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2017-10

2月10日の自主公開研を振り返る(長文) - 2012.02.15 Wed

 さて、時間がたってしまうと、ぼく自身の振り返りが難しくなってしまうので、今夜は少し根詰めて自分自身の学びを記してみようと思う。
 対話相手が必要なので、伊垣さんのブログにあるフィードバックを相手にお話をしながら、当日参観してくださった方とのやりとりも交えつつ書いてみようと思う。
 長文です。

 伊垣さんは、私の第一印象を「ざっくばらん」と記して下さいました。
 私は書いているものが重く晦渋に見える事が多いようで、実際とのギャップに驚く方が多いですが、基本的にただのおもしろがりです。
 ぬかびら温泉までの道すがら、同乗の3人には、中士幌小の手作りスケートリンクを見ていただきました。よろこんでいただけて、何よりでした。

 伊垣さんとはぬかびら源泉郷の中村屋さんで(ぼくはお客人を招く時は、必ず町内の施設に泊まっていただきます。ぼくがどなたかと一晩対話をする時は、中村屋さんか山湖荘さんです)いろんな話をしました。
 一つはぼくが事前に渡してあった4月に刊行になるかも知れない本についてでしたが、徹底した文献明示にびっくりされたようです。でも、ぼくの思考も実践も全くのオリジナルはありません、というか、私ごときの実践者が思いつくようなものは、絶対誰かがもうやっているはずだと思っています。だから、自分の手の及ぶ限りを尽くして、先行文献を探し、実践記録に明示することにしています。そうしないと、実践の「ライフヒストリー」と切れた根なし草の実践紹介になります。結果、教育は先に進んでいかないことになるからです。
 その他にも大切な話をたくさんしましたが、それは、文字に残すべきではないでしょう。

 「中学校は新設されたばかりのようで、木のぬくもりの自然を感じ、温かい空間を演出しているもの、中心となるリビングルームの様な広場を中心に、各教室や図書室、PC室などがつながるよう広がっていてどこからでも見渡せる作りとなっていました」と伊垣さんは述べています。その通りですが、私のクラスの子どもたちは、必ずしも全面的にこの学校のつくりを肯定しているわけではありません。今日も、面談の生徒が、「ぼくはこの隠れるところのない明るすぎる校舎が苦手です」と言っていました。
 そういう生徒がたくさんいるクラスだから、3分割して、子どもが引きこもることができる空間を用意しているのです。

 ところどころに飾ってあった、子どもたちが撮った写真(伊垣さんは芸術家の個展をみるかのよう)と言ってくださいましたが、これは例の写真集の作品展示です。展示場所と方法はおおよその方針を示して道具を渡した後は生徒にまかせています。小さな額縁、30個に及ぶイーゼルは、全てぼくの私物です。展示は、ぼくが予想もしない方法を生徒が思いつくのでおもしろいです。この後、町内の施設を借りて展覧会をしようと思っています。

「さっそく晋さんの中3教室をのぞいてみると、やや広めの教室(たぶん2クラス分の教室サイズ)を3スペースに分けられていて、机が置いてある教室、本のコーナー、隠れられる小部屋が奥にありました。教室の中に、セパレートされ一人になれる場が実際にあることはとても衝撃的でオランダイエナプラン校にも同じように個別になれる空間が作られているのを思い出しました。小部屋では、ひげの濃くなった男子がわいわいとテトリミノを使った陣地取りのドイツゲームに夢中になっていました。サラリーマンが麻雀をするように、たわいのない対話がとてもおもしろく、私も横で座っていっしょにきいていました笑」

と、伊垣さんが報告してくださっていますが、イエナプラン校に模してくださったのは、ものすごくうれしかったです。サラリーマン麻雀の譬えも見事。教室にはオニミチが10個。ドイツゲームが20セットほどあり、休み時間は生徒が自由に使って遊んでいます。

「教室には絵本やホンモノの絵画が展示され、子どもたちの誕生日の学級通信が並びます。先生が読んでいる本もすべて子どもに見える化され、どこまでもオープンでした。(もちろん私の本も並んでいました笑、魅力的な本のラインナップにとても興味を持ってしまいました)」

