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2017-10

★学びのしかけプロジェクトメールマガジン219号 藤原友和さん「交流学級1年 ~「満足度をあげること」と「交流をつくる」難しさ~」 - 2012.03.20 Tue

私が編集するメールマガジンの最新号です。今号は藤原友和さん!
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                219号 2012年3月20日発行
                      (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.交流学級1年
~「満足度をあげること」と「交流をつくる」難しさ~
   「学びのしかけ」メールマガジン副編集長(インクルージョン)
                 北海道・公立小学校  藤原 友和
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 インクルージョンチームの副編集長を務めていただいた藤原友和さんの
最終回です。                     (石川 晋)
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1.交流学級1年
~「満足度をあげること」と「交流をつくる」難しさ~
   「学びのしかけ」メールマガジン副編集長(インクルージョン)
                 北海道・公立小学校  藤原 友和
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交流学級のAさんと、子どもたちとの関わりも一年が経とうとしています。
自閉症と診断されているAさんは、次のような特性を持っています。

  ・人と話すのは大好きだが、一方的に自分の話だけを続けてしまう。
  ・場にあった声の大きさで話すのは苦手。いつも大きな声で話す。
  ・体験を通した学びには積極的だが、作文やレポートなど、言葉を使
うのは苦手。
  ・見通しが持てないことには意欲的に参加出来ない。
  ・ゲームの要素を持った活動は大好き。そのようなときは発表もよく
する。
  ・前にあった出来事をふりかえるときには、記憶がまだらである。

給食は毎日一緒(どの班で食べるかはAさんが選びます)、国・社・理
・算以外の時間は同じ教室にいて、交流学級の先生が支援しながら一緒に
学習。同じ教室で同じ授業を受けています。授業も学級のイベントももち
ろん一緒です。朝の会の関係上、Aさんはちょっと遅れて学級に来ます。
ですから前日や当日の朝に「受け入れ体制」を学級で先につくっておき、
活動は始めていることもあります。

私  「Aさんはどこのグループに入ってもらったらいいかな?」
Bさん「うちら! (同じグループの友達に顔を向けて)いい?」
友達 「いいよ!」
私  「じゃぁ、お願いね。Bさん、(Aさんのための)お手伝いはどこ?」
Bさん「(ワークシートに)書くとこ?」
私  「それもだけど、鎌を使うところは?」
Bさん「手を切らないように、持ち方教えてあげる。」
私  「いいねぇ。じゃ、よろしくね。」

総合的な学習で、刈り取りをする場面ではAさんが集合場所に来る前に
こんなやりとりをしていました。BさんはAさんが来ると必ず自分のグルー
プに入れたがります。Bさんはとてもお世話好きの明るい子。と同時に、
実はお世話をとても必要としている子です。そんなBさんはAさんに教えな
がら自分でも教師からの説明をもう一度確かめているのでしょう。Aさん
はというとBさんから教えてもらう内容よりも、話しかけられることが嬉
しいように見えます。

Bさん「Aちゃん、こっちだよ。一緒にやろう。」
Aさん「うん、わかったぁ!!」(とてつもなく大きな声)

このような友達からのサポート(?)もありますが、基本的には学習活
動で困難さを感じる点については交流学級の担任の先生が支援をします。
例えば版画の時。「彫刻刀で彫るのを頑張る」ことをめあてに、下絵はそ
の先生が書きます。私は通常の授業の通りに進めます。通常級の授業に参
加出来るように支援する、と言うシステムです。これは保護者の願いでも
あります。「Aにもみんなと同じ学習をさせて欲しい」という願いです。

つまり、学びの仕掛けとしては「教えやすさ」発想からできあがってい
ます。授業をAさんに合わせるのではなく、Aさんが「普通の」授業にいら
れるように支援するというシステムです。総合的な学習でも同じように進
めています。

そうすると、Aさんにとってはどのような時間が過ごされているのでし
ょうか。
課題ができていなくてもできていても、支援によってみんなとそろって
活動しています。
外から見た目では、一緒にやっています。Bさんのように友達とのかか
わりもありますし、Aさんがいることによって安心する子どももいます。
交流学級としてはそれで十分なのかも知れません。「通常級の子どもたち
と同じ教室にいること」が目標ならば。それがAさんにとってただ鉛筆の
線をなぞるだけだったり、先生が聞き書きしてくれた作文を写すだけの活
動だったとしても。

