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2018-02

教師教育メールマガジン49号前田康裕さんです! - 2017.12.12 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」49号
         2017年12月12日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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教師としての私の成長物語
              熊本大学教職大学院准教授
                      前田 康裕
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 49号は、前田康裕さん(熊本大学教職大学院准教授)で
す!。熊本の公立小学校の教員として、また民間教育の世界
においても、広く知られる実践家です。教職大学院に席を移
し、教師教育の分野でのご提案にも注目が集まっています。
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1 自己紹介
 皆さん、こんにちは。前田康裕と申します。今年の3月ま
では熊本市内の小学校で教頭を務めておりました。4月から
は熊本大学教職大学院の准教授を務めております。教育実践
としては、図画工作・美術教育、ICTの活用、小学校英語活
動のカリキュラム開発、漫画・イラストによる教材開発など
を行ってきました。
 教師になったのが昭和60年。あれから34年が過ぎようとし
ています。本稿では、私自身が教師としてどのように成長し
ていったのかを振り返り、現在考えていることを書きたいと
思います。

2 私自身の教師としての成長
(1)1年目~10年目 教育技術への傾倒
 初任教師時代は苦しみの連続でした。授業が成立しなかっ
たからです。特に国語の時間は、何をどう話し合わせればい
いのかが分からず、子どもたちが退屈しているのを感じる毎
日でした。通勤するたびに胃が痛くなるほど悩んでいたので
す。
 ちょうどその頃に出会ったのが教育技術の法則化運動でし
た。尊敬している有田和正先生も参加している運動だと聞い
て、躊躇せずに参加したことを今でも覚えています。それか
ら、向山洋一先生、野口芳宏先生といった日本を代表する教
育実践家を知ることになり大きく影響を受けていきました。
 教育技術の法則化運動は、その当時から批判も多くありま
した。管理職から直接注意を受けたこともありましたが、私
自身はこの運動に没頭していくことになります。当時の法則
化運動に賛同する教師たちは、積極的に法則化論文を書き全
国的な研究会に参加する積極派と、法則化シリーズとして刊
行された出版物を追試するだけの消極派に別れていました。
私自身は積極派として活躍の場を見出し、法則化シリーズの
書籍も出版しました。「完成された教育技術は存在しない」
といった法則化の理念や「21世紀になったら解散する」とい
う潔さに共感を覚えていたからです。漫画やイラストといっ
た私の強みを見出してくれたのは向山洋一先生でした。
 様々な批判を浴びながらも法則化運動に参加したことは、
そのあとの自分の人生に大きな影響を与えました。その一つ
目は、自分の授業を記録し法則化論文にまとめていくという
プロセスで省察が習慣化されたことです。二つ目は、ビジネ
ス書を含めた様々な書籍を読むことが習慣化されたことです。
三つ目は、深澤久先生、横山験也先生、福山憲市先生といっ
た後の教育界のリーダーとなる多くの教師と知り合いになれ
たことです。
 この時期は、まさに学び続ける教師としての土台をつくっ
た時期だったように感じます。

