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2018-02

教師教育メールマガジン53号青山新吾さんです! - 2017.12.27 Wed


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メールマガジン「教師教育を考える会」53号
         2017年12月26日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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インクルーシブ発想の教育を進められる人材を増やしたい
          ノートルダム清心女子大学
            人間生活学部児童学科 青山 新吾
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 53号は、青山新吾さんです。20数年前から「ことばの教
室をスタートに、特別支援教育やインクルーシブ教育に関して
一貫して精力的な発言を続けてこられた方です。現在は、岡山
のノートルダム清心女子大学/人間生活学部児童学科です。
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 インクルーシブ教育ということばが、少しずつ少しずつ、日
常のことばになってきているようです。特に学校現場では、以
前に比べれば、そのことばを耳にする機会が増えているのでは
ないでしょうか。
 ただ、そのことばの意味するところは、現場によって、人に
よってバラバラだと思えます。

 「そんなの無理でしょう・・(そんなってところが不明確で
すが・・)」
 「私の教室はインクルーシブの考え方にたっています(個人
の実践レベルの話で語れることば、概念じゃないのですが・・)」
 「インクルーシブ教育では、子どもたちの発達はどこで保障
されるのでしょう・・(インクルーシブな教育で、子どもたち
の発達を考えていないとは思えないのですが・・)」
等々、多くのお話を耳にします。

 本稿では、我が国の現場で混乱しているインクルーシブ発想
の教育について若干の整理を行ったうえで、その教育を進めら
れる教師を育てるために何を考えていけばよいのかを検討しま
す。

1 「日本」のインクルーシブ教育のかたちを模索する
 8名の研究者のお力を借りて、2016年4月に『インクルーシ
ブ教育ってどんな教育?』という書籍を学事出版より刊行しま
した。そこでは、8名が、それぞれの立場からインクルーシブ
教育についての考えを示しています。

 例えば川合紀宗氏(広島大学)は、ザ・インクルーシブ教育
というものは存在しないこと、日本型インクルージョン、イン
クルーシブ教育とはこういうものだという明確な哲学的立場を
示す必要があることを指摘しています。

 また、野口晃菜氏(株式会社LITALICO)は、日本で
はインクルーシブ教育を障害のある者とない者が共に学ぶ仕組
みと捉えがちですが、ユネスコの定義では、教育そのものの在
り方を問うていることを指摘しています。もちろん、一人一人
の子どもたちを「個」として見つめ、その背景を読み解きなが
ら応じていくことは重要です。それはまさに「特別支援教育」
の得意技であり、そういった個別の指導・支援の考え方も1つ
の大きな要因です。
 このように、今、私たちには「日本」のインクルーシブ教育
のかたちを模索することが求められているのです。

2 自分の頭で「日本の」インクルーシブ教育のかたちを考え
るために
 ここでは、先述の問題意識を踏まえ、私の勤務する大学の講
義において、教職を目指す学部生と取り組んでいる実践の概略
を紹介します。

(1)個別文脈性と「エピソード語り」や「エピソード」の記述
特別支援教育が進んだことによって、学校教育の中で「個別」
に指導・支援するという考え方が充実してきました。また、子
どもの言動の背景を考えるという思考も拡がってきていると思
います。反面、その背景を「障害特性」で説明しきってしまお
うという傾向も見られているように思います。しかし、子ども
たちは、様々な関係性の中で生活しています。その関係性の中
で、多様な要因が考えられます。そこで、私は「エピソード」
の語りと記述を通して、子どもと子どもを取りまく関係を描き
出す練習を行っています。その手順は以下の通りです。

・「気になるあの子」を一人選び、その子どものエピソードの
中で、自分にとって心が動かされた場面を想起します。
・そのエピソードの中で、子どもと自分自身との関係、その子
どもと周囲との関係、自分自身の思いをメモ書きします。
・4人グループで、一人3分以内でそのエピソードを語り合い
ます。
・グループ内で感想を交流しながら、作成したメモを修正、加
筆します。
・メモを元に「エピソード」を記述します。
・グループを変えて、記述した「エピソード」を読み合って感
想を交流します。

 ここでは、個々の子どものストーリーを書き手の内面を通し
て記述しようと試みています。子どもの行動だけを記述してい
るわけではありません。書き手自身を棚上げしないで記述する
ことを求めています。これらによって、一人一人の子どもたち
の「個別文脈性」とでも呼ぶべき「個の物語」が描き出される
ことになるのです。

