topimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimagetopimage

2017-09

教師教育メールマガジン20号、荒木寿友さんです! - 2017.09.01 Fri

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
メールマガジン「教師教育を考える会」20号
           2017年9月1日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
教師教育
立命館大学大学院教職研究科 
荒木 寿友
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第20号は、立命館大学教職大学院の荒木寿友(あらきかずとも)さん
です。教員養成に関わりながら、学生と共に海外教育支援や、先端的な
ワークショップ開発など、様々な活動に取り組んでこられた行動する研究
者のお一人です。                   (石川 晋)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.はじめに
 立命館大学の教職大学院で教鞭をとっております荒木と申します。専門
は道徳教育、ワークショップ、教育方法、カリキュラム開発などですが、
『ゼロから学べる道徳科授業づくり』(明治図書、2017)を出版させてい
ただいたことから、世間的にはすっかり道徳教育が一番の専門という認識
になってしまったかもしれません。もともと研究の出発点は、アメリカの
道徳性心理学者コールバーグ(L.Kohlberg:1927?1987)のジャスト・コ
ミュニティ(Just Community)という教育理論と実践を対象としたものでし
たので(『学校における対話とコミュニティの形成』三省堂、2013)、道
徳が専門でも全然間違いではないのですが、根本にあるのは、「教育は
もっと楽しくてワクワクしていいはずだ!」という想いであり、「いがみ
合うのではなく、どうすれば手を取り合うことができるのか?」という問
題意識です。究極的に言えば、「楽しみながら世界平和を実現すること」
が課題意識なのかもしれません(大風呂敷!!)。そんな想いを持ちなが
ら日々を過ごしています。
 そんな私が今回お伝えしたいと考えているのは、どういう教員養成を考
えているのか、どういった教員を育てようとしているのかということで
す。私のこれまでの経験から出てきた現時点でのアイデアを、以下におい
て明らかにしていきます。

2.大学院生時代
 同志社の院生時代は、なんと教育哲学の研究室に所属していました。故
佐野安仁からは本(原典)の読み方、研究のやり方、論文の書き方すべて
において徹底的に叩き込まれました。しかし、20数年前の教育哲学の研究
室にはものすごい先輩が所属していました。たとえば上越教育大学の副総
長の林泰成先生、同志社大学の新茂之先生、卒業生には現在同志社女子大
で学長をされている加賀裕郎先生、早稲田大学の藤井千春先生など、直感
的に哲学の分野ではかなわないと認識したのと同時に、私自身はもっと教
育現場よりのことをやりたいんじゃないかということが頭をかすめていま
した。
 その後、京都大学の教育方法学研究室に所属を移したわけですが、現場
に近いこともやりながらも新たな疑問がでてきました。当時自分のやって
いる研究(コールバーグのジャスト・コミュニティ研究)に一体どんな意
味があるのだろうと思い始めたのです。たぶん博士課程の2年生ごろだっ
たかと思います。私が書いた論文に基づいて実践をしている人もいない
し、私自身もそんなフィールドを持っていないし、自分のやっている教育
学研究に意味はあるのかと途方にくれていました。
 そんなとき、たまたま途上国で学校建築をする海外教育支援のドキュメ
ントを見ました。「あ、これだ!」と直感的に思いましたが、私自身は学
校建築がしたいわけではなかったので、いつか来るその時まで自分の寄っ
て立つ足場をちゃんと固めようという決心はしたことを覚えています。
 「寄って立つ足場」、私の恩師の一人である天野正輝先生の言葉です。
「あなたは実践を見たいって言うけど、何に基づいて見るの?何が見られ
るの?何ができるの?」そんなことを院生時代に事あるごとに言われまし
た。一方の田中耕治先生には早い段階から現場に出ることを勧められまし
た(同じ研究室なのに立場の違う先生が共存することがすごいことで
す)。だからこそ、現場の実践を見ながらも、私はこの実践に対して何を
言うことができるのだろうという基本的なスタンスがこの時期に出来上
がったのだと思います。同時に、現場の先生に対して最大限の敬意を払う
ことも叩き込まれたと思っています。

