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2017-08

学校は雑木林だ…スケート全道大会釧路1日目 - 2012.01.06 Fri

 引率初日。
 十勝は、釧路、根室と並ぶスケートのメッカ。大選手団である。バス数台に分乗し、9時前に帯広の森を発って釧路へ。これだけの選手団を背負っていく専門委員の先生方の気概。すごいなあと思う。
 夜、ミーティング。
 コーチの方が、生徒に向けて感動的なスピーチをする。こうしたスピーチって、「檄」になるか「価値」を語ることになるか、紙一重だなあと思う。自分の言葉で自分の実感で信念を持って語れるか…なのだと感じる。
 それにしても屋外リンクは寒いぞ。

 今回の引率は3泊4日。長丁場だ。本も数冊持ってきた。いずれも斜め読みばかりで丁寧に読めていない本。

 今日バスの中で読んだのは、河原井純子『学校は雑木林』(現代書館)。
 河原井の本への共感を語り、このようにブログに書いたりすれば、それだけで、都内の教員なら、もう目をつけられてしまうのだろうか。あの七生養護学校の性教育指導問題に中心的に関わった教師であり、その後の日の丸君が代不起立とたび重なる戒告処分の、あの河原井さんである。

学校は雑木林―共生共存の教育実践と「君が代」不起立学校は雑木林―共生共存の教育実践と「君が代」不起立
(2009/04)
河原井 純子、斎藤 貴男 他

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 丁寧に読むと、河原井さんという人が、実に丁寧に実践を積み重ねてきた、すぐれた実践者であることがわかる。エピソードを記述する力は、子どもを見る力と、授業実践を積み上げる力を、そのまま示すものだ。これは皮肉にも藤岡信勝さんに若かりし日に教えていただいたことである。
 河原井さんの本からは、彼女が子どもの生み出すハプニングに寄り添って仕事をしてきた人であることがよくよくわかる。この本は、素晴らしいエピソードの詰まった本なのである。

 かつて、初任の頃、私は、エピソードが次々と積み重ねられていく本を、少し馬鹿にしていた。こんな書き方では、実際の授業がどのように展開されているかわからない。技術への意識がなく、泥縄な日々を紹介しているだけではないか、と。
 だが、今、私は、私達の日常は、エピソードの連続、つまりエピソードそのものなのだ、エピソードが私達の仕事を支えてきたのだとやっとわかる。子どもが紡ぎ出す物語が、私がこの仕事を続けてこれた原動力なのだ、と。若い頃から親しくさせていただいてきた長谷川忠臣さんや笠原紀久恵さんの本は、今思えば丁寧に紡がれた教室の子ども達のエピソードとそこへのまなざし(価値づけ)の描写だったのである。

学級通信のつくりかた (小学校学級づくりブックレット)学級通信のつくりかた (小学校学級づくりブックレット)
(1990/05)
長谷川 忠臣

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友がいてぼくがある―学びあい育ちあう40人の学級物語友がいてぼくがある―学びあい育ちあう40人の学級物語
(1981/08)
笠原 紀久恵

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先生が好き学校が好き―子どもの数だけ豊かさがある先生が好き学校が好き―子どもの数だけ豊かさがある
(1998/09)
笠原 紀久恵

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 河原井さんの本は、後半の七生での苦闘の日々とその後の君が代問題への描写から、ある意味ではまるで違う本のような印象を受ける。もちろん河原井さんのそれまでの実践群と密接に関わる、一貫性と合理性を持った行動の記録であることは伝わってくる。しかし、河原井さんが、すぐれた「実践者」としては、たび重なる戒告によって、事実上仕事が続けられなかったことはとても残念なことだと思える。

 河原井さんは次のように書いている。

  「違う」からといって、排除したり切り捨てるのではなく、認め
 合う努力をしていきたい。
  私は雑木林が大好きです。一本一本が、それぞれに自己主張し、
 一本一本が凛として育ち、共生共存して雑木林となる。私もそんな
 雑木林の一本の「雑木」であり続けたいと思うのです。

 また、こうも書いている。

  私は、教師や学校や社会は、もともとひとりが大切にされるとこ
 ろ、違いを認め合うところだと思っています。(中略)教室や学校
 や社会を「雑木林」にしたい、と強く願っています。

 釧路までの道は、谷地の間を貫いて続いていく。読みながら時折目を外に向けると、車窓から点々と続く「雑木林」が見える。それが、ついつい気持ちを高ぶらせたのだろうか。
 引率のバスの中だというのに、涙が出そうになった。

 「学校は雑木林」だ、と私も思う。
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● COMMENT ●

コメントの連投失礼します。
河原井さんに2度お会いしたことがあります。
「雑木林の決意」という詩の小冊子を直接頂き、
手帳にいつも忍ばせている者です。

その詩の中にこんな一節があります。

わたしたちは決してあきらめない
子どもたちひとりひとりの声に
耳を傾け
じっくり向き合って
とことん対話する
命令しない命令されない
差別しない差別されない関係を
子どもたちと創り続ける

彼女の「がんばらない・あきらめない・楽しみたい・つながりたい」
という言葉に、何度救われたことでしょう。

臨床教育学の「ナラティヴ・アプローチ」という考え方に示唆を得て、
学会誌に「生徒のナラティヴを引き出す音楽科授業」という実践報告を書くことになっています。

全生研で学んだエピソード記述を、「語り・物語」の相から新たに価値づける試みとなりそうです。

河原井さんの「雑木林」のように、多様性をベースにした寛容な社会を、私も強く志向したいと思います。
そのために「音楽科」「中学校」という臨床現場で何ができるか。
坦々と、粛々と実践を積み重ねたいと思います。

またも長文で失礼しました。ではまた。


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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
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