(2)「教えやすさ」と「学びやすさ」
 教師が子どもを指導する際に「教えやすさ」と「学びやすさ」
の発想の違いは重要です。教師サイドからみた「教えやすさ」
と子どもの立場に立った「学びやすさ」の発想の違いは、教育
を構想する際に、大きな違いとなって表れると考えられるから
です。そして、インクルーシブ発想の教育を展開できる教師を
育てるとすれば、子どもの立場からの発想、すなわち「学びや
すさ」の発想を体感し、腑に落ちた体験を積めるようにするこ
とが重要になります。インクルーシブな教育では、多様な子ど
もたちが、どこでどのように何を学べているのか? つまり
「個の学び」を丁寧に追いかける必要があるからなのです。
 そのためには、具体的にどのようなことが考えられるので
しょうか。

 私が担当する「知的障害児教育」の講義の中で、模擬授業場
面を設定しています。4人グループを作り、そのグループで合
計4回の模擬授業を行います。その際、授業者以外は「子役」
を演じることになります。
 グループで模擬授業を行う際には
 ・授業の目標、展開、教材
はもちろんのこと
 ・どのような子どもがいるのか?
という「子役」の設定のための研究が重要になるのです。

 この模擬授業では、教師の「教えやすさ」すなわち教授テク
ニックを問題にはしていません。あくまで「子役」を演じてい
る学生が子どもの立場に立って、分かったか分かりにくかった
か、不安はなかったか等を「教師役」にフィードバックしてい
くことにポイントがあります。つまり、教師の教え方が上手い
かどうかではなくて、子どもは学べたのか学べなかったのか?
 を課題として考えていくということなのです。
学生自身が「子役」を演じ、子どもの側の感覚で、「教師役」
と意見を交流しながら授業をつくっていく試みを行っているの
です。

3 インクルーシブ発想の教育を進められる教師
 インクルーシブ発想の教育は、障害特性対応の特別支援教育
とは異なります。
 インクルーシブ発想の教育を考えるためには、人は様々な関
係の中で暮らし、育って生きているという捉え方が前提だと思
うのです。
 そこには「多様性」というキーワードがあります。
 「多様」な子どもたち一人一人の違いを捉えていくというこ
とは「個別文脈性」とでも呼ぶべき「個の物語」を読み解こう
とすること、一人一人の子どもたちの立場に立った「学びやす
さ」を検討、追究することだと考えているこの頃なのです。

 インクルーシブ発想の教育を進められる教師を育成するため
に、何を考えればよいのかが本稿のテーマでした。
 そのためには「個別文脈性」と「個の学びやすさ」を基盤と
しながら、それぞれの教師が、インクルーシブ教育に対する
「哲学」を自前のことばで考え、自前のことばで追究し続ける
ことが求められているのだと思います。そして、実はその絶え
ざる追究過程そのものが、実はインクルーシブ発想の教育と言
えるのかもしれません。

【文献】
・青山新吾他(2016)インクルーシブ教育ってどんな教育? 学

出版
・授業づくりネットワークNO.25「インクルーシブ教育を実践
する!」 学事出版

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 青山さん、ありがとうございました。
 実はちょうど今日、私は北海道のとある高等支援学校で、授
業づくりに関する講演(講座)をしてきたところでした。
 発達の凹凸の大きな子どもたちが通う学校ですが、職員の3
分の1にも達しようかという人数の新採用者がいます。彼らの
多くは、自身はやはり従来からの、言ってみれば「平均的多数」
を対象として展開される授業になじんでおり、その形への適性
もそれなりに高く学校生活を過ごしてきました。授業を拝見す
ると、みなさんのがんばりがとてもよく伝わってきます。一方
でそれ故に、<「個別文脈性」とでも呼ぶべき「個の物語」を
読み解>き、<一人一人の子どもたちの立場に立った「学びや
すさ」を検討、追究>して授業を創り上げていくことに、苦し
んでいる様子もよく伝わってきます。
 「インクルーシブ発想の教育を進められる教師」をどう育て
ていくか、昨今の厳しい採用構造の中で、大学で現場で、教師
教育者が、彼らに寄り添いながら育てていく方法も工夫も、本
当に求められている、と感じます。

 次号は、12月29日金。私が、本メールマガジンを読んで
くださっているみなさんへの感謝の気持ちも含めて、今年の最
終号を書いてみようと思います。
==============================================
メールマガジン「教師教育を考える会」
53号(読者数2582)2017年12月26日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
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