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2017-11

教師教育メールマガジン43号、後藤健夫さんです! - 2017.11.18 Sat

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メールマガジン「教師教育を考える会」43号
           2017年11月17日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 若者の未来と地方創生、人工知能の進化
                            後藤 健夫
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 43号は、後藤健夫さん(教育ジャーナリスト)。大学改革、国際バカ
ロレア、地方創生と教育など、今後の日本の教育の変革を考える上でカギ
となる多様な領域に精力的な発言を続けておられる注目のジャーナリスト
です。                        (石川 晋)
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 若者の未来は明るいとは必ずしも言えない。
 だから、最近の私の講演はそれを克服するために教育を考えようと呼び
かけることになる。
 若者の未来をいかに明るくするかとはひとつのテーマであっても切り口
はたくさんある。高校教員向けなのか、保護者対象なのかでも話し方や
テーマへの切り込み方が変わる。ゆえに、講演はいつも違った話になるの
だ。
 このメールマガジンに何を書こうかと随分と悩んだ。
 教育の質的な転換が起きようとしている、いまだからこそティーチン
グ・ポートフォリオのように教員個々が自分が教える理念や方針、方法を
見直すことが必要だろうから、そのことを書いたら少しはそうしたことに
気を回してくれるかもしれない。そう、10月30日の日本経済新聞朝刊でも
コメントを掲載してもらったが、「知識詰め込み型教育から能動的に学ぶ
教育への転換する過渡期」にあり「理念や教え方など教師が変わらなけれ
ば、これからの時代にあった教育を生徒は受けられない」のである。
 大学入試に、民間の英語4技能テストが導入される。これには生徒の負
担が多くなるだけでなく、現状では業者の負担も大きすぎるし、運営にお
ける課題は少なくない。これもあれこれと書きたいところだ。
 文部科学省は大学入試改革において、いわゆる「学力の三要素」をすべ
ての受験生に課そうとしているが果たして「主体性等」をどのように測る
のかについても動向を伝えたいところだ。
 まだまだある。密かに注目されている国際バカロレアの「セオリー・オ
ブ・ナレッジ(知の理論)」についても書けることはたくさんある。

 はて、どうしたらよかろうか。

 やはりあれこれ書きたいことがあって絞りきれない。
 しかし、ここは思い切って絞り込み、地方創生と人工知能の進化に、少
子化やEdTechなどを書きたいことに落とし込んでまとめた感じに書いてみ
ることにした。

 若者の未来は必ずしも明るいとはいえない

 若者の未来は必ずしも明るいとはいえない。
 さらに言えば、我々のように高度経済成長期の真っ只中に生まれて20代
をバブル期として過ごしたような経験がない。高度経済成長もバブルも経
済財は右肩上がりであった。「いま頑張れば明日報われる」「今日より明
日は豊かな日となる」なんてことを言えた時代を経験したことがない。ア
ジアの他の国の若者に比べて日本の若者たちはハングリー精神に欠けると
言われるがそれはしかたがないことだ。日本は低成長期にある。そして、
アジアの他国は成長期だ。頑張れば報われるのであれば意欲も湧きやすい
だろう。日本の若者がかわいそうだと思う一面である。だから、どんどん
日本の若者は日本に縛られずに海外で活躍すればいいと考える。

 そんな若者の未来を取り巻く状況は、少子高齢化、複雑化する国際社会、
地方消滅の危機、そして人工知能の進化など、これまでには経験したこと
のないものである。
 この未来を明るくすることができるのは教育である。
 そして、若者の自己肯定感をいかに高めるかだ。辛いだろうとこれほど
までに見込まれる状況に向き合うためには自信や内発的動機に満ち溢れて
でもいないとうんざりしてしまうし、なにも問題解決できないかもしれな
い。
 まずはいかに生徒の自己肯定感を高めるかだ。
 そして、その前に教員の自己肯定感が低くては目の前の生徒たちの自己
肯定感が高まるわけがない。
 また、大学入試において、一般入試(学力試験)は自己肯定感を低くす
る方向に向かいやすいが、AO・推薦型の選抜試験は自己肯定感を高めや
すい。長所を評価してピックアップするからだ。そうしたことからもまだ
まだ一般入試の比率を下げてAO・推薦型の比率を上げるべきである。
 最近の各大学での調査では、大学入学後の成績は専門教育に向かうほど
一般入試よりもAO・推薦型で入学した学生の成績が良いことがわかって
きた。学ぶ意欲が成績に反映されているのだろう。
 若者の自己肯定感を高める方向に、何事も向かいたいものである。