(2)11年目~20年目 授業観の大転換
 教師になって11年目に熊本大学教育学部附属小学校に赴任。
その頃、私の教育観を大きく変えた出来事がありました。そ
れは、プロジェクト学習との出会いです。サンフランシスコ
でプロジェクト学習の教員向け研修会があるということを聞
き、思い切って参加することにしました。山の中にある研修
場にはたくさんのコンピュータが置いてあり、そこで私は、
アメリカ人の教師たちと協働しながら日本の文化を伝えるデ
ジタル教材を作成したのです。それは、今までの指示・発問
を中心とした教師主導型の授業とは全く異なるものでした。
 学習者の側に立って授業を考察すると、仲間の存在が非常
に重要になってくることに気づきました。仲間の知識や技能、
一緒に学習を楽しむという人間性が学習に大きく作用します。
このような協働して作り上げていく学習を浴びるように経験
したことは、私の授業観を大きく変えることになりました。
いわゆる社会的構成主義に基づいた授業観です。
 ちょうどその頃、日本では総合的な学習が始まろうとして
いる時でした。指示・発問を中心とした教師主導型の授業を
決して否定するものではありませんが、そのやり方では総合
的な学習は成立しません。その頃出会ったのが、NHKの放送
番組で見た三宅貴久子先生の授業実践でした。子どもたちを
学習へと導いていく三宅先生の教師のあり方に大きく影響を
受け、やがて私は総合的な学習の専科教員となり、5年間、
ICTを活用したプロジェクト学習を推進していく役割を担う
ことになっていきます。
 授業観の大幅な転換によって、私は学習理論に興味を持つ
ようになり、岐阜大学の大学院に進学することにしました。
岐阜大学教授の益子典文先生に師事し、学会に通うようにな
り、実践知と理論知をむすびつけていく面白さを実感するよ
うになったのがこの頃です。その頃に出会ったのが、中川一
史先生、堀田龍也先生、木原俊行先生といった日本のICT教
育を牽引していく研究者の先生方です。
 この時期は、実践から理論を導くことに大きな価値を見出
していった時期だったと言えましょう。

(3)21年目~30年目 教師教育への目覚め
 附属小学校を出てすぐに赴任した学校では、校長先生から
「少人数指導の国語科専科となって国語の学力を向上させて
ほしい。」と言われました。初任教師のときに苦しんだ国語
科の専科教員になることには大きな抵抗がありましたが、こ
れもまた何かの試練だと考えて引き受けることにしました。
 その頃、日本ではPISA型読解力が話題になっていました。
そこで私は、そうした学力を向上させるために、ICTを活用
したプロジェクト学習を国語科でも推進していくことにした
のです。翌年度からスタートした全国学力テストの結果、特
にB問題が良好だったので、学力を向上させていく方略をつ
かんだ時期でもありました。
 5年後、私は熊本市教育センターの指導主事となり、ICT関
連の研修やICT関連の管理・運営を担当することになりまし
た。後に、熊本市教師塾「きらり」の主査となり、教職経験
4年目から10年目までの若手教師の力量形成を図るための研
修を企画していくことになります。「きらり」では、塾生は
その専門性に応じて師範とよばれる力量の高い教師とペアに
なります。塾生は師範の授業を見学し、師範の教育技術だけ
ではなく、それを支える教育理念についても学ぶことができ
ます。そのようなシステムを教育センターの職員と協働して
作りました。また、その特別講師として真っ先に招聘したの
が、有田和正先生と野口芳宏先生です。意欲溢れる若い教師
たちが一流の実践家と出会うことによって、教師人生を豊か
なものにしていくと私は信じていたからです。
 この時期は、後輩の育成に全力を挙げることで、教師教育
にやりがいを感じるようになった時期です。

(4)31年目~32年目 カリキュラムの重要性への気づき
 熊本市教育センターを出て、私は初めての教頭職を務める
ことになります。しかし、授業や研修ができないばかりか、
事務仕事やクレーム対応に追われることになり、次第に大き
なストレスが溜まっていくようになっていきました。また、
土日や夜間に開催される地域の会合や行事が、私にとっては
わずらわしく感じられました。今まで培ってきた授業研究の
知識が生かされないからです。
 しかし、2016年4月に起こった熊本地震によって、そのス
トレスは吹き飛ぶことになります。地域の方々が結束して避
難所を開設し多くの被災者のお世話をしている様子を見て、
大きく感動したからです。地域の行事は人と人とがつながっ
てコミュニティーを形成するために大きな役割を果たしてい
たことに気づき、自分の考えが間違っていたことを痛感しま
した。それから私は地域の行事に積極的に参加し、地域の
方々の考えや取り組みから学ぶようになり、こうした人々の
働きを教育に生かそうと考えるようになりました。ありがた
いことに、当時の6学年の先生方が、地域の取組を総合的な
学習として発展させてくれました。
 日本の教師は1時間の授業研究には非常に熱心に取り組む
けれど、学校全体のカリキュラムにはあまり興味関心を持た
ないという傾向があります。今まで1時間の授業をどう組み立
てるか、あるいは1単元の授業をどう構成するかといったこ
とに囚われていた自分をおおいに反省しました。
 この時期は、よりよい社会をつくるための教育には、私一
人ではなく教師集団も家庭も地域も一体となって取り組む必
要があることを実感した時期でした。まさにカリキュラム・
マネジメントの重要性が理解できたのです。

