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2017-11

教師教育メールマガジン13号、今井清光さんです! - 2017.08.08 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」13号
           2017年8月8日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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演劇経験から得たもの
  東京都立科学技術高等学校・教諭
                             今井 清光
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第13号は、今井清光さんです。30代半ばにして注目の高等学校国語教師の一人で
す。書籍の出版をはじめ、各地での講座活動なども多くなってきています。夏の『学び合
い』フォーラム開催の忙しい中で執筆いただきました。個性的な経歴を振り返る形での、
いわばセルフライフヒストリーアプローチにあたる原稿をお願いしました。(石川 晋)
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 私は20代の頃、私立学校の時間講師をはじめとして、いくつかの仕事を掛け持ちしなが
らフラフラと過ごしていました。今回、私自身の「(教員としての)学びの過程」を等身
大に振り返ってみよという題材といただいたことで、つらつらと当時のことを思い返して
みました。我が身を顧みるに、自分自身がレアケースに思えてなりません。そのままでは
他の方のお役に立たないような特殊な事例ではありますが、少しだけお付き合いくださ
い。

(1)客席からみた自分
 私は20代の大半を、いわゆる貧乏劇団員として過ごしていました。早速、レアケース全
開です。大学は私大の教育学部で、基本的には教員になるつもりでいました。教職課程の
単位も取りましたし、もちろん教育実習にも行きました。
 その一方、高校時代からの芝居好きが高じて、友人に誘われるままに劇団活動を始めま
した。免許状をもらって卒業する時には、正規採用されるつもりは一切なく、何の疑問も
抱かずに演劇を続けることを選びました。ただし、教員になりたい気持ちもあったので
(ここが私のずるいところです)、私学の時間講師をいくつか掛け持ちして、いくばくか
のお給金をいただいていたわけです。
 結局は劇団を辞めて教員になった私ですから、ここで偉そうに演劇について語ることは
非常に恥ずかしいのですが、恥を忍んで「役者としての経験」を書きます。
 一本の公演を打つためには、一定の稽古期間があります。稽古を通して、役者は演出家
の演出を受けることになります。演劇に馴染みのない方にお断りしておくと、「演出」は
「演技指導」ではありません。役者の演技だけでなく、舞台美術や音響、照明、衣装など
のさまざまな要素のすべてを、ひとつの世界観のもとにまとめていくのが「演出」です。
オーケストラでいえば、さまざまな楽器の音を一つの楽曲にまとめ上げていく指揮者のよ
うなものです。
 さて、セリフの有無にかかわらず、役者は舞台上で何らかのアクションをします(無言
で立っているだけだとしても、「ただ立っているというアクションをしている」と考えて
ください)。演出家はそれを見て「ダメ出し」をします。そのアクションが、その場で描
きたいことを的確に伝えているか、チェックするわけです。役者の提案したアクションが
演出家に絶賛され採用される時もありますが、もちろん否定されることもあります。
たとえば、役者は役の抱えている寂しさを表現しているつもりなのに、演出家が見たら
「全然寂しそうに見えない」と言われてしまうのです。
 したがって、役者は「自分が客席からどう見えているか」を常に考えざるを得ないので
す。「役」として激情のただなかにいる(演技をしている)時も、「役者」として「いま
客席からどう見えているかな」と冷静に考える自分がいます。これは特別なことではな
く、教員でいえば「チョークで黒板に字が書ける」というくらい、当たり前のことなので
す。
 この意識は間違いなく、私の教員としての土台を形成しています。最近は「メタ認知」
という言葉がよく聞かれるようになりましたが、私が生徒の前に立つ際に「どう見えてい
るかな」という意識を持てるのは(そして感覚的にそれがわかるのは)、かつて演出家に
稽古を見てもらい、ダメを出してもらった経験があるからです。

(2)アクションの相互作用
 当時の経験から得たものは、まだあります。舞台上で相手役とやりとりをしていると、
相手のアクションによって自分の感情が動かされるのを感じることがあります。たとえば
喧嘩のシーンで、相手役が私を上手に挑発してくるので、私も自然にヒートアップでき
る、ということがあります。
一言でいえば「芝居がやりやすい」ということです。
 反対のこともあります。台本上では、相手が私に憎まれ口をたたいて、私がそれに苛立
ちを募らせていって爆発する…という流れになっているのに、相手のセリフ回しがまった
く憎らしくないために、こちらは爆発したくてもしようがない、というケースです。こう
いう相手を「絡みにくい」と評することは、テレビなどでお聞きになったことがあるかも
しれません。
 セリフ回しだけではありません。相手との立ち位置(間合い)や角度、目を合わせるか
逸らすかという些細な動作も、相手に影響を与えています。
 私は、生徒指導をしている際に、このことをよく思い出すのです。教員のアクションは
目の前の生徒に影響を与えています。コワモテの教員の前で生徒が萎縮してしまう、とい
うケースなら想像しやすいと思いますが、どんな場合でも影響を与えていると考えた方が
無難だと思います。たとえば、「気になる」生徒と面談する際に、教員が安心したいあま
りについ聞きすぎてしまって、生徒は話せなくなってしまう、という場面は容易に想像で
きるでしょう。生徒指導の際に、教員が「落とし所」に露骨に誘導してしまって、生徒が
素直になれなくなってしまう、という場面はどうでしょうか。教員のアクションは、無視
することのできない要素です。
 もちろん、プロの俳優ではない私たちは、自分のアクションを思いのままに操ることは
できません。しかし、そのことを意識し、覚悟しておくことはできると思うのです。自分
のアクションが影響を与えることを前提にするだけで、おのずと意識的になれるもので
す。「どういう影響を与えるかな」と考えることが大切です。

(3)広げる視野、つなげる意識
 以上、10年前の演劇経験を思い出しながら書きました。「そんな経験をしているお前は
例外だ」と思われることでしょう。
 しかし、教員以外の場面で得てきたことは、どんな方にもあると思います。それらを、
ある目的意識のもとに整理し直してみると、きっと多くの気づきが得られるに違いありま
せん。視野を広く持ち、意識的につなげると、自分の意外な強みが見つけられるはずで
す。

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 昨今、学校教育における演劇的手法の可能性が、本当に久しぶりに議論され試みられ注
目を集めています。今井さんの論考は、もちろんそうした文脈からもおもしろい内容でし
た。しかし、それ以上に、一人の先生が歩んできた、それ自体は、個別特殊である学びの
筋に触れることに、どんな意味があるのかということについて、一つの回答の示し方だな
と感じました。自分とは違う誰かの個別特殊な学びの系譜に触れることが、自分の気付き
を呼び、育ちを促す。それを実感できる刺激的な論考でした。
 そう考えると、「アクションの相互作用」、とてもおもしろいですね。学校は、「関係
性」に満ち満ちた場所です。ですから、いろんな場面・状況を捉えなおす有力な手掛かり
になりそうです。

 次号は、8月11日金曜日。武田信子さん(武蔵大学人文学部教授)。コルトハーヘン
の教師教育学を日本に広く紹介した方。日本の教師教育学の現状を考える上で、最も有力
な実践的研究者のお一人です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
13号(読者数2400)2017年8月8日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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