が深まる」を実感中なのです。
平:なるほど。

/////////////////// 6 不安の話 ////////////////////
平:じゃあ、逆に、演劇的手法の難しさ、大変さって、どんなところですか?
藤:それは、もう、言葉の説明ではわかりあえない、伝わらないことかなあ。「表現したら理解できるけど、表現なしでは理解してもらえない……うわーーーー涙。」という感じです。
平:笑。なるほど。それも一貫してますね。
藤:はい。あと、前例がないこと。あまり見たことのないことにチャレンジしているので、本当に不安が大きいです。例えば、研究発表会で劇をやるということにしろ、全体会をワークショップ形式でやることにしろ、会場デザインにしろ、これまでみんな見たこともやったこともないことなんですね。で、私がいくら説明したところで、みなさん、もちろん不安そうでした。
平:ちなみに劇をしますって言った時の反応は?
藤:そりゃあ、みんな、口には出しませんけど、ドン引きですよね。笑 でも、藤原が言うなら、もう、やるしかないか……、というあきらめモードもあったかも。笑
平:ははは。当日はみなさん、すごくいきいきと楽しそうでしたけど。
藤:はい。研究主任としての私の中には、「やる前は不安でも、やってみたら、きっとその活動の意味がわかるし、よかったと思えるだろう」という確信があるんです。それは、不安と交互にやってくるんですけど、でも、確信です。
平:藤原さんにはイメージがあっても、それを形にする方は、イメージの共有がしにくいだろうから、不安も大きいでしょうねえ。
藤:そうですね。だから、研究主任としての私の役割は、そういう見えないものを想像する人、まず最初に立ち上がる人、やってみたら必ずいいものが生まれるということを信じ続ける人でいることだと思っています。
平:形のないものを形にしていくことの大変さが、すごく伝わってくる話でした。まあ、その先生たちの苦労の上に、この前の研究発表会が目に見える形となって現れたわけで、ものすごいインパクトでしたし、何かを創造するっていうのは、本当に大変ですけど、研究の醍醐味ですね。
藤:そうですね。自分自身が創造的な人間であると思える経験、自分たちが生み出したものが喜ばれる経験は、間違いなく自分を大切に、愛おしく思えるということにつながっていきますからね。そういう意味では、すごくセラピューティックな研修となりえるのかもしれません。大変ですけど……。
平:なるほど。

/////////////////// 7 先生たちの変化・成長 ////////////////////
平:研修ということで言えば、先生たちの変化とか成長って、どんなところで感じますか?
藤:それはですね、特に、経験年数の浅い先生が、研修で意見が言いやすくなって授業づくりや研修が楽しくなったって言ってくれるところかな。研修にすごく活気が出てきました。ある先生は、「言葉での議論になると、どうしても経験年数に左右されて、なかなか若手は意見が言いにくい。でも、“なってみる”体験を通して、自分が感じたことなら、語ることができる、と。そこから参加しやすさが生まれていった」と語ってくださっていました。
平:なるほど。教員のコミュニケーションや関係性にも変化が出るんですね。
藤:はい。これは、演劇の力だと思います。子どもにも、同じことが起こりますので。あと、フラットな関係性で対話できるようになったこと。新任も栄養教諭も司書も校長も、「学習者になってみる」活動では、経験年数も職域も超えて、みんな「一学習者」。実感を語る時には、経験に左右されない。発言も平等にできる。これまでの議論と明らかに変わりましたね。今年異動してきたばかりの先生や学校図書館司書等の担任として授業を教える立場でない職員からの「研究楽しい」「事後研が
いやじゃなくなった」「楽しみながらできる」の声は、何より励みになっています。
平:そういう関係性をフラットにしたり、コミュニティのクリエイティビティを引き出したりすることも、演劇的手法を生かした研修の特徴と言えそうですね。
藤:そうですね。あと……教材研究の仕方も、変わりました。例えば文学作品だと、動いてみると、全然見えてくる世界が違います。教師が、演劇的手法を使って授業をつくりあげていく中で、作品の面白さや協同的に作品を読むということの意味合いを実感していくのが楽しいです。「腑に落ちる」感じがある。同僚とは、言葉だけでやりとりしている授業を見ると、「ロールプレイしないともったいないって思えてくるよね。体動かせばわかるのにって思っちゃうね。」なんて話したりもします。
平:なるほど。そういう学習者としての身体感覚も、お互い共有しつつあるのかな。


