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2017-10

金大竜『日本一ハッピーなクラスのつくり方』(明治図書) - 2012.05.05 Sat

 赤坂さんとのコメントのやりとりがありましたので、再度アップします。

 きむてりょんさんの初めての本である。
 楽しみにしていた。本日届く。
 きむさんのことは、土作さんや赤坂さん、さらには関西のいろんな仲間や、先日ぼくの教室に来られた伊垣尚人さんなど、いろんな方から聴いている。まだ見ぬ、お会いしたい実践家の一人。まずは、本で、その実践の中身を(もちろん全体像はつかめないし、書ききれない事も多数あろうが)知ることになる。

日本一ハッピーなクラスのつくり方日本一ハッピーなクラスのつくり方
(2012/04/26)
金大竜

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 鍵山秀三郎さんらのお名前も本文中に出てくる。鍵山さんの言葉を借りれば、金実践の核は、凡事徹底ということになるだろうか。ただ、おもしろいと思うのは、金さんご自身が、自分の実践の教育史的な位置づけのようなものには、ほぼ関心がないように思えること。そしてその結果、金さんのオリジナルと既に諸先輩がためしてきている手法との区別ははっきりとしないところが多い。
 ぼくは、それがダメといっているのではない。というか、ぼくもたくさんの本もいろんな実践家の講座にも参加させていただいてきたが、見た事も聴いた事もない、絶対金さんオリジナルとしか思えないものがいくつかあるのである。NHKでも取りあげられて、金さんの実践が全国区となった「あいさつ自動販売機」もそうだが、例えば、さりげなく封入されている(笑)、「階段で授業」「みんなで昼寝」(ビートルズみたい!)「マンガ喫茶」は、ちょっと聴いたことのない実践。というか、金実践の器の大きさと、破天荒ぶりを示している。
 また子どもたちにイメージさせるための比喩(たとえ)もおもしろい。この辺りは杉渕鐡良さんとも通じるものがある。

 金さんはまえがきで、「学級崩壊させないクラスづくり」ではおもしろくないと書いている。全く同感だ。
 ぼくはすべからく教師はオリジナルであるべきだと、もちろん全ては難しいが、自分のオリジナリティを全面に出して勝負していかなければと思っている。また、ぼくらの国は「崩壊回避」というような消極的な防御的な予防的な発想で教師が教室に立ち始めたなら、本当に教育後進国になってしまう瀬戸際なのだと認識している。その意味で、金さんに共感できるところが多い。

 ちょうどこの数日北海道教育大の学長だった村山紀昭さんのブログに、村山さんのご友人が寄せた手紙が掲載されて、反響を呼んでいる。退職されたというその先生は、こう書いている。
 → 村山先生のブログ

  教師の仕事は「職人」の世界と似ていて、本を読んでも先輩の
 講釈を聞いてもだめなんです。とても、育てるまでが大変なので
 す。見よう見まねでまねをしながら、その瞬間瞬間で学ぶものな
 のです。鉄職人が弟子に見せることもなく、一日の終わりにまと
 めて講釈しても、弟子は鉄を一生作れないでしょう。今や若い教
 師は親方の仕事ぶりを見ることもなく、しかも先輩教師が講釈す
 る暇さえないのが実態です。

  企業と同じで、即戦力が喜ばれるようになったのです。そうす
 ると、校長も主任クラスも手間がかからず楽です。ところが教育
 においては(ここは企業とは違うのか同じなのかはわかりません
 が)、即戦力というのは始めから結局そこそこの教師ということ
 ですから、そつなく問題も起こさず、管理職にも忠実で、目立つ
 こともせず、新しい何かに取り組むこともないということになり
 ます。「出る杭は打たれる」ですから、常に周囲に合わせながら、
 無難な道を歩む。職人の世界では、まず親方の下で何年か修行し、
 原理原則を学びます。その上で工夫をして独自の物を作り、親方
 を乗り越える場合もあります。

 ぼくは、教師の仕事の上達論を「修業」「修行」になぞらえるのには、かねてより違和感がある。しかし、この記事の通り、「そつなく問題も起こさず、管理職にも忠実で、目立つこともせず、新しい何かに取り組むこともない」、私達の国の金太郎飴のような大量生産型教師像を打ち破る、教師像と実践群の提案が必要であり、金さんはその突破口になりうると読みながら思う。ぼくも金さんよりぐっと年上だが(金さんはまだ32歳だ)、負けずについていこうと思う。

 もっとも、ぼくと金さんとでは、アプローチの仕方は全然違う。
 ぼくは、例えば、「価値観を共有」しなければならないと考えていない。むしろ、「価値観は共有できない」というところに立って、それでも「対話」し続ける人を育てたいと思っている。
 また、多分、ハッピーを外の人とも共有していくという考えには大いに共鳴するが、本来的には、教室で共有するものではないとも思っている。この辺りは「価値観を共有できる」と考えるか「共有できない」ことを前提として実践を構築するかというそもそもの立脚点の違いに由来するものだろう。あいさつリレーにも掃除プロにもほぼ関心はない。