絵画は盛本学史さんの作品です。 http://blog.goo.ne.jp/stsmrmt/

誕生日通信は、喜岡淳治さんの実践の追試。絵本はクリスマス絵本を教室の周囲に立てかけてディスプレイしていたら、生徒が数名で、ちょこちょこ入れ替えをしはじめたので、そのままやってもらっています。教師が読む本を置いているのは、学びの可視化もありますが、家に本を置くところがなくなっているからでもあります(笑)

「教室一つとっても学びやすいデザインされていることに、ここが中学校の教室なのかと疑いたくなる場でした。晋さんの思いがつまっている環境デザインとなっています。子どもたちは我が物顔で「この棚はボクが組み立てた」などいろいろ紹介してくれました。この教室のオーナーシップがどこにあるのかが分かります。」

 これは、ああ、と思いました。教室のオーナーシップという視点は強く持っているのですが、あまりうまく行っていないなあと思っていました。伊垣さんの聞き書きで自信をもらった感じがしました。

「晋さんは教室に入ってくるなり、簡単なあいさつをすませ、朝一で学級通信を読み聞かせしました。通信の内容は先生が感じていることA4サイズ1枚。そこには、震災のこととについて思うことが書かれていました。中3の子どもたちはしっとりと聴いています。中には突っ伏している子もいましたが、それでも背中で聴いていることが伺えます。しばらくすると顔をあげ、先生の方を見てから配られた学級通信に目を通していました。ちゃんと「戻ってくる」という子どもを信頼していて、別に注意することもありません。話を聴くことって「目線」や「背中ピン」といった技術だけではないなぁと思いました。」

 聞いてない子もいるわけです。信頼しているというわけでもありません。朝の会は大嫌いなので、早く終わらないかなとぼくも生徒も思っています。学級通信は毎号全てファイリングしていますし、読み聞かせが日常ですが、日常化したものの価値をインストラクションすることほど難しいことはありません。ぼくの書いている中身に聴き手の集中の度合いが左右されるということはあります。

「中1のギャラリートークの時間。まず最初に読みきかせ5分。こちらもしっとりと話を聴き、元気の良い1年生は前に自分から来て絵本の目の前に集まりました」

 多分ここは次の時間との混同があると思います。
 この時間に読んだ本は、フィリパ・ピアス『サティン入江のなぞ』(岩波書店)で、これは半年近く読んできた物語です。

「辞書引きの時間5分程度。登校するときに見たものをテーマに辞書を引いてフセン(ナンバリングも)をいれます。なかには、辞典の頭が芝生のようにフセンでいっぱいの子もいます。こういったオムニバス授業(いろいろな短い活動を組み立ててつくる授業)を実際に目にするのは私は初めてかもしれません。確かに帯で繰り返し毎時間続けることで習慣化し、辞典なら語彙が増えるといった学習の習慣化、蓄積化できる強みを感じました。また、繰り返しているからこそ、スッと作業に入れる姿が見られます。クラスでもちょっと取り組んでみようかと思いました」

 ぼくの国語教室の冒頭の基本形は、辞書引き(深谷式です)、漢字の聴写、物語の読み聞かせ、です。これで約15分です。この日は漢字をしませんでした。どれかをだるま落としのように抜くことはよくあります。ねらいは、伊垣さんのおっしゃる通りで、特にすっと入れる安心感を重視しています。登校する時に見たものは、辞書引きした後、周囲の子で1,2分ペアトークさせます。辞書引き+ペアトークが、最近のぼくのマイブームです。

「そして移動して、ギャラリートーク。解放された空間を十二分に活用しています。広いスペースの広場に張り出されたひとつの散文について黙って読み、その後、分からない言葉を尋ねます。その散文は秋谷豊さんの「クレバスに消えた女性隊員」。ペアトークで話し合ったことを全体で共有、ここで言い切れなかったことを今度は図書室で紙に記入。「話せなかったこと、他の人からの意見で分かったこと、感想をかいてね」ペアや全体で話せなかったことをここでもう一度ソロでふりかえれる秀逸な授業デザイン。たったの1時間目の授業でグループサイズ、空間活用、オムニバス授業、とても多くのものが見られました。」

 この基本的な流れは、ぼくがもともとやってきた対話型ギャラリートークに、先日山崎学級を見せていただいて気づいたことを加えたものです。この日つかったのは散文詩で、これです。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/9003/books21.htm
 山崎さんは、もう少し交流に工夫があってもよかったなあとおっしゃっていました。ちょっとぼくの待ちが足りなかったかなあ。感想を記入後、大量の詩集をみんなで読み、気に行った詩に付箋をつける。最後にぼくが感想を名前をふせて読むという作りです。詩集には既に他の学年の生徒が気にいった詩につけた付箋がついているというところがみそです。最後に感想を読むのは山崎さんに学びました。

