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2017-10

教師教育メールマガジン7号、梶浦真さんです! - 2017.07.21 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」7号
                     2017年7月21日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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【教師が育つ響志組織の創造とカリキュラム・マネジメント】
                 教育報道出版社代表
                             梶浦 真
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第7号は、梶浦真さん。総合的な学習の時間登場の前後から、「学校教
育」の未来に寄り添う形で、提言を続けてこられた編集者、ライターで
す。                         (石川 晋)
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-はじめまして-
 私は【有限会社教育報道出版社】という小さな出版社を営んでいます。
同時に、小中学校の研修講師をさせて頂いています。そんな、研修講師経
験の中から、今、考えていることを即興で書かせて頂きました。最近は、
授業実践における「省察的学習(振り返り指導)」と「学校における組織
的な学習」に関心を寄せています。近著の「アクティブ・ラーニング時代
の<振り返り指導>入門」は第5版を発行しました。次著もいくつか構想
がありますが「協働的な授業分析を通した指導技能の向上」について執筆
を開始したところです。

1.教師に期待される協働的な活動
 教師の「協働的教育活動」に対する期待が高まりを見せています。近年
よく耳にする【チーム学校】という言葉も、教師の協働的な活動に向けた
期待が込められた言葉です。ところで、教師に協働を期待している「主
体」は誰なのでしょうか。教師自身なのか、それとも行政なのでしょう
か。あるいは、時代からの要請という姿の見えない社会的圧力なのかもし
れません。

 平成27年12月に公表された中教審答申には「これからの学校教育を
担う教員の資質能力の向上について ~学び合い,高め合う教員育成コ
ミュニティの構築に向けて~」(傍線は筆者) というタイトルが付けら
れています。ここでは、「技術革新や社会の急速な変化への対応」「ベテ
ラン教諭の大量退職による若手の急増」「ICTを活用した授業や授業のAL
化など、新たな指導技能の向上」などへ対応できる教師の育成が求められ
ています。こうした、変化の激しい困難時代を生き抜く能力を高める土台
となる部分が、上記答申のサブタイトルに表れているのです。「学び合
い、高め合う」協働できる教師と組織があってこそ、「VUCA時代」を生き
抜くことができるということですね。

 VUCAとは(Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity
(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をとった言葉です。これから子ど
もと教師が生きて行く時代の特徴を示した言葉だと言われています。こう
した、変化の激しい困難時代を生きつつ、教育的な成果や成果の質を変え
ていこうとすると「個人だけの学び」では十分に対応することが難しく
なってきます。また、個人の能力やキャパシティーを越えた課題が生じた
場合も、同僚と協働して対応する必要が生じてきます。教育を取り巻く環
境が複雑になり、対峙すべき課題の質や量が変化して行けば行くほど、教
師の協働的活動が一層重要な意味を持つ様になるのです。

2.組織環境に着目する
 私は新聞記者時代を含めると、これまで述べ3000校近くの小中学校
へ伺ってきました。同じ公立の学校でありながら、教師組織の持っている
文化は学校によって異なります。同僚性が高い学校もあれば、他人の仕事
には干渉をしないという冷えた組織文化を持った学校もあるのです。
 
 極端な事例ですが、ある中学校の美術の時間にいじめを疑われる生徒の
様子が認められたことがありました。そこで、美術の教師が担任にその様
子を報告したところ「自分の授業で起きた事件をこっちへ持ってこないで
欲しい」と担任から迷惑がられたというのです。この中学校はいわゆる市
のトップ校でした。校長は行政出身の大物校長が輪番で赴任し、教頭や教
務も厳しい態度で教師に臨む学校です。やや命令的な管理職の指示が多
く、教師と管理職の間には心理的な溝が広がっていました。その様な状況
の中で、警察の介入が必要となる様な事故が起きたのです。当然、管理職
数人だけでは対応しきれない事態となり、一気にマスコミまで情報が飛び
火することになりました。協働的な組織文化の欠如は時として、組織に甚
大な被害をもたらすことがあるという事例です。
 
 一方で、教師の組織開発によって、学校の組織文化ががらりと変わった
学校もあります。この小学校は数年間に亘って、私が校内研修を担当させ
て頂いた学校です。私が最初にこの学校へ伺った頃は、職員の人間関係が
冷え切っていて、前校長はその心労から途中でご退職されたということで
した。その小学校に伺って、最初の講演で私の話す時間が予定を5分ほど
超過した時のこと。「おい、校長、時間が5分も過ぎとるぞ。職員の勤務
時間を何だと思っているんだ!」と罵声が飛んできました。
 その夜、校長、教頭、教務、研修主任とその後の作戦を練った。私が
とった策は「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative
Inquiry)」という方法だったのです。