3 今、考えていること
 今、私自身考えていることは、これからの人生をどう生き
るかということです。
 松尾芭蕉の言葉で「古人の跡を求めず、古人の求めたると
ころを求めよ」というものがあります。「昔の偉人たちが残
した結果を真似るのではなく、偉人たちが何を求めようとし
たかという志を求めなさい。」という意味だと捉えています。
私にとっては、有田和正先生も向山洋一先生も野口芳宏先生
も尊敬すべき偉大な師です。しかし、その師のやりかたを真
似るのではなく、教師の力量形成の在り方を求めて全国の教
師に発信していくという志を受け継ぎたいと考えています。
 そこで私は、自らの強みである漫画という表現の形態を
とって、自らの主張を本として書き表すことにしました。そ
れが、『まんがで知る教師の学び』(さくら社)シリーズで
す。1作目は、ハウツーものではなく、様々な世代の教師が
悩みもがきながらも、省察することによって自分を変えて成
長していくという物語です。2作目は、研究主任の代理をや
らされることになった若い女性教師が四苦八苦しながらも、
仲間の協力を得ながらリーダーとして成長していく物語です。
そして、来年2月発刊予定の3作目は、多忙化によるストレ
スに悩む教師集団が震災対応に取り組む地域住民と関わるこ
とによって自らを見つめ直し成長していくという物語です。
このシリーズは、同じ教師仲間全体への連帯のメッセージで
もあり、これから先に教師の道を選ぶ後輩たちへの激励の
メッセージでもあります。また、自分自身が教師として生き
てきた道のりの記録でもあるのです。
 現在、幸せなことに教員養成大学において教師教育に関わ
ることになりました。責任重大ではありますが、私は省察す
ることの大切さや 教師同士が協働して問題を解決していく
ことの重要性を説いていきたいと思っています。
 人は強みでこそ成果を挙げると言ったのはドラッカーです。
自分の強みを生かし、人生を楽しみながら教師教育の仕事に
携わりたい、そのことが自己実現であり、自分の人生を豊か
にしていくものだと考えています。

==============================================
 私は、前田先生のお仕事には、明治図書の雑誌のイラスト、
そしてご自身の著書などを通じて、早くから触れ、学んでき
ました。後に知己を得て、時々やりとりを交わす機会もあり
ましたが、ご自身のライフヒストリーをこのように丁寧に紡
いでいただくことで、点でしか知り得なかったお仕事の流れ
が大変よくわかりました。
 このメールマガジンを読んでいただいているみなさんは、
既に多くの方が手に取っていらっしゃると思いますが、前田
先生がご自身の論考の中でも触れておられる『まんがで知る
教師の学び』(さくら社)のシリーズの第一巻は『まんがで
知る教師の学び これからの学校教育を担うために』です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4904785983/
 これは、教師教育(学)の入口として、ぜひともみなさん
にお読みいただき、そこから様々な文献へと関心を広げてい
ただきたい一冊です。
 これからの熊本大学教職大学院での前田先生のお仕事の進
展が、本当に楽しみです。。

 次号は、12月15日金 岩渕和信さん(神奈川県山北町
立山北中学校教頭)です!
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メールマガジン「教師教育を考える会」
49号(読者数2559)2017年12月12日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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