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2017-08

教師教育メールマガジン17号、上條晴夫さんです! - 2017.08.22 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」17号
         2017年8月22日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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【リフレクション可視化装置としてのフィッシュボウル】
東北福祉大学教授
                            上條 晴夫

http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第17号は、東北福祉大学の上條晴夫さんです。このメールマガジンの
前身であるメールマガジン「教師教育ネットワーク」の編集代表をされて
いた方です。今号では、特に教師のリフレクションに関わって、大学の現
場で取り組んでおられることをご紹介いただいています。
を寄せてくださいました。               (石川 晋)
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1・実践研究テーマ・リフレクション 
 大学で教員養成の仕事をしています。実践研究の最大のテーマはリフレ
クションです。 たとえば、最近『理想の授業づくり』(ナカニシヤ出
版・2017)を出させてもらいましたが、本書で提案した「理想の授業づく
り」のアプローチをとると、「行為(授業)の中のリフレクション」
(D・ショーン)が起こりやすくなります。
 とにかく学生や現場の先生たちにリフレクションを身につけてもらうた
めの実践装置を手当たり次第試しているところです。本稿では、その中
で、今最も注目している「フィッシュボウル」というワークショップ技法
について考察します。

2・模擬授業のフィッシュボウル
 大学の講義で学生に模擬授業をしてもらいます。全ての学生に体験して
ほしいのですが、何しろ50~70人くらいの大人数です。次善の策とし
て、グループごと模擬授業大会をして、グループの代表者(授業者学生)
を決め、全体の前で授業をしてもらっています。

 1 授業者の持ち時間は10分間です。
 2 20名ほどの生徒役の学生(学習者学生)を相手に授業します。
 3 のこりの学生は外から観察します。

 輪の中の授業(教師と学習者のコミュニケーション活動)を輪の外の学
生(観察者学生)が観察します。こうした学び方を「フィッシュボウル」
(金魚鉢)と呼びます。この学び方で留意すべき点は観察者学生へのガイ
ドです。この方式を取り入れた当初、観察者学生は授業者学生が教室前で
学習者学生を相手に指示や説明を行っている間だけは授業に注目していま
すが、グループワークなどが始まると、途端に授業のようすから目が逸れ
てしまいました。
 「フィッシュボウル」(金魚鉢)は目の前で行われるコミュニケーショ
ン活動をつぶさに観察するために工夫された学びのしかけです。しかし授
業観察経験のない学生たちは、授業者学生の「授業を動かす言葉」にだけ
注目して、他に目がとまりません。
 せっかくのコミュニケーション観察装置が機能しません。ガイド(具体
的示唆)が大事になります。授業には「(教師の)授業を動かす言葉(指
示・発問・説明)」以外に「(教師の)自己表現的な言葉(賞賛・驚き・
促し)」があること。これら以外に「(教師の)ノンバーバルコミュニ
ケーション(仕草・動作、姿勢)」もあることを示唆します。
 この示唆を与えるにはタイミングが大事です。授業者学生の授業が終わ
ると、学習者学生、観察者学生に授業者学生へ向けた「ファンレター」を
書いてもらいます。授業の中で自分だけが見つけた(はずの)よさを授業
者学生に向けて簡単な手紙に書きます。
 示唆するタイミングは、学生たちが「ファンレター」を書き終わった直
後がいいです。できるだけ学生が見つけることのむずかしい自己表現的な
言葉やノンバーバルコミュニケーションを指摘してみせます。また教師の
言動と学習者の相互作用も示唆します。
 これらの示唆を与えることで学生たちの具体的観察力はUPしていきま
す。

3・模擬授業のリフレクションのフィッシュボウル
 学外で現職教員の方(20数名)を対象に「協働的な授業リフレクショ
ン」の実験的なワークショップを行っています。20分間の模擬授業に対
して60分ほどのリフレクションをします。協働的な授業リフレクション
はわたしがガイド役になって、体験したばかりの授業に対して一対一の対
話リフレクションを積み重ねていきます。

 1 授業者の持ち時間は20分間です。
 2 およそ20名の参加者を相手に授業をします。
 3 授業後、参加者の半分が小さな円を作って座ります。
 4 ガイドが協働的な授業フレクションをします。
 5 残りの参加者はそれを外から観察します。

 輪の中の協働的な授業リフレクションを輪の外の参加者が観察します。
つまりリフレクション観察者はガイドとリフレクション参加者の「対話リ
フレクションの積み重ね」を「フィッシュボウル」の中を覗き込むように
観察します。観察者は一定の経験ある教員ですが、「フィッシュボウル」
の中のコミュニケーションを観察できない人たちもいます。
 従来の授業検討会では、目の前の授業の拙い部分を炙り出し、それを改
善するための方法を考え合うということを行ってきました。しかし「協働
的な授業リフレクション」では、目の前で行われた授業の中に自分なりの
「学びの意味(とそのしかけ)」を探求します。従来の授業検討会の考え
方に強く縛られていると、違いに気づきにくいです。
 「学びの意味(とそのしかけ)」を探求するため「協働的な授業リフレ
クション」では3つのポイントを掘り下げます。1つは「各自のリフレク
ションのもとになる授業断片」を明らかにする。2つは「その授業断片か
ら自分がどのような実感を得たか」を探っていく。3つは「自分と似たリ
フレクションを自分はどのように感じたか」を言い合い、聴き合う。この
「掘り下げ」の意味が掴みないと、言葉を追い切れなくなります。
 そこで「協働的な授業リフレクション」2回を終えた後に、その「リフ
レクション」の中で、どのような探求が行われていたかを自由におしゃべ
りする時間をとります。つまり、金魚鉢の中で行われていたことの意味に
ついてお互いに指摘し合う時間をとります。その際、必要に応じて、ガイ
ド役にファシリテーションの意図を質問したりします。
 このおしゃべりをすることでリフレクションの理解力がUPします。

4・フィッシュボウルの言語化で見えたこと
 フィッシュボウルという装置の特徴はメタ思考を誘発することです。学
生たちの模擬授業観察に基づくリフレクションも、現場教師たちの模擬授
業観察に基づくリフレクション観察に基づくリフレクションも<可視化>
することがなかなかむずかしいです。それは自分の頭と心の中で起こって
いることを俯瞰的にみることだからです。普段、それぞれが直感的に行っ
ている活動よりも1つ、2つメタレベルが上の思考活動だからです。
 こうした「フィッシュボウル」の説明を読んでも、少し理解しずらさが
あると思います。畳の上でいくら泳ぎ方を教わっても泳ぐ感覚が掴めない
のと同じです。観察とそれに基づくリフレクションが階層構造を作ってい
るという、ことの性質上、実際に、体験型講義やワークショップを何度か
体験しないと腑に落ちにくい点があるということです。
 このフィッシュボウルはリフレクションのリフレクションというやっか
いな思考を少しだけ分かりやすくするための学びのしかけです。フィッ
シュボウル以外にファシリテーショングラフィックなどのワークショップ
技法も、こうしたリフレクションのリフレクションの理解には必要と考え
ます。もっともっと可視化装置の開発が必要と思います。

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 私は大学でも、大学院でも、リフレクションの理論も方法も学んだ記憶
が全くありません。私自身は、教員になった直後から、様々な雑誌などに
自分の実践を書く機会をいただき、書くことと、書いたものをはさんでの
様々な方々との対話の中で、自分の実践の振り返りを、結果的に、「なん
となく」進めてきたのだなあと感じています。近年教師自身が自分自身で
学びを深めるためのリフレクションへの関心が日本では高まってきていま
す。私自身も現場の教師としてそこに大きな関心を寄せてきました。しか
し、あらためて取り組んでみると、それが何の理論も方法も持たない中で
は困難を極めるものだということを身に染みて知ることになりました。
 学部の要請の段階から、学生に様々なリフレクションに関する様々な学
びとチャレンジの場が用意されている様子を知り、率直にうらやましいな
あと感じます。

 次号は、8月25日金曜日。赤木和重さん(神戸大学大学院)です。1
月に刊行され話題となっている『アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区
の公立学校から超インクルーシブ教育まで』(ひとなる書房)の著者でも
あります。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
17号(読者数2471)2017年8月22日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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