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2017-10

メールマガジン「超!エンタメ教育評論」第87号 「児童文学の最前線」第10回 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波書店) 2014年2月26日発行  - 2014.02.26 Wed

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メールマガジン「超!エンタメ教育評論」
第87号 2014年2月26日発行

「児童文学の最前線」第10回
 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波書店)
        北海道上士幌町立上士幌中学校教諭 石川 晋
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 戦前に書かれ、その後戦後に大きな改訂を経て、現在にいた
るまで読み継がれている少年小説の傑作です。

 ですが、さすがに表現も古びてきており、描かれている世界
も、現実との乖離は否めないかなあ、と。でも、この小説の、
未来志向、そして世界志向のメッセージは健在なのでは、と思
い、中3の2学期から卒業を迎える直前まで、この本を教室で
毎時間10分ずつくらい読み聞かせしました。

 それにしても、一ドル360円の時代に、この本は海外で学
ぶことの魅力をこれでもかこれでもかと繰り出してくるのです。
広く世界に向けて関心を広げようとする作者の願いは強烈だと
言わざるを得ません。今、日本は海外への留学者数が減少傾向
だと聞くのですが、この作品は古めかしい表現を越えて、今で
も子どもたちの熱い思いを書きたてるテキストなのだと、読み
聞かせながら実感できました。
 驚いたことに、子どもたちの読み聞かせへの集中度は実に高
かったのです。

 この本のもう一つの特徴は、高度経済成長を成し遂げる前の、
いわば貧しかった日本を描き出していることです。豆腐屋の浦
川くんという厳しい生活環境の中で生きる少年の姿は胸を打ち
ます。そして、一方で、現代の私たちの社会にどんどん広がっ
ている生活格差の問題と重なって見えてきたりもします。
 時代はぐるっと回って、戦後の混乱期からの時間に私たちの
国が直面したことのいくつかが、今の世界を変えて行くヒント
を含んでいるらしい、そんなことが見えてきます。

 先日、札幌で土門拳の写真展を見ました。戦前から亡くなる
直前までの写真を網羅した回顧展的性格の展覧会でしたが、い
くつも心を捉えられる写真があり、中でも筑豊炭田の閉山期に
撮られた子どもたちの写真に心を奪われました。まだ小学校に
上がるかどうかという年齢の子どもたちが孤児同然の生活環境
の中で、大人びた表情でこちらを見ている…。厳しい生活を強
いられる子どもたちは、早熟を求められるのかも、と感じまし
た。

 『君たちはどう生きるか』を読み終わった後、珍しく感想文
を書いてもらいました。中にいくつか、この物語の登場人物た
ちは中学校1年生なのに、今の自分たちよりもずっと難しい言
葉で難しいことを考えていて、大人びていると思ったというも
のがありました。 この作品の中の子どもたちのような、中学
校一年生にして、自分の将来を見据え、時に哲学的な会話をさ
え交わす子どもたちは、たしかにすっかりいなくなってしまっ
た気がします。それがいいのか悪いのか、ちょっとよくわから
ないや、とそんなことを思いました。

【編集部より】

○吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波文庫版
 http://www.amazon.co.jp/dp/4003315812/

○同上 ポプラポケット文庫版
 http://www.amazon.co.jp/dp/4591125408

○石川晋さんのブログ「すぽんじのこころ」
 http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/

 次号(第88号)は3月2日(日)、
 カンジヤマ・マイムさん
「マイム的エンターテイメント入門」第10回です。
 お楽しみに!

 このメールマガジンは、「お笑い教師同盟」会員で構成した
プロジェクトチームで執筆しています。「ご意見」、「ご感想」
から「激励の言葉」、「取り上げて欲しい内容」など、以下メ
ールアドレスまでお寄せください。皆さまの声を励みに、執筆
陣一同、よりいっそう張り切っていきたいと思っております。
編集長 上條晴夫 haruo.kamijo@gmail.com

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メールマガジン「超!エンタメ教育評論」第87号
2014年2月26日発行 読者数736
編集長  上條晴夫 haruo.kamijo@gmail.com
副編集長 乙部啓二 mm@owarai-kyousi.com
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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