「中1の選択国語ではライティングワークショップの授業。学校中どこで書いてもよいとのこと、教室で書く子、図書室でねっころがってやっている子、写真ギャラリーがあるスペースに椅子を置いて二人で書く子など様々、美術室で書いている子もいました。晋さんはしきりに「カンファランスはしてないなぁ」と言っていましたが「子どもの顔を見に行った」といいながら子どもたち数人の所へいき対話をしている模様。それがすでにカンファランスになっているようでした。また、子ども同士が書いた作品を読み合っている姿が普通にあります。けっして無駄話をしているのではなさそう。ワークショップ型の授業は子どもたちに任せる部分が大きくその分、ふざけてしまったり遊んでしまう懸念があります。それを管理しようとしていろいろ手を打つけれども逆に管理されすぎで動きが固まってしまうといった悪循環、、、ここまでスムーズに流れる子どもたちは、日々の価値のインストラクションがていねいにしみいっているから、だからこそ、信頼して任せること。価値をインストラクションする前に「信頼」して野放しにしてしまうからワークショップ型で失敗してしまうのではないか、そんなことを考えました。晋さんは、その価値を語り、子どもを信頼するからこそあの「野放図なクラス」でいられるのだと思います。最後に、ハンドベルの鐘を聞いて戻ってくる子どもたち。とても豊かな時間がながれていました。」

 S先生が石川さんはどうして質を問わない(結果として質はあがりますが)のかと質問されました。その後一緒に中札内で絵画を見た時に、Sさんが、絵は好きですかとぼくに尋ねたので、ぼくはたいていの絵がおもしろいです。なんでそんなものをこの人は書くのかなと思うと考えるとおもしろくてしょうがない、と答えました。それを聴いたSさんが、そうか、石川さんは作品の質ではなくて、書き手作り手そのもの、つまり人に興味があるんですね、とおっしゃっていました。これ、大きな気づきでした。

「晋さんは「モデルは示さない」とのことを話していました。どういう意味をもってモデルといっていたのかもっとよく話をしてみたかったのですが」

という伊垣さんの疑問にも上のやり取りが答えになっていると思います。その人の生の姿への興味が濃いということですね、おそらく。

「絵本の読み聞かせワークショップの授業では先生が「こぶたのぶう」を読み聞かせ、そして同じ本を、家で晋さんがお子さんに読み聞かせをする姿、奥さんがお子さんに読み聞かせをする姿を動画でみせていました。途中、落ちの「ブー」を先に行ってしまうハプニングもありましたが(笑)。子どもたちはそれをとってもニコニコしながら見ています。自分をさらしているところにとても共感がもてました。」

 『ぶぅさんのブー』という絵本です。自分が読む姿を見せる事で、将来読み手となる自分をイメージしてほしい。ここでも読む様子は技術的な意味でのモデルとしては機能していなくて、価値のインストラクションとして機能させようと考えていました。

「ここで気づいたのが、読み聞かせの時に晋さんは子どもたちをじっくりと見つめることがたびたびあります。聴いているのか確認もあるかと思いますが、なによりも愛情を注いでいる瞬間だと私は感じました。読み聞かせは親子の関係を築いていくといった記事を以前読んだのを覚えています。絵本を読んでいるこのとき、晋さんは子どもたちの父親の姿になっているように私には見えました。この読み聞かせのワークショップとてもよかったです
クラスでも取り入れてみようと思います。」

なるほどおもしろいですね。ただぼくは単純に読み聞かせが好きな読み聞かせ教師です。客席への目配りは、聴き手を見ているというよりも、ぼくの読み聞かせのリズムを作っている所作の一つだと思います。

「また、ここで晋さんの価値のインストラクションをきくことができました。「人は読んでもらった経験でした絵本を語れない」だからこそ、読む練習は必要なんだということ。たぶん、この日、価値のインストラクションと呼ばれるものはこれぐらいだったような気がします。すでに学ぶ価値が分かっている学習にはもう、こういった導入がなくとも自然と学び始めるからとのこと。それに響いた子どもたち、男女の垣根を越え「ここどうやってよむの?」「読んであげよっか?」と母が子どもに読み聞かせをしているような姿が教室の中で見られました。」