 地方創生と働き手不足

 昨年あたりから、講演や相談で、地方に出かける機会が増えた。
 いずれも地方消滅の危機にある町や島だ。町では小学校が統廃合するし、
島では高校が閉校の危機にある。
 団塊ジュニアが生まれた頃には、毎年、町には毎月50人を超える子ども
が生まれていたが、いまでは5人だ。12クラスあった中学校もいまや2クラ
ス。
 町の小学校は全校で20名近くの児童がいても学年によってはゼロだった
り1人だったりする。1人では合唱もできない。統廃合は時間の問題だ。

 島の高校では全校で30人にも満たない生徒数。中学生も30人、小学校も
幼稚園・保育園も30人に満たない。それ故に、このままでは高校の生徒数
がこれ以上増える見込みはない。荒井由実(当時)がこの学校のために
作った曲が校歌のように愛唱歌として歌い継がれ、本人も何度かこの高校
を訪れている。そんな話題の高校も少子化の波には抗えそうもない。

 ある町の小学校では統廃合をした結果、児童が遠距離を歩いて通えずバ
スを出しているそうだがその費用は年間1億円以上かかっているという。1
億円かけても子どもの教育と未来を考えているのだ。1人では合唱も野球
もできない。友だちがいるからこそテレビドラマの話をしても楽しい。お
兄さんお姉さんたちもいれば弟や妹のような仲間もいる。人口が多いとこ
ろでは当たり前だが、人口減の町ではそうではない。
 統合された年に、その町で開かれた教育フォーラムに私も公園で呼ばれ
て参加したが、例年になく多くの先生たちが参加され、懇親会まで付き
合ってくれた。少子化における危機感は先生たちの中で強くなり、そして、
より良い教育をしたいと考えるようになった。町も少子化ゆえに投資をし
てくれる。タブレットを児童が授業中に使えるようになった。IT化には力
を入れている。少人数だからできることもある。ディスカッション中心の
授業も心置きなくできる。

 他のある町では、1学年2クラスになってしまった中学校で英語強化策が
練られた。本当は海外に短期留学であっても送り出したいところだが、テ
ロの危険や費用の問題でなかなか実行に移せなかった。教育委員会の課長
が、町の人たちへの講演を終えた私のところにやってきた。何かいい手立
てはないかと。隣県にある、海外からの留学生を積極的にたくさん受け入
れていることで注目されている大学を紹介して、この大学と連携してみる
のがよいのではと提案した。するとすぐに協議をしたようで、その大学に
生徒を送り込みたいと連絡があった。結局、5日間のプログラムをその大
学のキャンパスで留学生を交えて展開することになった。この提案の中で
「少子化ゆえにできることがあるのではないか。200人の生徒にはできな
いことが、80人の中学生にならばできるのではないか」と示唆した。この
プログラムへの補助もそうだが少人数だからこそ支援できることはあるは
ずだ。その一方で1学年80人となると全校で240人である。この240人に関
わる大人は両親と学校関係者であり500人程度である。人口1万人の町で高
齢者は4000人。なかなか500人の意見は町の政策に反映されにくい。逆に、
町の議会や行政が意識的に、中学生の未来を共有しなければ、この町から
出て行ってしまうだろう。
 「共有する未来」
 子どもたちの未来を、教員も行政も共有しなければ、子どもたちの未来
も町のみたいも決して明るいものにならない。共有できなければ、子ども
たちが町を捨ててしまい、町の存続は厳しくなる。
 若者の未来を共有できない、これが地方消滅の一因である。

 少子高齢化と生産年齢人口減、そして人工知能の進化

 少子化の影響を受けるのは地方に限った話ではない。全国的な問題であ
る。
 そして、課題は少子化だけでなく高齢化が合わせて起きることだ。
 これにより、生産年齢人口は減少を続ける。生産年齢人口が減れば生産
量が減る。生産量を維持できなければ国力は下がる。だから生産年齢人口
が減ったとしても1人当たりの生産性を上げて生産量を維持したい。
 では、どうすれば1人当たりの生産性を上げることができるだろうか。
 そこはロボットやコンピュータを駆使することが考えられる。
 あるディジタルアーティストに言わせると
「人口減は大歓迎である。これからは人工知能が仕事を代替わりしてくれ
る。人工知能に仕事を奪われた人のベーシックインカムなどの対応措置を
考えなくてよくなる」
ということだ。
 果たして人工知能は、いつ、どのぐらいのことまで人の仕事を代替でき
るようになるのだろうか。