 この方法は、問題解決というネガティブな方向に向かうのではなく、組
織として互いの良さを認め合いながら、ポジティブな組織文化の創造を目
指す方法です。この小学校では「一人の得意をみんなの得意に」を合言葉
に、個々の先生方の持つ授業実践の技の良さを共有して行くことにしまし
た。やがて、組織の空気が柔らかくなった時に、最も研修に反対していた
教師の授業を拝見し、指導講評でその先生の授業をべた褒めしたのです。
そう、意図的、計画的、戦略的なべた褒めだったのです。この時が、この
学校の組織文化を変えるターニング・ポイントとなったのでした。
 
 その後、5年間この学校に講師として通うことになりました。2年目の
半ばに病気で退職する初老の図工教師が「こんなに短時間で学校が変わる
なんて。最後がこの学校でよかった」と涙をポロリと流していた光景が今
でも印象に残っています。この学校の研修に携わってよかったという思い
が込み上げてきた瞬間でした。やがて、この小学校は市の研究指定を受け
ることになりました。「互いに認め合う組織文化」が生まれたことによっ
て、若手の授業力が伸びたことは言うまでもありません。組織開発と組織
が持つルーティンを変えることによって、高いチーム力が生まれたので
す。

3.人を育てる環境としての組織に着目する
 糸井重里氏が「魚を飼うという事は、水を飼うことなのだ」とかつて氏
のブログに書いていたことがあります。なんと見事なメタファーでしょ
う。魚の成長は水環境の健全さによって決まります。また、大手種苗メー
カーの野原種苗の社長(野原宏氏)は「植物を育てるということは、根を
育てるということ。葉がおかしくなった時は、すでに根に異常があるので
す」と語っていたことを思い出しました。
 これも、土という環境が植物の育ちの鍵を握るということを示した言葉
です。では、教師の成長にとって、最も重要な環境とは何なのでしょう
か。それは、【学校の組織文化】なのです。人は組織という環境の中で育
つ。これは、人が個でのみ育つのではなく、社会的な相互応答関係の中で
育つということを意味しています。人的組織と個の関わりが人の学びを支
える重要な要因になっているのです。
 学校においても、特定の時期の特定の学校から優れた実践家が集中して
生まれることがあります。授業力が高い教師が特定の学校から生まれる。
その理由を探っていくと、協働的で充実した校内研修文化の中で研究同人
として技を高め合ったことが、その後の授業力の高さに繋がっていること
が多いのです。協働し、切磋琢磨して、授業づくりに励んだ仲間がその
後、それぞれに活躍する「何か」を得て行くということですね。それだ
け、組織環境は重要な意味を持つということです。

 人間の脳は体重の2%程度の重さしかありません。しかし、脳が消費す
るカロリーは基礎代謝の20%~最大50%にも達するのです。つまり、
人間の脳は非常に贅沢な器官であり、その贅沢さゆえに万物の霊長になれ
たということ。そして、人間を人間たらしめている脳の部位、新皮質や前
頭前野は、他者を意識して情報をやりとりする目的から巨大に発達したと
言われています(マキャベリ的知性仮説)。脳が他者との相互関係を高度
に充実させる方向で進化したということは、何を意味するのでしょう。そ
れは、脳(ヒト)にとっての学びは、教示や模倣、対話という個人間の間
主観的な行為によって高次な充実を可能にしているということです。人の
学びの本能は、社会性を基盤にしているのです。

4.組織のルーティンを変えて組織としての学び文化を築く
 組織という人的環境との相互関係によって個が育つとすれば、学校組織
における組織開発や組織ルーティンを変えて行くことも考えねばならない
でしょう。従来からその学校に存在した組織文化を「安定」と「柔軟性」
を兼ね備えた「学び合う組織」として不断に再構築をする。それが、お互
いの指導技能が伸びる「相個の学び」を生むのです。

 組織文化はその組織の持つルーティンによって再生産されます。そし
て、保守的なルーティンが固定化してしまうと、ダイナミックに学び合う
アクティブな組織文化は生まれにくくなります。組織メンバーの関係性の
固定化や、過度な繁忙による組織内コミュニケーションの欠如は、人が育
ち合う組織環境を生み出しにくくしてしまうのです。この悪循環ルーティ
ンを変えて行かなければ、若手が育つ組織文化、真に学び合う組織環境は
形づくられて行かないでしょう。ここを変えて行く手立ての一つが、カリ
キュラム・マネジメントの【質】を変えていくことです。

