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2017-09

教師教育メールマガジン18号、赤木和重さんです! - 2017.08.25 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」18号
         2017年8月25日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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【「アメリカの教室」から見えてくる教師教育ぽい話】
神戸大学大学院准教授
                            赤木 和重
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第18号は、神戸大学の赤木和重さんです。『アメリカの教室に入って
みた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで』(ひとなる書
房)が大変話題になっているので、ご存知の方も多いかと思います。アメ
リカの教室から、教師教育を考えていただく内容です。  (石川 晋)
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 はじめまして,神戸大学の赤木和重と申します。専門は発達心理学で
す。特に,障害のある子どもの発達について研究しています。
 のっけから言い訳になってしまうのですが,ワタクシ,教師教育の専門
家ではありません。そのため,教師教育について十分に語れるわけではあ
りません…。とはいえ,勤務校で,教職科目(特別支援学校の免許科目)
を担当していますし,巡回相談や発達相談という形で学校現場とのかかわ
りもあり,全くの専門外というわけでもありません。

 ということで,今日は,教師教育のど真ん中の話というよりは,その周
辺的な「ぽい」話を書くことでご容赦いただけますと幸いです。

◆『アメリカの教室に入ってみた』◆
 とっかかりとして,今年1月に出版した拙著『アメリカの教室に入って
みた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで』(ひとなる書
房)の紹介からはじめます。2015年度に,在外研究を利用して,1年間,
アメリカのニューヨーク州にあるシラキュースという街で家族と生活する
機会に恵まれました。

 まぁ,しかし,大変でした。アメリカに行くのがはじめてなことはもち
ろん,そもそも肝心の英語ができないわけです。どれくらいかというと,
滞在当初,「How are you?」とか「desk」という発言がネイティブに通じ
なかったレベルです。いやー,さすがに自分でもビビりました笑。

 そんな状況の中,我が子ども(当時,8歳の娘と3歳の息子)が通う小学
校と幼稚園を探します。シラキュースは日本人が少ないので日本人学校は
ありません。必然的に,現地の学校に通うことになり,保護者として現地
の学校に入り込みました。そのことが研究者としての私にとって大変貴重
な経験になりました。渡米前には想定していなかったことです。

 娘が年度途中から通ったNew Schoolという異年齢教育を実施している私
立学校には,100日近く通いました。子どもとも仲良くなり,子どもから
たくさんのことを学びました。帰国直前に,6年生の男に,「Kazu,お前
の英語,うまくなったなぁ」と私の成長を実感してもらえるほど(まわり
の教師たちはなぜか爆笑してましたが),よく遊びました。

◆海外の学校を見学することの意味:「情報を得る」「答えを得る」「問
 いを得る」◆
 現地の学校の教室に入りこむことを通して,海外の学校を見学・菅申す
る意味が私なりに見えてきました。3つに整理することができました。そ
れは「情報を得る」「答えを得る」「問いを得る」という3つです。

 「情報を得る」というのは,海外の教育事情を知ることです。一次情報
に当たれるというのは,本当に貴重で,文献を読むだけではわからなかっ
たことが見えてきます。例えば,私が見学した幼稚園・学校(貧困地区・
富裕地区問わず)では,ランチのときにみんなで「いただきます」をしま
せん。準備ができた子から自由に食べ始めます。合理的ともいえますし,
バラバラともいえますが,是非はともかく,このような事実を知ること自
体が貴重です。

 「答えを得る」というのは,日本の教育問題の解決につながるような,
優れた教育プログラムを得るということです。アメリカの学校現場で行わ
れている「〇〇プログラム」「〇〇モデル」「〇〇メソッド」を視察し,
それを日本に導入していこうといったものです。特別支援教育に多くみら
れる傾向です。

 最後に「問いを得る」ことについてです。海外の学校を知ることで,日
本の教室で,なんとなく行っていることに,「それってそもそもなんです
るの?」という疑問を得ることができます。「いただきます」の話に戻り
ます。日本の教室にもよりますが,教室全員もしくは班全員で「いただき
ます」を言ってから食べ始める傾向は多いでしょう。しかし,そもそもな
ぜ「一緒・一斉」に食べ始める必要があるのでしょうか?準備ができはじ
めた子どもから食べたほうが合理的ですよね。「熱いものは熱いうちに」
食べることができますし。それに,衝動性が高く「待つ」ことが苦手な子
どもの場合,この「いただきます」システム(=一緒・一斉システム)は
悲劇です。待てないために,先生に注意される頻度が増えます。結果とし
て,「気になる」部分がより可視化され,どんどん「気になる」子になっ
ていきます。もし,準備ができた子どもから食べ始めるのであれば,彼の
「気になる」ところは気になりにくいでしょう。