/////////////////// 8 学ぶことの痛み ////////////////////
平これからの展望や課題はありますか?
藤:課題はたくさんありますよ。でも、やってみるとわかる、ということをまず教師が実感したのは大きかったですね。ただ体験重視なので、時間の確保は必須。来年度は、勤務時間内にどのように研究時間を確保していくかも模索していきたいと思っています。カリキュラムのこと、評価のこと……まだまだ課題もありますが、授業を作るときに、「まず、身体を動かしてやってみる」「そこでの実感を拠り所にしながら授業をつくっていく」そのことを通して創造的な授業を作っていくことにチャレンジしていきたいと思います。
平:いやー、聞いている分には、楽しそうですね。
平:最後に、もうちょっと、苦しんでいる話が聴きたいです。笑 研究主任としての悩みとか、ないんですか?
藤:いやいや、だから、日々悩んでますよ…。どうしたら、先生たちがエンパワメントされる校内研究にできるだろうって、頭を悩ませてます。今、新しい研究に取り組んでるでしょう。ベテランの先生と話すと、「自分のやり方がこれであってるんかなって不安になる。」「講師の先生の話を聞くと、いつも、“ああ、これまでの私のやり方は間違っていた……”と自己嫌悪になる。もっと学びたいと思う。」という話をされるんですね。もう、胸が苦しくなります。でも、教師という仕事は、学び続けることが仕事。その痛みから逃げることはできないんですね。
平:ああ……。
藤:新しいことを学ぶということは、痛みを伴うことなんです。それまで自分が信じてきたことを変えないといけなかったり、自分の経験を否定しないといけなかったりする。それは、すごく、傷つくことなんです。
私は、新しいことを学ぶことが好きですし、どんどん変化することを、ある程度楽しめる人間ですが、そうでない人もたくさんおられますし、私も、その気持ちはよくわかります。
教師は、どんどん学ぶこと、変わることを要求されますし、そういう意味では、常に学ぶことの痛みを、強く感じなければいけない仕事だと思います。そうであるならば、やはり、教員一人ひとりの学びや自己存在、尊厳が大切にされる環境、学びの場を保証しなければならない。そして、学ぶことの痛みも、喜びも、共に分かち合えるような関係でありたいと思います。
平:うーん。子どもと同じように、教師も、学ぶ場で、学ぶ人として大切にされる…同型性ということですね。
藤:はい。子どもたち同様、教職員も学ぶコミュニティを、自覚的につくっていく必要があるなと思います。
今、ちょうど人事異動のシーズンで、別れがつらいんですね。
でも、その別れのつらさ、痛みを、残ったメンバーで分かち合って、また残されたメンバーでいい学校をつくっていくしかない。痛みを共に分かち合う人がいる、ああ、学校で働いていてよかったな、って思います。
学ぶ喜びは、一人でも、学校外の人とでも分かち合えますが、学ぶことの苦しさ、難しさ、痛みは、現場を共にしている人とだから分かち合えるものであるとしみじみ思います。だから、同僚は大切にしたい、される職場でありたい、と思います。
平:なるほど。来年度、本発表ですね?
藤:はい。2018年11月30日(金)を予定しています。
平:観に行きます。写真も撮ります。楽しみにしています。
藤:ありがとうございます。よろしくお願いします!
平:では、そろそろお時間です。最後、リスナーのみなさんにメッセージを。
藤:はい。教師がよき学び手であること、そのために、学ぶことを楽しみ、自分たちの創造性を実感できるような研修をつくっていきたいと思っています。自分たちの学びの場を豊かにつくることができる、学びにセンシティブになれる、そのことが、日常の学習の場を充実させていくと思います。是非、みなさん、これからも情報交流しながら、教員も子どもたちも豊かに学びながら幸せに生きられる社会をつくっていきましょう。
平:ありがとうございました。では本日最後の曲は……
藤:湯川潮音さん『その日わたしは』。
平:では、みなさん、曲を聴きながらお別れです。次回は金曜日、最終回のティーチャーズレディオでお会いしましょう!
平・藤:さようなら!

//////MM802. 午後10:30『ティーチャーズレディオ』放送終了//////

//////////////////// 番組からのおしらせ ////////////////////
(1)  藤原由香里 website : https://tururatta.jimdo.com
修士論文の要旨や目次はworksよりご覧になれます。
(2) 八幡市立美濃山小学校の公開研究発表会についての情報が欲しいという方は、藤原個人宛てにご連絡ください。
Mail : kaicook@gmail.com
Facebook : https://www.facebook.com/Yukaicook
(3) 今年度の研究紀要を抽選で1名様にプレゼントします。ご希望の方は、kaicook@gmail.com まで【お名前・メールアドレス】を添えてご応募ください。3/29(木)24時〆切。
/////////////////////////////////////////////////////////////

==================================================================
 藤原さんありがとうございました。
 DJ方式での校内研修のプロセス報告、とてもおもしろかったです。ただ、ちょっとイレギュラーな原稿なので、これまでと書式を変えて発行しました。プラウザやメーラーによっては、読みにくい方もいらっしゃるかも知れません。ご容赦ください。
 藤原さんが研究主任を務める美濃山小学校の校内研修については、これまでも本メールマガジンで渡辺貴裕さんご執筆の66号、平井良信さんご執筆の70号などで、取り上げられて紹介されています。そちらと合わせて、ぜひお読みください。
66号 http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/blog-entry-3155.html
70号 http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/blog-entry-3172.html
 私も校内研修に関して、同型性を大切にしてきました。かつて道徳の公開研修会を行った時には、ロールプレイ型の授業については、授業検討会をロールプレイで行う。ワークショップ型授業なら検討会もワークショップで、というように。
 今回の文章を「対話」ベースで書きしるすという「冒険」も、藤原さんらしいアプローチだなあと感じました。

 いよいよ本メールマガジンも大詰めです。正規の号は、3月30日金曜日。塩崎義明さん(浦安市立高洲小学校教諭)の号をもって、修了です。
 その後、31日にこれまでの全号のインデックスを私がまとめたものを発行します。それで本メールマガジンの締めとなります。
 いろいろな問い合わせがありますが、もちろん、これっきり、今後の発行は一切しません。後少しお付き合いください。
==================================================================
メールマガジン「教師教育を考える会」
79号(読者数2653)2018年3月27日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
==================================================================
スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/tb.php/3190-6c61ae2d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

小澤も、クロモリも «  | BLOG TOP |  » 個別・協同・プロジェクト化の融合実践としての『わたしたちの「撮る教室」』のことを、もう一度書いてみようと思う

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター

最新記事

プロフィール

石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

月別アーカイブ

最新コメント

カテゴリ

未分類 (53)
教育 (2236)
音楽 (271)
雑記 (343)
映画 (17)
読書 (32)
美術 (15)
研究会等 (10)
自然保護 (9)
CD&DVD (0)
育児 (30)
自然 (82)
対話 (7)
思考 (38)
演劇 (5)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。