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2017-08

内藤一志・藤田洋治編『国語の授業をつくる《小学校編》』(長門出版社) - 2012.06.01 Fri

 藤原友和さんからご恵送いただいた。
 北海道教育大学函館校の内藤さんと東京成徳短大の藤田さんとが編著で函館周辺の先生方が中心となって編纂された本。
 飾りのないずばりの内容の本である。
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 目次をみるとわかるが、言語活動例に対応する形で各領域のモデル的な授業を例示していく。一つずつ大変練られた展開例とワークシートが掲載されている。
 非常に実用的である。学生のテキストとして編まれたそうで、それぞれの授業の背景にまで目をむけられれば、学生に学ぶところ大だろう。とてもよくできている。授業づくりやワークシートづくりの基本を学びたい人にも役立つだろう。
 長門出版社は、函館の印刷会社。この本は、本屋さんに全国流通するものではない。直接連絡をして手に入れるのがいいと思う。1200円+税である。
 長門出版社 → 0138-52-2461

 さて、以下には、書評とは別に感じていることを記しておく。

 この10年ほど、中学校の若い国語教師と話しながら、教材分析能力が全般に下がっているということを痛感している。その中心的な理由をぼくは二つと考えている。

・旧師範学校系のカリキュラムの迷走(具体的には多読主義及び作品研究的姿勢の衰退)
・哲学・思想の時代の終焉(国語科教育を志望する若者が哲学や思想を語らなくなったことは、少なくとも国語科にとっては深刻である)

 こうしてこの本の目次をみると、それは編者や実践者には何の責任もないが、日本の国語教育が学校で本当にやらなければならないのか疑わしい実学主義に捉えられてしまっていることを感じる。『銀の匙』を一年間読み続けるという授業が脚光を浴びるのは、単なる懐古趣味ではなく、この辺りへの感覚的な器具を持つ教師が、少なからずいるからだろう。ただし、今の公立小中学校でも高校でも『銀の匙』を一年間読み続ける授業はよほどの理解が得られてもなお難しい。

 三読法や一読総合法はもちろん、『学び合い』であろうがリーディング・ワークショップやリテラチャーサークルであろうが、読書会であろうが…、作品を読む時に、その作品を教師が(ファシリテーターが)十分に読む力を持っていなければ、基本的には教え込みもファシリテーティブなアプローチの授業も、成立するわけがない。それは自分で何度かやってみれば、わかる。課題が立てられないとか、そういう問題だけではない。教師の立ち居振る舞いや、そもそも授業への愛や、そういうものは、教師自身の作品理解が覚束ないところでは生まれようがないのだ。

 上手に授業を運営する力などよりも、作品を丁寧に読みこむ力の方が、遥かに身に付くのに時間がかかる。もともと国語科教師というのは、その、遥かに身に付くのに時間がかかる営みと、大学からしっかり向き合ってきたのである。また、その苦しみを人生を深く深くえぐるように考える楽しみとすることが、できる人たちだったはずなのである。

 そんなこともぼうっと考えてしまった本である。
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 藤原友和さんからご恵送いただいた。 北海道教育大学函館校の内藤さんと東京成徳短大の藤田さんとが編著で函館周辺の先生方が中心となって編纂された本。 飾りのないずばりの内容の本である。 目次をみるとわかるが、言語活動例に対応する形で各領域のモデル的な授業...

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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
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