 人工知能の進化と教育

 さて、人工知能の進化は教育にも大きな影響を及ぼしそうだ。
 単純化できるもの、ルーティンワークのような機械的な作業、ある一定
の基準で判定できる仕事などが人工知能によって置き換わる可能性が高い。
具体的には、工場で人が働くことはなくなるだろう。そこでは工業用ロ
ボットが活躍するようになる。薬剤師や税理士、不動産鑑定士の仕事も人
工知能に代替される。医療や学校、経理などの事務仕事は人工知能で十分
だろう。銀行の窓口も人工知能だ。
 となると、私大文系が輩出していた人材が職を失う可能性は低くない。
 そうならないようにするために、相互に調整をしたり協調したりする仕
事、非定型的な業務などで職を得られるような教育にシフトせざるを得な
いだろう。
 こうした人工知能の進化の恐ろしいところは、いつの日か、これまでの
知識詰め込み型の受動的な学習を丸呑みして一気になきものにしてしまう
ところだ。そのときに嘆いても仕方がない。
 生徒のことを考えれば、そのときに対処できるだけの能動的に学ぶ姿勢
を身につけさせて自ら考えて学ぶことができるようにすることだ。
 そして、生徒がより良い教育を求めたときに教員が対処できることだ。
 生徒側が主体的に学ぶための権利を主張するようになったときに、従来
のような教育を継続していたら訴えられるかもしれない。そうした恐ろし
いことも起きないわけではないだろう。
 さらには、学習教材がアダプティブになれば教育の個別化は一層やりや
すくなる。そうしたときに授業の学習進度は誰のものかを考えざるを得な
くなる。
 知識を教えることは非定型的なものではないとしたら、教えることすら
人工知能が始めるかもしれない。現に、経済産業省は教育産業支援の部署
を設けて、Edtech の振興に力を入れ始める。学校現場にどんどん人工知
能やロボットが入り込んで来るだろう。
 ただでさえ少子化で学校は廃校になり教員が働く場がどんどん減って行
く可能性もあるわけで、教員の仕事が保障されるとは限らない時代が来る
かもしれない。
 そうしたときに、教員は学習者のリーダーとして学習の指針を示したり
的確に学習の方法を指導したりすることを求められるようになるだろう。
 そのときに、教員は、職業人として「なぜ教えるのか」「どう育てたい
のか」といった、個々の教育理念を問われることになる。

 「教員受難の時代」は、少子高齢化や人工知能の進化の波とともに、す
ぐそこまでやってきているかもしれない。

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 後藤さんがリードで述べられている通り、現代の教育を巡る多様な領域
について総覧的複合的に書いてくださり、本当に感謝です。
 地域創生の問題に絞って書きますと、私が今春まで勤務していた上士幌
町はふるさと納税による寄付が20億を超える町でした。人口は5000人を
わずかに切るくらいの規模ですから、大変なイノベーションが起こってい
る状況と言ってよいかと思いました。それまで子どもたちは自分の出身地
についてSNSで、近隣の都市である「帯広市」と書いていました。町が広
く知られ、そこで暮らしてきたことに誇りを持てるようになることで、子
どもたちのそうした「立ち位置」が少しずつ変わっていく様子を身近に感
じることができました。
 一方で、では、その地域で今後もさらなるイノベーションを生んでいく
人、そしてつながりを生み出していくために、教育がその中核的課題を
担っていることは明らかであり、授業が劇的に変わっていかなければ、こ
こからは危ういということを日々実感していました…。
 そのためにまず私たち教師のマインドが変わっていくことは何よりも重
要と考えます。その時、社会状況の変化をポジティブに捉え、変化を前提
に自らの在り方・立ち方を常に更新していくような教師は、どのようなプ
ロセスによって生まれてくるのかなあ、そういうことを考えつつ、読ませ
ていただきました。

 前号(42号)、編集ミスで見出しが41号になっていました。お許し
ください。
 今号は43号になります。

 次号は、11月21日火曜日。寺西隆行さん(ICT CONNECT 21 事務局
次長)。プログラミング教育など、ICT活用に関するメールマガジンを精
力的に編集発行し、様々な学習会を開催している方です。

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メールマガジン「教師教育を考える会」
43号(読者数2528)2017年11月17日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
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