 山崎さんもブログで、この部分がぼくの哲学を一番感じた部分とおっしゃっていましたが、その通りだと思います。ただ、「読んでもらった経験を出ないから、練習しよう」ということではなくて、中学校のこの時期に、将来の子どもへの読み手として、絵本と「客観性を担保して出会い直ししておくことの価値」をインストラクションしたかったのです。

「メディアリテラシーの時間。子どもたちのマスメディアについてのプレゼンでした。何よりも印象的だったのが、晋さんの「楽しみよう」。子どもたちのどんなプレゼンにも本当に楽しんでいるようでした。後に話をしたときに「子どもの創るものは全ておもしろい」と語ってくれました。なるほど、私自身、評価軸が外(テストだったり指導要領だったり)にあるからこそ、そこに照らし合わせてできているところと、できていないところの差ばかりに目がいきがち。目の前の子どもたちをもっと見つめないといけないなぁという気づきがありました。何よりも、先生が一番の良い聴き手であることは子どもを元気づけるようになっていました。プレゼン発表のとき、子どもの一人が「先生、移動して良いですか?」との問いに「それはね、移動しますって言えば良いんだよ」と応えていました。ここにも、管理することと任せること・信頼のアプローチが流れています。」

 メディアリテラシーの選択国語です。中2は二クラス。本来は、それぞれのクラスで実施しなくてはなりません。それを、担当者はぼくともう一人の若手がそれぞれ1クラスずつ持つという形にし、実際は通年で、二人で合同で回すという方法を取りました。中2で唯一、二つあるクラスが恒常的に行動で授業をする時間です。学年経営のことも考えて、この手法を取ったわけですが、二つのクラスの生徒が入り混じって学習を進めていくことになり、ものすごく意義深い時間になりました。ラベルトークの紙芝居としては、メディアの危険に警鐘をならすというステレオタイプに傾いていて、コンテンツ的には△でもあります。でも、みんなで協同で製作し発表することの意義の方が、ぼくにとっては遥かに重要でした。もっともあのプレゼンは、課題設定にも難があって、否定的なものに傾いてしまったようです。通年の取り組みでは、フォトストーリー製作の大きな活動があって、メディア制作と発信の楽しさも理解しているはずですから、最後にそれを呼び起こすような活動を入れて、全体の振り返りをしたいと考えています。

「聴き合う声のトーン」については、要するにぼくは本当の声が聴きたいわけです。いつか見た築地学級のビデオは素晴らしかったのですが、あのつんざくような高い声だけは最後までなじめませんでした。友達同士、身体から出る等身大の声に触れあえるのがいいといつも思っています。
 授業でも中1に上がってくる生徒は、おおむね授業中でも声を張り上げるので、部屋の大きさをイメージさせながら、場にそぐう声を補正する形で、本当の声が聴ける空間を作って行きます。

 伊垣さんは3時間目にPAをしてくださったわけですが、これは秀逸でした。
 中3の、翌日に受験を控えた状況でのPAで、申し訳ない限りでしたが、後の「振り返りジャーナル」の中身が充実を物語っていましたね。パイプラインと、ミニエクササイズの連鎖のいずれかで迷っていたわけですが、結果的に後者を選択して正解でした。
 うまくいかない感じのアクティビティの切り上げ方も見事でしたね。状況を見ながら、押し込むか撤退するかを決める。これはなかなか難しいことですね。見事でした。
 それにもまして、山崎さんもブログでほめてくださっていますが、次の時間の伊垣さんとの対話がよかったです。なおとさん、語りたい事をがっちり語ってくださって、教室の子どもたちの心にはがっちり響きました。プロは本当に思っていることを妥協なく語る。中3の子たちには、そういう姿勢自体が「価値のインストラクション」として十全に機能しますね。
 ぼくはこの数年ほとんどコンテンツを語らない教師になっているのですが、残り一か月、本当に伝えておきたい事を、しっかり伝えようと、なおとさんの話し、様子から、思いました。さっそく週明けから、そうしています。

 とりあえず、ここまで。
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深谷式 辞書引き

石川先生のblog、いつも拝見させていただいております。
最近、子どもと辞書引きを楽しく授業に取り入れているのですが、「深谷式」は知りませんでした。
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このblogを通して、深谷式辞書引きを知ることができました。
ありがとうございました。


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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
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