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2017-11

メールマガジン「超!エンタメ教育評論」第69号 2013年12月25日発行 児童文学の最前線 第8回  升井純子『シャインロード』(講談社) - 2013.12.25 Wed

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メールマガジン「超!エンタメ教育評論」
第69号 2013年12月25日発行

児童文学の最前線 第8回
 升井純子『シャインロード』(講談社)

         北海道上士幌町立上士幌中学校教諭 石川晋
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 『空打ちブルース』で第51回講談社児童文学新人賞を受賞した升
井さんの受賞第一作が『シャインロード』です。同じ中高生の生活
を題材にしながらも、前作がいわゆる反社会的な行為をする少年た
ちに焦点を当てたのに対して、こちらは、どこにでもいそうな平凡
な女子高生の就職活動を取り上げた作品です。
 物語の最後、主人公の少女(三冬)は、どうやら就職先に辿りつ
くあたりで終わるさわやかなハッピーエンドなのです。が、読後じ
んわりと、就職活動って何なのだろうという感情が沸き起こってき
たのでした。

 たとえば・・・ぼくが示唆的だなと思ったのは、主人公の三冬は
どこの部活動にも入っていないことです。母と二人きりの三冬は決
して豊かな生活をしているわけではない。中学校の教員でもあるぼ
くは、経済的な理由で部活動に入部できない子どもたちがいること
をよく知っています。高校ならなおさらでしょうか。作中、三冬は
「入ればよかったなぁ。/履歴書にも書けたのになぁ。そしたらち
ょっぴり有利だったかもなぁ」とつぶやくわけですが、そこから透
けて見えてくるのは、部活を三年間一所懸命取り組んだら就職に有
利だという厳然たる事実であり、また経済的な格差がそうした形で
負の連鎖を起こしかねない現状です。

 中学校でも高等学校でも「キャリア教育」の重要性が強く叫ばれ
ています。総合的な学習の時間なんて、中高では、実質キャリア教
育の時間のようにさえなっています。
 でもそれだけ多くの時間を費やしながら、三冬のように就職を前
に立ち往生してしまう子どもたちは相変わらず大量生産されている
と感じるのは、ぼくだけでしょうかね。
 一方で、部活動は終身雇用制の残滓そのものだと、ぼくには思え
ます。社会の流動性に対して(また雇用の流動化を促進しなければ
ならない国情に対して)、学校の示すガンバリズムは、どうにもミ
スマッチに思えます。また、企業と学校とが一致して創り上げてき
た就職観は、本当にぼくらの国をここから10年20年と救ってい
くのか知ら、とそんなことも考えてしまうのです。離職者を応援で
きる社会、いろんなトライアルが許される社会、新卒以外に可能性
が広く開かれている社会…。そういう風になんとかなっていかない
もんなんでしょうか。小さな声で、部活動反対とつぶやくぼく…。

 三冬がこの難局を乗り切って行く力は、彼女自身の経験の積み重
ねと、学校側が提示する就職モデルとは違うものに可能性を見出し
ていく三冬自身の意思によって生まれてきたものと思えます。
 親身になって相談に乗ってくれる担任も、結局、旧来型の就職モ
デルの焼き直しに終始しているように読めます。
 ああ、学校って何ができるんだろう、なんだか無力感…そんな気
持ちにもなる一冊。まあ、どこまでもさわやかな読後感に救われま
す。
 結構地味な一冊と思っていたのですが、二刷になったようです。
こういう作品が大切に読まれていくことに、ちょっとほっとします。


【編集部より】

○升井純子『シャインロード』
 http://www.amazon.co.jp/dp/4062177315

○石川晋さんのブログ「すぽんじのこころ」
 http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/

 次号(第70号)は12月25日(水)本日午後10時、
 カンジヤマ・マイムさん
「マイム的エンターテイメント英語入門」第8回です。
 お楽しみに!

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編集長 上條晴夫 haruo.kamijo@gmail.com

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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
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