 急いで断っておきますが,ここでは「いただきます」の是非を議論した
いわけではありません。そうではなく,海外の教育事情を知ることで,自
分たちが,特に意識せずにおこなっている教育方法や教育観を自覚し,そ
の意味を問い直す契機になりうるんだよ,ということを言いたいのです。

◆教師教育で考えたいもの:特別支援教育の領域から◆
 さてやっとこさですが,教師教育の話に戻ります。学校の先生や,教師
を目指す学生の悩みを伺っていると,「いま・ここ」の枠内にしばられて
いるなぁと感じることが,しばしばあります。例えば,「ごはんを先に食
べる。他の子を待てない。待たせるためにはどうしたらいいか」「着席し
ない。どうすればいいか」「すぐに他の子どもを叩く。叩かないようにす
るにはどうすればいいか」などなど…先生方にとっては,いずれも本当に
切実な悩みだと思います。

 その一方で,「こうあるべきだ」「なんとなくそういうものだ」という
価値観に無自覚にしばられているために,結果として,自分と子どもを追
いつめてしまっているようにも見えます。

 海外の教育を知ることで,「別に一緒一斉に『いただきます』しなくて
いいかも」と考え,悩みそのものをずらしていくことが可能になります。
もちろん,『いただきます』にこだわっている理由を自覚し,そのうえ
で,「待つ」ことを重視する教育もアリでしょう。

 着席しなくても話は聞けますよね。「いかに座らせるか」という答えだ
けを求めるのではなく,「歩き回ってもよい授業」を考えても面白いかも
しれません。それに,そもそも座らないのは,子どもにとって,授業がつ
まらないからかもしれません。子どもに聞いてみるのもいいですよね。教
室の中であっても,自分の「外」に出ることもできます。

 特別支援教育の場合,先生方がどこかで「障害のある子どもむけの特殊
な教育技術やプログラムが必要」と考えているふしがあります。もちろ
ん,その側面はあります。ただ,このような側面が強くですぎてしまう
と,「情報を得る」「答えを探す」方向にいってしまいます。海外の教室
をみたとしても,それが,今の自分の授業の前提を問い直すことにつなが
りにくくなり,結果として,既存の枠内で教育を狭く考えることにつなが
ります。

 もっとも,「以上より,『問いを得る』ために,エブリワン,今からア
メリカにレッツゴーですよ!オホホホホゥゥ!」と結論づけるつもりはあ
りません。海外の教室のほうが,より問いを得やすいとは思いますが,で
も,別に海外である必要はないからです。自分の教室の「外」に出ればい
いのです。大事なのは,自分の教室の「外」に出て,3つの意味(情報を
得る/答えを得る/問いを得る)を区別しつつ意識してとらえることだと
思います。

◆最後に…ちょっと宣伝◆
 9月2日(土),3日(日)に,村上公也先生たちと,特別支援に関する
「キミヤーズ塾」なるものを実施します(両日とも同じ内容であり,1日
のみの研修です)。テーマは「コミュニケーション:考えることを楽し
む」。いわゆるメジャーな特別支援教育の話とはだいぶずれています。い
い意味で混乱し,その混乱から普段は意識していない自身の常識的教育観
がいやおうなしにせりあがってくること必至です。まだ席に余裕がありま
すので,よろしければぜひご参加くださいませ。詳しくは,
http://d.hatena.ne.jp/kimiyazu/20170606
をクリックしてください。

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 「学校の先生や,教師を目指す学生の悩みを伺っていると,『いま・こ
こ』の枠内にしばられているなぁと感じることが,しばしばあります」と
赤木さんは書いています。これ、実にシンプルに、教員の閉そく感を言語
化していると感じました。「いま・ここ」はもちろんとても重要なのです
が、その「いま・ここ」を、一方で客観視できる「私」を、担保できなけ
れば…。でも、では、どのような視座を担保すれば、それは実現できるの
か。赤木さんのお話、ぐっとくるおもしろさです。

 次号は、8月29日火曜日。大和信治さんです。EDUPEDIAのお仕事、
Teach For Japanへの関わり、26,27日開催の未来の先生展
http://www.mirai-sensei.org/ への関わりなど、若手の新しい教師支
援・現場支援の動きを代表する一人です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
18号(読者数2480)2017年8月25日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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