しかし、これだけではとてももったいないな、と思うようになってきま
した。学習される内容がAさんにとってのものになっていないからです。
そこで、交流での学習がAさんにとっても「学び」として成立するための
工夫をしていこう、と担任の先生と話し合いました。

総合では米づくりをします。田おこしから収穫・炊飯までを一通り経験
します。あれだけ体験のところで生き生きと活動していたAさんが、発表
のためのまとめでは、支援により「ただの作業」をこなしています(それ
でも一生懸命にやってくれるのですが)。収穫・炊飯と言う体験からはも
う三ヶ月近い時間が過ぎ、調べ学習やまとめに向けて改めて想起するのは
難しくなっていました。もう一度「お米ってすごい」「お米に関する活動
は楽しい」という気持ちになれるためにはどうしたらいいだろう? と考
え出したのです。

交流学級の担任の先生と相談しながらこの単元をもう一度見直した結果、
次のように進めて行くことになりました。

  ・グループ編成は「4年生に伝える」ことを共通テーマとして、興味
関心に応じる。
   ※米作りの作業/稲の病気と害虫/お米の栄養/お米の種類/お米
料理の5つでした。
  ・発表はみんなと一緒に行う(グループに参加する)。
  ・事前の準備の段階では、担任の先生と一緒に、もう一度体験から発
表までの小さなサイクルをデザインする。活動場所と内容はAさん
向けに準備する。
  ・みんなと離れっぱなしにならないように、毎時間のオリエンテーシ
ョンと振り返りは教室で一緒に行い、板書などで可視化する。
  ・可視化した進捗状況をもとに、発表の練習をするタイミングは適宜
調整する。調整は子ども同士で相談させ、必要なときは介入する。
  ・活動の時間を確保するために、時間割を調整して2時間続きのコマ
を確保する。

学級の子どもたちは、Webで調べたり、これまでの自分たちの写真をパ
ワーポイントのスライドにまとめたりしています。タイマーを片手にポス
ターを作成、発表の練習をしているグループもあります。自分たちのつく
ったお米を細巻きにして食べてもらうために、調理計画をつくっています。

Aさんは、米粉を使った料理を家庭科室で作り始めました。米粉プリン
です。
そして、そのための環境設定とつぶやきの記録を担任の先生はしていま
す。

Bさん「先生、発表練習の時にAさん来るの?」
私  「どうだろう? 相談しにいっておいで。」

このとき、活動は完全に複線化していました。教室・家庭科室・図工室
・PCルーム・理科室の5箇所に分かれてそれぞれの活動が行われています。
私は毎時間、オリエンテーションを行い、時間と活動内容を示したあとは、
校舎中をぐるぐると歩き回り、机間巡視ならぬ校舎巡視を行います。Bさ
んのグループは2階の図工室でプレゼンテーションを練習しています。A
さんは家庭科室でもう一度お米と出会っています(つまり、調理して食べ
ています)。

Bさん「先生、Aさんはまだ発表できないって。」
私  「そうかぁ。そしたら、君たちはどうやって練習する?」
Bさん「Aさんのところをあけておく。そして、いつなら一緒にやれるか聞
く。」
私  「それはいいね。そうしたら、Aさんも安心して自分の勉強できる
よね。」
Bさん「うん!(と言うが早いかそれを伝えに走り出す)」
私  「歩いて行く!(笑)」

通しリハーサル。Aさんは「お米を使った料理グループ」として、自分
の持ち時間2分をつかい、フリップから付箋をはがしながら楽しそうに発
表していたのでした。とても見やすい大きなフリップから、目隠しの付箋
をはがす動作には、子どもたちから「おぉっ」と言うつぶやきがもれてい
ます。これがBさんのグループの中でも特に目を引く場面となり、この発
表会の聞いてもらう相手でもある4年生から「わかりやすかったです」と
いう感想ももらっていました。