3.セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでの活動
 さて、その後大学に就職したのですが、日々の講義などに謀殺される中
で海外教育支援をやりたいという気持ちは薄れていきました。ふと我に
返ったとき、「ん、何がやりたいって思ってたっけ?」と初心を思い出
し、国際協力系団体のHPを調べ、片っ端から「私は教育方法を研究してい
る大学教員です。何かお手伝いできることはありませんか」というメール
を送るという無謀な試みをやりました(今思えばかなり笑えるエピソード
ですが)。
 そこで声がかかったのが、ミャンマーでの教育支援を行っている
SAEA-JAPANという団体と、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでした。
ミャンマーでの活動も書きたいのですが、紙幅の関係上ここでは割愛しま
す。
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから声がかかったときは、ちょうど
当団体が「子どもの権利教材」を作成する時期でした。つまり私の仕事
は、その教材が教育現場で信頼性、妥当性、正当性があるかを確かめる役
割だったのです。今でこそ、子どもの権利条約の基本理念「生きる・育
つ・守られる・参加する」はすらっと出てきますが、当時はそんなことも
わからず、ただ単に教育方法として筋が通ったものであるかどうかを検証
する立場でした。
 なおかつ、その時のセーブのスタッフに効果検証のことをかなり言われ
ました。「今回このプロジェクトを実施することによって、私たちはこれ
だけのことを達成しなければならない」。大学教員としての立場の甘さを
自覚する言葉でした。
 実は、大学教員は一旦勤めてしまえば「ぬるい世界」に甘んじることが
できる立場なんです。世間をよく知らない学生を、言葉は悪いですが「騙
す」ことも可能です。大学教員自身に騙しているつもりはなくとも、浮世
離れしたことを伝えて、結果的に学生を「騙して」しまっていることはあ
ると思います。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドバイザーとして
協力することで、私が発する言葉の一つひとつに「本気度」が増していき
ました。なお、このときに出された教材は以下のHPで公開されております
ので、どうぞご覧になってください(Be Partners:子どもの権利教材
 http://www.savechildren.or.jp/file/be_partners.pdf  )。
 そんな折、皆さんもご存知の東北地方を襲う東日本大震災が2011年に起
こりました。何もかもなくなってしまったまちで、「子どもたちによるま
ちづくり」支援のお手伝いをすることになりました。
 従来まちづくりは国家や自治体など行政によるものが主ですが、そのま
ちに住んでいるのは子どもたちでもあるわけで、子どもたちが考える理想
の「まちづくり」を行政に伝えていく必然性を感じていました。まちづく
りへの子どもの参加です。今回私に与えられた任務は、セーブのスタッフ
とともに子どもたちの内なる声をどうやって引き出すのか、それをどう
やって具体的な形にしていくのか、子どもの権利の一つである「参加」を
どう保障していくのか(Speaking Out From Tohoku: SOFTという取り組
み)ということでした。(この時の取り組みについては、セーブ・ザ・チ
ルドレン・ジャパンHPをぜひご覧になってください。
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2116 )
 このまちづくりの取り組みは、常日頃は現地にいるセーブのスタッフが
実施するのですが、年に数回大掛かりなツアーやサミットが開催される時
には臨時でスタッフが必要となります。「荒木さんの大学の学生さんでス
タッフに入ってくれる学生さんいませんか?」という声に応えなければな
らなくなりましたが、誰でもいいわけではありません。ある程度のファシ
リテーションができる人、気配りができる人、問題意識を持っている人、
何より子どもたちと良好な関係をすぐに築ける人が求められます。ただ、
当時の私は立命館大に勤めて間もない時期でしたのでゼミ生もおらず、直
感的に上記の条件に合致しそうな学生に直接声をかけ、東北に連れて行っ
たことを覚えています。
 そこで驚くべき経験をしました。連れて行った学生の成長が凄まじかっ
たのです。被災した子どもたち、まだその傷も癒やされていない子どもた
ち、でも何かやりたいと思っている子どもたち、そういうリアルな子ども
たちを前にして、学生たちは悩みながらも非常に伸びました。
 「本物の場に立たせることによって学生が成長するのであれば、できる
だけ本物の場を学生に提供していこう。」
 この考えの中で誕生したのが、NPO法人EN Lab.(エンラボ:
http://en-lab2013.com/  )です。京都で日常的にワークショップを実
施しながら学生を鍛えつつ、その学生は東北のイベントの際には臨時ス
タッフとして活躍してもらうという流れを作り出しました。EN Lab.を経
験した多くの卒業生が、現在学校の教員やNPOの正規職員(中にはセー
ブ・ザ・チルドレン・ジャパンの契約職員として採用された人もいます)
として日本全国で活躍しています(ちなみにEN Lab.ではミャンマーでの
僧院学校教員支援も細々と行っています)。現在は東北のフィールドはな
くなりましたが(SOFTが2015年末で完了したため)、引き続き「本物の
場」に学生を立たせる工夫をしています。