 ただ、その違いが、自分にとってはっきりと見えるという点でも、読んでよかった本であった。
 また、本気で「日本一ハッピーなクラス」を作ろうとしているのだという気概に触れて胸が熱くなる本でもあった。
 金さんには、ぜひお会いしたいなあと思う。
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● COMMENT ●

Kaya DVDシリーズ

Kaya DVDシリーズ Ⅰが金大竜&赤坂真二氏です。こちらもよろしくお願いいたします。
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違った道のり

 金実践の分析、興味深く読みました。金さんは、世の中で活躍する実践家の多くと力量形成の道筋が違っているだと思います。オリジナリティあふれる実践群はそうした道筋の違いから生まれているのだろうと思います。また、世の中の解釈や切り取り方も違っているように感じます。このさきどう活躍していくのか楽しみです。また、30代の力のある方々は、40代以上の実力者たちと異なる学び方をしてるのは間違いないなあと思っています。いつかそこらへんのことハッキリと言えるようにしたいと思っています。

赤坂さんへ

赤坂さんどうもありがとうございます。大変興味深い書き込み感謝です。
「力量形成の道筋が違っている」というの、ぼくもとても強く感じていて、この点は、十分に考えてみたいテーマです。赤坂さんの分析が言語化されていくのも楽しみだなあ。

ただ、ぼくが気になってることもあるんです。
若い世代の力量形成の道筋が違っているのはぼくも感じているのですが、形成しようとしている力量というかそのコンテンツも違うのか、それは同じなのか。どうも二極ある気がします。金さんは本を読んだ限りでは、手厚く形成しようとされていることは、前世代以前の人たちが大切にしてきたことの純化徹底と感じました。それを形成するための道筋が違う方(違う世代の学びリーダー)と思いました。でも、それでいいのかなということは、やはりぼくは考えているわけです。形成されるべきコンテンツの核も、違ってくるはず(べき)なのでは、と。いや、コンテンツ自体も違っているのでしょうが、その違いには「まだ」自覚的ではないのかな、と・・・あくまでもこの辺りは印象批評です。

ありがとうございます

石川先生
ありがとうございます
先生のこの文章はすぐに読んだのですが、なかなか自分の考えがまとまらず、時間だけがすぎてしまいました

難しいことは僕にはわからないし、あまり興味もないのですが、ぼくは目の前の子どもが伸びることや目の前の子が幸せになることはどんなことでもします
その学びは教育の世界だけには求めていません
僕の目指すべきところは目の前の子どもに合わせて、自分のやり方を柔軟に変えられる教師です
だから、今の自分の実践が素晴らしいとも駄目とも思ってません
目の前の子どもにとって、自分にできることの精一杯の結果だから、後悔も満足もありません

例えば、価値観の共有もハッピーの共有も、それをしてクラスの子がイキイキしなくなるのなら、僕は迷わずやめます

この仕事では結局、教師の価値観で子どもの育て方が違うんやとおもいます
また、それで良いと思ってます
世の中、クラシックが好きな人がいれば、演歌が好きな人もいる
どちらも悪くなく、教師も子どももともにそれぞれの幸せのあり方を追い求める
まあ、人生ってそうだから、教育には決まった方法や絶対的なものはないのかなぁと思っています

まとまりのない、よくわからない文章ですみません
しかし、ぼくは、先生からいただいた言葉により、自分の実践の偏りなどを見直せるきっかけになりました
ありがとうございました
こうして、外に自分の実践を発信した時に、プラスの評価だけではなく、違った角度から見ていただいた意見がとても参考になります
そうしないと自分のバランスがまっすぐにならないからです
これからもたくさんのことを学ばせてください
よろしくお願いします

金さん、ありがとうございます

わざわざのご返信恐縮でした。
「世の中、クラシックが好きな人がいれば、演歌が好きな人もいる」…さすが、見事なたとえです。そうだなと思います。教育には決まった方法は当然ないでしょう。目の前の生徒も事例も全て違っていますもんね。問題は、そのことと、だから、なんでもよいものは合わせて使えばいいということとは違うように思う、ということです。日本は、事を荒立てず、あちらもこちらも立てながらやってきたように思います。それがよかった時代もありますが、さて、今から先はどうだろうか…。ぼくにも答えはありませんが、今までと同じではダメだろうということははっきり見えていると考えます。ぼくはもう45歳。頑張って若いふりをしています、柔軟なふりをしています。金さんは、これからの人です。うらやましい(笑)。次も次も、発信を楽しみにしています。


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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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