年度末に「一年を振り返って」というワークシートに取り組んだときに
は、自分の字で「おこめのはっぴょうをがんばった。たのしかった。」と
書いていました。ワークシートの中では、その欄だけ具体的な活動が書か
れていたことに、「あぁ、Aさんの中に残るものができたんだなぁ」と、
担任の先生と喜び合いました。

さて、この実践が「交流」としてよかったのか、「インクルージョン」
になっているのかどうかは課題の残るところだと思います。三つある学級
の足並みをそろえつつ、交流学級として位置づけられている私の学級の小
変更だけで対応できることと言えばこれくらいです。活動を複線化して、
「Aさんの学びを大切にする時間」と「交流を大切にする場面」を分ける
ことで、Aさんの満足度はあがりました。「交流」らしさを保つために、
可視化しながら関わる場面を授業の最初と最後にとりました。このことは
他の子どもたちにとっても他のグループの様子が把握できてよかったと思
います。

しかし、活動の中で課題解決に向かって交流させることは、といえばで
きていません。もっとも、Aさんの特性もありますから、同じ活動をさせ
るという発想ではうまくいかないでしょう。Aさんの苦手なところにひっ
かからないようにしながら、Aさんの成長と学級の子どもたちの成長とが
両立するような─それは決して「優しくする」というような表層的なもの
ではないはずです─「しかけ」を考えていきたいです。

このことにかかわっては、インクルージョン・チームの過去号において、
協同学習の実践を報告した平嶋論文(117号)や、授業づくりの観点を
提案した増川論文(180号)、Aさんが安心して学べることを出発点と
することを学ばせていただいた田中論文(89号)から大きな示唆をいた
だいています。

また、「教師のあり方」を示し続けた渡邉謙一氏の論考、過酷な状況に
ある子どもたちにとっての学びに向き合う石川拓氏の論考からは、自分の
立ち位置を再確認させられながらの2年間でした。同時に、本当にたどた
どしい私の実践・記録を価値付けして下さった青山新吾氏、アメリカにお
ける先進的な取り組みをご紹介下さった池田康子氏。インクルージョン・
チームの皆さんには感謝の念は尽きません。

読者の皆様へ
これで私の担当分は終わります。拙い実践と文章、思うようにはいかな
い毎日の中ですが、おつきあいいただいて有り難うございました。課題を
引き継ぎつつ、今よりちょっとましな日々をつくっていけたら、と思いま
す。新年度が間もなく始まりますね。皆様もご多忙のことと思います。お
体を大切にご自愛下さい。

授業づくりネットワーク誌の最新号
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 私も読みながら「交流」「インクルージョン」ということについて改め
て考えました。もちろん「教えやすさ」と「学びやすさ」という、私達チ
ームがこだわり続けた点からも、です。
「三つある学級の足並みをそろえつつ、交流学級として位置づけられてい
る私の学級の小変更だけで対応できることと言えばこれくらいです。」…
藤原さんの言葉は、非常に謙虚で、また、「交流学級」という考え方や制
度そのものの難しい実情の吐露とも読めます。
 藤原さん、二年間難しい役回りを本当にありがとうございました。
 藤原さんも最後に取りあげておられる田中博司さんが、新刊『どの子も
「安心」できる学級づくり授業づくり』(学事出版)の中で、「教室の中
で、どの子もみんなが安心して過ごす、すごく当たり前のことです。けれ
ども、この当たり前のことがなかなか難しいのが現状です」と書いていま
す。その難しい現状を、引き続き考え続けたいと改めて思いました。田中
さんの新刊、本メルマガでも再三話題になった「教室環境」づくりについ
て、非常に具体的で丁寧に紹介されています。お勧めの一冊です。
 http://www.amazon.co.jp/dp/4761918837/

 次号は、ライフヒストリーチームから、副編集長の長瀬拓也さん。23
日の発行です。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第219号(読者数1894) 2012年3月20日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
twitterはこちら⇒ http://twitter.com/#!/gbc02527
Facebookはこちら⇒ http://www.facebook.com/haruo.kamijo
編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
 編集長:石川晋
 副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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