4.教員養成課程の問題
 大学では教員養成を担う一人の教員として働いているわけですが、大学
四年間の教員養成課程で果たして教員を「養成」できているのかという自
問自答は今も昔も続いています。というのも、私が感じる「学生が最も伸
びる」と感じるのは、教育実習を体験したときだからです。しかし、大学
4回生で教育実習を経た後に残っている教職課程科目は、「教育実習事後
指導」と「教職実践演習」という授業のみ。つまり、教育現場でさまざま
なことを経験し、どのような知識やスキルが必要で、自分には何が足りて
いないか明確にわかったときには、教員免許取得上、大学で学ぶものは何
も残っていないのです(ごく一部科目を落としている学生もいますが)。
 おそらくここにも、学生を「本気にさせる場」「本物の場」というト
ピックが関わっているかと思います。それは逆に、大学で行われる講義そ
のものが学生の「本気」を導き出せていないという問題にもつながりま
す。私の講義も例外ではないでしょう。たとえば現職の先生に来てもらっ
て話をしてもらっても、私がどれだけ講義内容にリアリティを持たせよう
としても、実際に学生にワークショップをやってみても、それらは所詮学
生にとっては「間接的な経験」でしかなく、当事者意識を持つことは困難
なのです。
 塾の講師やキャンプリーダーをしている学生は、私が教育方法論の授業
で扱う教育の技術(いわゆるスキル系の内容)には食いついて、すぐに自
分のフィールドで試してくれることがよくあります。それはそれでありが
たいことなのですが、でも、これってものすごく表面的な当事者意識なん
ですよね。私はよく水に浮かぶ氷山を例にして話をするのですが、目に見
える教育技術や知識(水面上に浮かんでいる氷の部分)の下には、見えて
いない教育技術や知識、その人のものの見方や考え方、哲学、在り方が隠
されている(そしてこちらの方が大きい)と説明します。そして、在り方
や哲学といったものは、実際の子どもたちと対峙し、かつ困難に直面した
ときにはじめて気づくものです。大学の教員養成課程に決定的に足りてい
ないのはまさにこの点なのです。そして、私がNPO法人で補おうとしてい
るのは、まさにこの点なのです。

5.おわりに?これからの教員養成?
 自分をどこまで掘り下げて深く見つめることができるか、あるいは深く
掘り下げないまでも、深く掘り下げていく術を身に着けているか、それが
これからの教員養成に必要なことであると感じています。ほどよくうまく
やっていくこと(たとえば上手に単位を取ること)が学生時代に最も大切
なことではなく、自分の価値観を揺さぶり壊すような大きな「存在」に出
会い、自分のこれまでの経験を「再構築」するような、そのような体験を
することが大切で、それによって、より確固とした自分が形成されるので
はないでしょうか。
 教育は楽しくてワクワクしていいはずだという思いは今も当然持ってい
ます。ただし、それは表面的な楽しさやワクワクではありません。NPO活
動で子どもたちを対象にワークショップをしているという姿だけを見る
と、そのあたりはなかなか理解されにくいところもありますが、人間の深
いところを通ったからこそ浮かび上がってくるような、楽しさやワクワク
を、今後も目指していこうと考えています。
 同時に、大学の教員養成の場においても、リアルな場で自分と向き合え
るような、そんな機会を提供できる方法を探っていくのが今後の大きな課
題となっています。

 〇最後に告知です。
 9月23日?24日に立命館大学衣笠キャンパスで、日本道徳性発達実践学
会が開催されます。
 よろしければぜひおいでください!
 詳しくは下記ホームページを参照してください。
http://jssepmd.jp/

==================================================================
 実はこのメールマガジンを編集しながら、ある雑誌の「越境」をテーマ
とした依頼原稿で、ゲストティーチャーを呼ぶ実践を通して感じていたこ
とをほぼ同時進行で書いていました。現場にいた折も、主催する研修会な
どでも、「どうやってゲストティーチャーを呼ぶのですか」という根本的
な質問に直面して、越境できる先生と越境できない先生との「間」にある
ものは何なのだろうと考えています。
 「自分の価値観を揺さぶり壊すような大きな「存在」に出会い、自分の
これまでの経験を「再構築」するような、そのような体験をすることが大
切」と荒木さんは、教員養成に関してご自分の様々なトライアルを背景に
実感を持って語られています。学生時代の学び(方)が現場教員として現
場を賦活していく力になっていくために、現職の学び(学び方・学びの
場)はどうあればいいのだろう、そういうことを考えています。

 今号でついに、読者の方が2500名になりました。引き続きみなさん
このメールマガジンを広くご紹介いただけたらと思います。
 次号は、9月5日火曜日。館野峻さん(品川区立義務教育学校教諭/
Teacher's Lab.理事)です。小学校教員として勤務しながら、地域づくり
の活動に参画し、その経験を結び付けながら、新しい教員の学びを創出す
るための場づくりに挑戦する若手です。
==================================================================
メールマガジン「教師教育を考える会」
20号(読者数2500)2017年9月1日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
==================================================================

◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます
※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです

◎教師教育を考える会
のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000158144/index.html?l=odt096a77f

◎教師教育を考える会
の配信停止はこちら
⇒ http://www.mag2.com/m/0000158144.html?l=odt096a77f

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/tb.php/3090-3b340e3e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【コンサートその9 東京混声合唱団いずみホール第22回定期演奏会 2017.8.30】 «  | BLOG TOP |  » 教師教育メールマガジン19号、大和信治さんです!

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター

最新記事

プロフィール

石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

月別アーカイブ

最新コメント

カテゴリ

未分類 (50)
教育 (2165)
音楽 (260)
雑記 (341)
映画 (15)
読書 (31)
美術 (12)
研究会等 (10)
自然保護 (9)
CD&DVD (0)
育児 (30)
自然 (82)
対話 (7)
思考 (36)
演劇 (5)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード