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2017-08

教師教育メールマガジン10号、阿部隆幸さんです! - 2017.08.02 Wed

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メールマガジン「教師教育を考える会」10号
          2017年8月1日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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教職大学院で授業づくりに関わるということ
上越教育大学教職大学院准教授/NPO法人授業づくりネットワーク
副理事長                      阿部 隆幸
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第10号は、阿部隆幸さん。現場教員として、たくさんの実践書籍を発
表してきた阿部さんが、教職大学院のスタッフに転身して2年目に入りま
した。教職大学院で阿部さんが感じていること、考えていることを書いて
いただきました。                   (石川 晋)
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1 「教職大学院」を通して教師教育に携わるということ

 わたしは、27年間の小学校教員生活を経て、平成28年4月から「高度専
門職業人育成としての教員養成に特化した」教職大学院の一つである、上
越教育大学教職大学院のスタッフの一人として関わっております。まだ2
年目なので本質的なところまで理解できていない恐れがありますが、わた
し自身が今現在推し進めていること、感じていることを文字にすることを
通して、教職大学院を通して見る教師教育について少しでも紹介できれば
嬉しく思っています。

2 「多様化」の中の「専門性」。これらをつなぐのは「協働性」

(1) 教職大学院創設の背景(学校教育課題の複雑化・多様化)
 教職大学院は平成20年度に(上越教育大学教職大学院を含めた)19大学
でスタートしました。国が教職大学院設置を推進しているため、平成29年
度には新たに8大学設置されて合計53大学となり、ほぼ全ての都道府県に
設置されたことになります。

 平成20年度以前にも教育系大学院(つまり修士課程)が存在しました
が、なぜ教職大学院設置の必要性があったのでしょうか。それは、「学力
低下、いじめ、不登校、学校の小規模化、家庭や地域の教育力低下、発達
障害の子どもの増加」など学校教育の課題の複雑化・多様化にあります。
これらに対応するための高度な専門性と実践力を身につけたリーダー的な
教員の存在が不可欠となり、そのような教員を養成するために教職大学院
は創設されました。

(2) 教職大学院の主な目的・機能(入学する学生の多様性)
 教職大学院は大きく2つの目的・機能があり、その結果、入学してくる
学生が方向付けられます。

 一つは、学部段階での資質能力を修得したものの中から、さらにより実
践的な指導力・展開力を備え、新しい学校づくりの有力な一員となり得る
新人教員の養成です。これは学部卒業生を対象としています。

 二つは、現職教員を対象に、地域や学校における指導的役割を果たし得
る教員等として不可欠な確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えた
スクールリーダー(中核的中堅教員)の養成です。これは現場を数年経験
している現職教員を対象としています。

 おおざっぱな類型になりますが、これから現場を経験する学生(学卒院
生)と相当数現場を経験してきた学生(現職院生)がおり、現職院生の中
にも授業づくりや学級づくりをより深く学びたいと考える人と管理職を想
定して学びにくる人とが混在しています。

 ここでは、学生の立場、目的の複雑化・多様化と挙げておきます。

(3) 教職大学院の特色(学ぶ内容の多様性)
 教職大学院は、これまでの教育系大学院(修士課程)と比較して次のよ
うな特色をもつと言います。

i)理論と実践を融合した教育内容・方法であること。
ii)事例研究、模擬授業、授業観察、ロールプレーイング、フィールドワ
ーク、双方向的・多方向的なディスカッションなど、実践的な指導法を用
いること。そのために4割以上の実務家教員が必置とされていること。
iii)教育分野の高度専門職業人の養成に特化しているので、研究指導や修
士論文は課されないこと。
iV)大学院の運営全般においてデマンドサイド(学校、教育委員会等)と
連携すること。
V)組織的なFDや外部評価、第三者評価など、普段の検証・改善システム
を構築すること。

 現場に役立つことが第一なので、修士論文は課せられませんが、各自治
体に設置されている「教育センター」等で学べる内容とは差別化を図らね
ばなりません。その意味で「理論と実践を融合した教育内容・方法であ
る」ことが特に求められます。

 教職大学院の「創設の背景」「主な目的・機能」「特色」だけでも、
様々な矢印の方向を向いていることが分かります。多様であり、複雑で
す。この状態をどのようにして乗り越えた学びとしていけばよいのでしょ
うか。
 今のところ、個別化と協同化・協働化の往来としての学びと考えて
います。

 上越教育大学教職大学院は、入学定員が60名です。M1とM2を合わせると
120名。これは、全国の教職大学院からすると大人数の部類に入ります。
たくさんいるからこそ、多様性を生かした協同化・協働化が展開できま
す。

3 本学教職大学院の最大の特徴「学校支援プロジェクト」

 現場を重視する教職大学院では、従来の教育系大学院(修士課程)と異
なり、カリキュラムに「学校における実習(10単位以上)」を設けていま
す。
(「教職大学院:カリキュラムのイメージ<文部科学省>」)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kyoushoku/kyoushoku/1354467.htm
 学生人数の少ない教職大学院であれば、現職院生であれば所属校(派遣
校)での実習や学卒院生であれば附属学校での実習になるところでしょ
う。

