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2017-08

★学びのしかけプロジェクトメールマガジン186号 蓮行さん「職業演劇人の考えるワークショップデザイン その3」 - 2012.01.08 Sun

私が編集するメールマガジンの最新号。今号は蓮行さんです。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
               186号 2012年1月8日発行
                      (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.職業演劇人の考えるワークショップデザイン その3
           「ワークショップ」編集委員
                 劇団衛星代表・蓮行(れんぎょう)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 蓮行さんの連載3回目。そして、最後となります。
一回目 http://archive.mag2.com/0000158144/20110603230000000.html
二回目 http://archive.mag2.com/0000158144/20110920230000000.html
                           (石川 晋)
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1.職業演劇人の考えるワークショップデザイン その3
           「ワークショップ」編集委員
                 劇団衛星代表・蓮行(れんぎょう)
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 劇団衛星代表、蓮行であります。

 142号(2011年9月20日発行)の拙稿「職業演劇人の考えるワ
ークショップデザイン・その2」で、演劇WSの持つ「バイパス効果」に
ついて、次回もう少し詳述すると予告しました。素直に詳述してみようと
思います。

 まず、前回触れたのは「環境教育」の演劇ワークショップだったのです
が、こんな流れで行います。
(NPO法人フリンジシアタープロジェクトのサイトでも紹介しています。
http://www.fringe-tp.net/program.html)

 3日間バージョンの場合(概ね3~5日。最大で12日間の例も)
 1日目…
・コミュニケーションティーチャーによる「オープニングシーン」の鑑賞
・コミュニケーションゲーム
・台本作成のための話し合い

 2日目
・コミュニケーションゲーム
・台本を使った演技指導

 3日目
・リハーサル
・エンディングづくり
・発表会

と、こんな形です。

 「コミュニケーションゲーム」というのは、もともと演劇の世界では「
シアターゲーム」と呼ばれるゲームやレクリエーションの事であり、主に
ヨーロッパで俳優のトレーニングとして発達したものを、教育用にアレン
ジしたものです。ただ、「シアター(演劇の意)」と付くと、なかなかま
だ抵抗の強い世代も多く、私の先輩でもあり阪大の上司でもある平田オリ
ザの発案で、「コミュニケーションゲーム」と呼ぶ事にしました。
 ははあ、アイスブレークってヤツだな、と思った方も多いと思いますが、
確かに緊張をほぐして仲良くなる、という効果も狙ってはいるのですけれ
ど、私達の実施するコミュニケーションゲームでは、「徐々に負荷を上げ
て行く」という事を重視しています。
 どういう事かと言いますと、例えば「名前を呼んで、ボールを投げるゲ
ーム」をやるとします。ボールの数が増えていく、という難易度の上げ方
もするのですが、「ジョリジョリの刑」というのを、途中から導入します。
「ジョリジョリの刑」についての説明は不要かと思いますが、蛇足ながら
加えますと、このゲームで「ボールを落としてしまった子」は、うっすら
と伸びた私のほっぺたのヒゲを、ほっぺたにジョリジョリされる、という
厳刑です。たまに「オレはいっつもお父さんにされてるから平気や~!」
などとのたまうお子が居ますが、そういう子には「では、お尻にジョリジ
ョリしたるわ!」と言うと、大抵は悲鳴を上げます。
 子ども達は、楽しいはずのゲームを、「失敗したら、ジョリジョリされ
る!」という言いようのない恐怖の中で、行なう事になります。ひーひー
ぎゃーぎゃー言いながら、異様な盛り上がりになります。もちろん、実際
には子どもが失敗して落としてしまっても、ちょうどその時に「あ、携帯
かかってきた!もしもし…」などとよそ見をしてて見ていなかった、など
の演出を施して、子どもにジョリジョリすることはありません。ただ、た
まに先生がゲームに参加したがって、なおかつ失敗して落としてしまった
りすると、大人としては示しがつかないので、ジョリジョリせざるを得な
い場合もあります。50代の脂の乗り切った校長先生(もちろん男性)と
やるハメになったりすると、「こんな事がしたくて演劇人になったんじゃ
ないのに…」と心底ガッカリします。こちらもプロですから、それは職務
中のリスクと考えるしかありません。

 なぜこんな事をするのかというと、様々な効果や狙いがありますが、最
も重要なのは「子ども達をその気にさせる」という事です。演劇は普段、
全く触れる事がない学校も多いので、とにかく「得体が知れない」、「恥
ずかしい」という未知への抵抗や、食わず嫌い感が伴う事が多くなります。
 そこで、このようなコミュニケーションゲームをやる前に、「このゲー
ムはねえ、大学生とかにやってもらうゲームなんだけど、小学生にできる
かなあ?」などと煽りを入れてやります。そして前述のような理不尽な負
荷をかけ、見事にゲームをやり切った子達に対して、「まさか、この大学
生向けのゲームをやりこなすとは…。君たちくらい優秀だと、演劇づくり
と出演っていう難しいことも、たった3日間でできるかもしれないな!」
とその気にさせるのです。
 この例での「バイパス効果」には、緊張をほぐす、演劇への抵抗を下げ
るという消極的な効果にとどまらず、その気にさせる、モチベーションを
上げる、という積極的な効果が発揮されます。
 この効果は、直接的に「がんばろうね!」、「できるよ!」と言った励
ましでは、得られないほど強いものです。