1授業という一次情報を大事にした校内研修を充実させる
2学校が目指す授業像や教育目標を全員で再定義しなおす
3問題解決型だけでなく、より互いの長所を引き出し合い認め合う「ポジ
ティブ」な研修文化を創る

 という三つの視点は次期指導要領に向かう今の時期、特に大事でしょ
う。詳しい具体例は『笑顔と対話があふれる校内研修/石川晋・大野睦仁
著(学事出版)』が参考になります。

 こうした、育ちが生まれる「学び合う組織」によって、組織内の個々に
新たな気づきが生まれるのです。この学び合う組織の中で123を通し
て、個々に「センス・メーキング」が起きる。センス・メーキングとは、
授業や教師間の対話などに参加し、思考することによって「新しい気づき
や本質的な価値の再発見をすること」を意味します。「なるほど」「そう
か」「本当はそういうことだったのか」という未知の知の発見がそれで
す。

 子どもの具体の姿や、授業実践という一次情報を資源にして、対話的・
協働的かつ、肯定的に学び合う行為を通して「深い学び」を得る。状況と
自己の中に存在しつつ、未知の知として言語化できなかった知が協働思考
によって顕在化して行くのです。この「深い学び」の象徴がセンス・メー
キングという気づきだと言えるでしょう。ここに成長や進歩の実感が生ま
れることになるのです。

5.実践的な挑戦に向けて
 ここまで述べてきた内容は、「ヒトの学びの本能が持つ社会性」や「組
織文化と個々の成長の関係」「学習する組織の充実度を上げること」、そ
して組織のルーティンを変える校内研修やカリマネを充実させることでし
た。

 ところで、これから半年間ほど私立小学校の研修講師として、月に1~
2回ほど伺うことが決まりました。この学校で、私が提案したことは「知
識」「組織」「意識」という3識を少しずつ変えることです。沢山の先生
方の授業を沢山拝見し、指導のよさや工夫の価値をプラス視点でどんどん
評価して、その情報を職員組織全体に発信していく。私立学校は人事異動
がなく、非常に硬い組織文化を持っている。そこに、授業という一次情報
を活用して、ポジティブな風穴を開けて行こうと考えています。その中
で、この小学校に1人しかいない新人教師の初任者研修にベテランや校長に
参加してもらい、新人教育も進めて行こうと考えています。

 学校の組織運営を論のレベルで語ることは可能です。しかし、組織運営
の実践は極めて流動的で多様な要素を持っていて、解決には論を越え含む
リアルな次元でのマネジメントが必要になります。しかし、どの様な組織
改革をしても、授業の質の改善として授業の中で効果が表れてこなければ
結果を出せたとは言えないでしょう。結局は、授業品質に反映する、指導
技能の向上や拡張が求められるのです。

 教師一人一人が個性を発揮しながら、志を共有できたとき「響志組織」
となる。そうした、響き合う学び環境の中でこそ、強かな教師力が育まれ
るのではないでしょうか。

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 現場で働く教師一人ひとりを温かく励ましていただく、そういう読後
感のある論考です。感激しました。現場で教師が育つというのは、教室
がそうであるように、個を育てる視点と集団を育てる視点との両方の支
援によってしか成り立たないものと、考えています。その肝は、古くは
齋藤喜博や伊藤功一の実践が示したように、校内研修にあると言えま
す。梶浦さんは、学校外部から校内に入り、切実さとそれ故の重さとを
持った校内研修の場を元気づけていく活動に取り組んでいるわけです。
その過程を、学校外の視点も持ちながら、すぐれたエピソードを切り出
す形で見せてくださる貴重な論考でした。
 梶浦さんのお仕事は、
 ブログ  http://blog.livedoor.jp/kyouiku39-smile/
や、出版社サイト  http://www.e-hodo.com/
で、さらに知っていただくことができます。
 学校外から「越境」してくる形で進められてきた梶浦さんのお仕事に
ようやくスポットが当たり始めたようです。教育の変革を巡る空気の流
れが変わってきていることを、そうしたことからも、感じています。

 新たにライター陣に、名古屋の私塾経営で、精力的に発信をつづけて
いる伊藤敏雄さんが加わりました。
 11月24日金 伊藤敏雄さん(All About学習・受験ガイド、「明
日の教室」名古屋分校事務局長)となります。

 次号は、7月25日火。木下通子さん(埼玉県立春日部女子高校司書
/ビブリオバトル普及委員)です。学校司書の立場から、本・そして子
どもとの関わりを通した教師の育ちについて書いていただきます。新刊
『読みたい心に火をつけろ!』(岩波ジュニア新書)もとてもとてもよ
かったです。おすすめです。

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メールマガジン「教師教育を考える会」
7号(読者数2373)2017年7月21日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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