 しかし、本学教職大学院は違います。もともと地元に根付いた大学であ
ること、学生人数が多い教職大学院であることから、各研究室ごとに3?
5人のチームを組んで上越市・妙高市・糸魚川市を中心とした各小中高等
学校と連携(連携協力校といいます)した実習(1年で150時間)を行って
います。学校支援プロジェクト
http://www.juen.ac.jp/kj/learning/project.html
と呼んでいます。

 研究室の研究テーマと手を挙げてくださった連携協力校の学校課題とを
照合し、お互いにWin-Winの関係になるように目指して実習をしていくの
です。院生は、その際、「チームの計画書」と「個別計画書」の2を作成
し実習に取り組むことになります。「個別化と協同化・協働化の往来」で
す。

4 個別化と協同化・協働化の往来としてのゼミ(研究室)の存在

 複雑化、多様化が進むと同時に「個別化と協同化・協働化の往来」を確
固たるものとするためには研究室(ゼミ)の存在がとても大切になりま
す。アドバイザーの大学教員と一対一だけで自分だけの課題を黙々と追求
していくことは不可能です。研究室仲間で共通のOSを獲得し、そこに自分
なりのアプリケーションを乗せていくという感じでしょうか。もちろん、
同じアプリケーションだとしてもその使用法は様々です。

 例えば、わたしは今年度から院生を担当することができるようになり、
5名の院生がわたしの研究室に所属してくれ、チームを2つ設けることが
できました。そこに「目標と学習と評価の一体化」「協同的な学び」「授
業を通した学級づくり」「ホワイトボードを活用した信頼関係をもととし
た授業づくり、学級づくり」という学校課題を挙げてきた連携協力校2校
と学校支援プロジェクトを進めて行くことになりました。

 実際に実習に入るのは9月ですが、これが決まってから学生の動きが今
まで以上に活発になりました。

 「目標と学習と評価の一体化への深い理解への取り組み」「プロジェク
トアドベンチャーの理論と実際」「ホワイトボード・ミーティング技術を
くり返し習得する練習」「目標と学習と評価の一体化を意識した模擬授
業」……。

 互いに、授業づくり、学級づくりの考え方と技術について情報を交換し
ながら、その都度自分の興味関心のあることを立候補形式で決めてどんど
ん進めていきます。発表する人間が、調べてから皆に話すので一番得をす
るという考えが次第に広がり、「次、わたしがやります」という言葉が普
通にでます。その後、主にホワイトボードを使ったふり返りをするという
サイクルを展開しています。

 現職院生が当たり前と考えている振る舞いを学卒院生がどうして?と素
朴に疑問として出したり、現職院生のプロフェッショナルな振る舞いに学
卒院生がなるほどと目を丸くしたり、教室前面で子どもたちに語るときの
立ち居振る舞いにそれぞれの育ってきた環境の違いが反映されたりとそれ
ぞれの学びがあります。

 これらを成り立たせているのは「互いを尊重して話を聴くという態度」
です。
 わたし自身、現場に立っていたことがある人間なので、大学教員という
地位を利用して余計なことを上から目線で語りたくなる自分がいます。そ
こをグッとおさえて、「互いを尊重して話を聴くという態度」が発揮でき
る環境設定に努めています。

5 おわりに

 繰り返しますが、大学教員として2年目ですが、院生と共に学校支援プ
ロジェクトを進めていくのは今年が初めてのわたしです。これまで語って
きたことは現在進行形であり、ちょっとした理想も入っているかもしれま
せん。

 しかし、日本全体が大きな変革を求められており、学校教育も同様で
す。そんな中、教職大学院に大きな期待が寄せられています。今までの教
員養成大学ではなかななかできなかった教育の形を教職大学院というとこ
ろで成形していくことが楽しみです。

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 阿部さんとのかかわりもずいぶん長くなりました。実践者としての阿部
さんは謙虚で内省的です。大学院のスタッフになってもそのたたずまいは
変わりません。教職大学院のカリキュラムや内容は、まだ現場の教員に十
分に伝わっているとは言えない状況です。学校ごとの特徴(違い)もあま
り意識されていません。教職大学院スタッフとしての模索もよくわかり、
興味深く読ませていただきました。
 この新しい仕組みが、日本の教職員の学びにどのように役立っていくの
か。現場の教員の積極的な提案との往還が成立していくのか。教師の学び
のライフコースの地殻変動を起こす力になるのか。私も期待と不安をもっ
て注目しています。
 阿部隆幸さんの新刊は、「『学び合い』×ファシリテーションで主体
的・対話的な子どもを育てる!」(学事出版)。ちょんせいこさんとの共
著です。まだ店頭に並びませんが、『学び合い』フォーラムで先行販売と
お聞きしています。  https://manabiai.jimdo.com/

 次号は、8月4日金曜日。鍋田修身さん(島根県立隠岐島前高等学校常
勤講師)です。教師の越境する学びが注目を集める中、まさにそれを現在
進行形で体現している方の一人です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
10号(読者数2385)2017年8月1日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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