 さて、この後は、「環境」をテーマにディスカッションし、役を決めて
行く訳ですが、ここにもミソがあります。決して「ディスカッションを経
て、役決め」という順番にこだわらないという事です。
 例えば、子ども達は設定やお話が決まる前から、「エコパトロールがや
りたい!」と言ってみたり、「悪役がやりたい!」と言ってみたり、様々
です。「犬がやりたい!」といった子も居ました。もちろん、「ストーリ
ーがある程度決まってこないと、役柄なんて考えられない」という子も多
いです。
 そこで、先に役の希望を言ってしまった子には、それはそれで認めて、
ディスカッションにはその役で参加してもらう訳です。悪役を希望した子
には、汚水を垂れ流しても平気な、悪徳工場経営者などの役割を振ります。
 そこで、「皆さんは、家でどんな環境対策をしてますか?」と全体に聞
くと、それぞれの家庭での取り組みを皆が教えてくれます。「牛乳パック
はリサイクルに出してる」とか「電球はLED使ってます!」とか。しか
し、先ほどの悪徳工場経営者は、「何も対策してへんわ!」などと言い出
します。そこへ、エコパトロールの役を希望した子が、「どうして何も対
策しないんですか?!」と聞くと、「めんどくさいし、儲からないことに
は興味無いわ!」などと返答してきます。
 実は、このやり取りは、「役柄」を与えたからこそ出て来るものです。
子どもでも小学校高学年になってくれば、さすがに人前で「環境問題なん
てどうでもいい」などとは言えなくなってきます。「何てヤツだ!」と思
われてしまうリスクがありますし、そもそも子ども達は、教科書的には環
境問題の大切さを、知識としては持っているからです。「役柄」を与えて、
ディスカッションの中でも「演じて」みることで、子ども達は世の中に様
々な考え方や、もっと言うならば「悪意」を持った人間も居ることを、疑
似体験できます。そして擬似的でも、かなり熱の入った「議論」をするこ
とができるのです。しかも、これはあくまで「役柄」や「設定」の中での
話だと子ども達も了解していますから、とても「安全」なのです。
 私は、この一連の効能を「役柄」や「設定」を用いる事の「バイパス効
果」と考えています。これは演劇を作るプロセスで生まれる、重要な教育
効果だと捉えています。
 演技という一見「環境」に全く関係ないところからアプローチし、アウ
トプットも「演劇の発表会」の形で行う事により、複雑な体験として深く
長く記憶に残るらしいという事が、脳科学や認知心理学で研究されて、明
らかになってきているそうです。

 演劇を用いると、教育効果は実に様々で、言わば膨大なバイパスが作ら
れることになり、ともすれば当初の目的を忘れてしまうほどです。
 しかし私は「目的」を設定しすぎる、というのは現代の学校教育におけ
る1つの問題点であると思っており(単一目的主義の問題、と呼んでいま
す)、演劇WSには、何だったら目標など設定しなくても、「将来必ず役
に立つ何かの力」を身に付けさせる力があると考えています。

 と、3回に渡りちょっと演劇WS押し過ぎかな、とも思いますが、後は
ぜひ実践で確かめてください。お金も手間もかかりますが、「やるぞ!」
と肚さえ決めてもらえば、案ずるより産むが易くどうとでもなります。ご
連絡お待ちしております。連絡はNPO法人フリンジシアタープロジェク
トinfo@fringe-tp.netまで。

授業づくりネットワーク誌の最新号
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 「ジョリジョリの刑」。私も授業中に女子生徒に向かって「ジョリジョ
リするぞぅ」と言って、マジで嫌われたりするのです(笑)。
 以前にも少し書きましたが、私も「シアターゲーム」を国語の授業に取
り入れつつあります。「シアターゲーム」は、蓮行さんがおっしゃる通り
「その気にさせる、モチベーションを上げる」効果があると実感していま
す。ニセモノが基本であるとも言える学校教育の中で、「役柄」や「設定」
であることを理解しつつ、ニセモノでなく「本物」に近い活動だからなの
では、と感じています。
 教科の指導の中にぜひ「シアターゲーム」を、ぜひぜひお勧めしたい。
私ぼ自身ももっともっといろいろ教室で取りあげてみたいと思います。
 次号は、ハイブリッドチームから、乙部啓二さんのご登場です。どうぞ
お楽しみに。 
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第186号(読者数1803) 2012年1月8日発行
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編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
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ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
 編集長:石川晋
 副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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● COMMENT ●

今年もたくさん学ばせていただきます。
よろしくお願いします。
演劇のフリンジシアタープロジェクトは、僕の学校にも来て頂いて、とても楽しく子どもたちが取り組んでいました。
僕の教師としての視野も、子どもたちを見ながら広がっていったように思います。
これは、時間も何時間か使うし、かつかつでやっている現場には取り入れにくいものですが、
時間数では表せない効果があると思いました。
子どものの課題は、それぞれ違っています。
ふつうの授業では、その課題ができている・できていないにも関わらず、一つの目標を立てて行われます。
これは、一斉授業の持つ本質的な欠陥です。
演劇の手法は、こうした欠陥を大きく補ってくれるものでもあると思います。


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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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