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2017-07

教師教育メールマガジン8号、木下通子さんです! - 2017.07.25 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」8号
                     2017年7月25日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 「読書」視点から、教師に必要な力を考える
      埼玉県立春日部女子高校司書/ビブリオバトル普及委員
                            木下 通子

http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第8号は、木下通子さん。埼玉の高等学校の司書として、全国の学校図
書館から注目を集める図書館づくり・運営をしてきた方です。学校図書館
の司書という視点から、教師教育への提言をお願いしました。
                           (石川 晋)
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1 いよいよ夏休みですね!
 先生方はお忙しい一学期をお過ごしだったことと思います。
 夏休みは少しお休みできますか?
 私は学校司書。専任で専門(司書資格)の職員として、埼玉県の高校図
書館に勤務しています。勤務時間も先生方と同じで、一日中図書館で仕事
をすることができます。司書のいる学校図書館は、いつでも開いていて、
休み時間でも授業中でも図書館を利用することができます。
 私の勤務している県立春日部女子高校は、中堅の進学校です。女子高校
ということもあり、小さい時には本を読むのが好きだったという生徒が多
いです。しかし、小学校高学年、中学生になると、本を読めないという子
が増えてきます。勉強が忙しくて時間が無くなるそうです。小学校や中学
校に本のことを良く知っていて、生徒の様子がわかっている司書がいれ
ば、時間がない生徒にも上手にアプローチして、読書への動機づけができ
るでしょう。が、残念ながら日本の大半の小中学校には、学校司書が配置
されていません。だから、入学してきた生徒に様子を聞くと、高校に入っ
て初めて司書と出会ったという人が多いです。学校図書館は、本と人とを
結びつける場です。この場をお借りして、司書が学校図書館でどんな仕事
をしているか、少しご紹介させてください。

2 学校司書の仕事
 この原稿を書いているいまは夏休み前で、とてもあわただしいです。各
教科から夏休みの宿題が出る時期でもあります。問題集をやってくる。な
どの宿題だと、図書館に生徒が来る確率はほとんどありませんが、定番の
読書感想文や、「新書」を1冊読むとか、「〇〇に関する本を読んで自分
の考えを書きなさい」という課題が出ると、生徒は図書館に来ればなんと
かなるだろうと思って、本を探しに来ます。本のことは図書館へという信
頼関係ができているからです。生徒たちは図書館に来ると、「どの本が読
みやすい?」とか、「興味があることがないけれど、どんな本を読んだら
いいかな」など、それぞれの要求をぶつけてきます。先生から予告されて
いる課題なら、準備ができますが、生徒から課題があることを聞いて、あ
わてて先生に課題プリントをもらいに行くなんていうこともしょっちゅう
です。
 夏休みの宿題にあたりをつけることも重要で、そのためにも私は日ごろ
から先生方とコミュニケーションを取るように心がけています。日常的に
交流があって、情報交換できていて、図書館を利用してくれている先生
は、課題を出す前に、司書に相談をしてくれます。「こういう課題を出そ
うと思うのだけれど、本が揃えられるかな?」とか、「課題でこういう力
をつけさせたいんだけれどどう思う?」という突っ込んだ相談をしてくだ
さる場合もあります。これは、司書が本の専門家で、本についてくわしい
ということを、先生がわかってくれているからです。
 それから私はいつも、カウンターで仕事をしています。図書館に入って
来た人に、「こんにちは!」とあいさつをして、なんでも聞いてもらいや
すい雰囲気を作るためです。カウンターはただ、貸出・返却をする場では
ありません。返却された本の感想を共有したり、借りていかれる本につい
て話をして、別の興味に発展させたり、図書館の中心の場所と言えます。
学校図書館も公共図書館と同じように、レファレンスサービスをしていま
す。レファレンスサービスとは、利用者の質問に答えて、利用者が求める
資料を見つけるサービスです。先生方からは、「この授業に関連する資料
を探して」と頼まれることもあります。この資料をと、書名が上がる場合
は簡単ですが、ばくぜんとした内容で本探しを頼まれると、こちらがアン
テナを張り巡らせて、関連する資料を多岐にわたって用意します。用意し
た資料を全部使っていただく必要はなく、その中から使えそうな資料を選
んでいただく。それで、先生に「資料をそろえてもらったので、中身の濃
い授業ができた」と言われるのが、天にも昇るような喜びです。
 図書館の根幹は、蔵書です。本棚を歩いていると、本が「私を読んで
ー」と声をかけてくれるような棚づくりを目指しています。そのために
は、選書がとても重要です。生徒や先生方のニーズにあった本を購入する
のはもちろん、その年代の子どもに読んでもらいたい本、授業に必要な本
を計画的に購入していきます。図書館に司書がいない学校では、本の購入
は学期に一回と聞いたことがありますが、私たち、司書がいる学校図書館
では、収集方針を立て、司書の裁量で本を発注することができるため、リ
クエストの本や必要だと思う新刊は、随時発注しています。とくに新刊は
本屋さんに負けない品ぞろえを目指しています。 埼玉県の高校図書館に
は、40年くらい前から専任で司書資格を持った学校司書が配置されていま
す。蔵書も3万冊くらいが平均で、学校図書館に必要な百科事典や図鑑な
どの基本図書はそろっています。そんなベースがあるので、新刊図書を買
いやすいのです。ベストセラーはもちろん、実用書などもそろえていま
す。
 私は先生方と同じように、職員会議にも出ています。そのおかげで、生
徒の状況も把握できています。体調が悪い生徒を保健室に連れていくよう
に、情報を求めている生徒を担任の先生が図書館に連れて来てくれるケー
スもあります。

3 本を「読む」ことに寄り添うために
 大人は字が読めれば、本が読めると思ってしまいがちですが、本を読め
ることと字が読めることは違います。走ることができるのとマラソンが走
れるのとは違うように、本を読むのが苦手な人には、本を読む練習をする
ことが必要です。読書とスポーツは似ています。
 最近は本が一冊もない、新聞も購読していないというお家が増えてきた
ようです。
 共働きの家庭が増えて、お母さんも忙しいので、子どもにご飯を食べさ
せるのに精いっぱい。小さい時からゲームにお守をしてもらって育ってい
る子どもも多いですよね。
 それでも、保育園や幼稚園に通っている間は、折りに触れて大人に本を
読んでもらう機会があります。ところが小学校に入ると、読み聞かせをし
てもらう時間も減って、本は自分で読むもの、もう大きいんだから自分で
読みなさいと言われることが増えてきます。
 授業で読む読書は、学びのため。知識を得るための読書です。しかし、
読書には楽しみのための読書もあります。学校図書館は、学びのための読
書と楽しみのための読書の両方を支える場なのです。たとえば、ポケモン
にハマっている子どものために、学校図書館でポケモン図鑑を買ってもい
いでしょう。次の興味につないでいける大人が上手にうながせば、ポケモ
ンをきっかけに、子どもの興味が広がって行くこともあるでしょう。
 昔は、子どもにとって読書は娯楽でした。
 でも、今の子どもたちにとって、読書は娯楽ではなくなりました。本を
読むのがめんどうくさいという子どもも増えてきました。そんな子に本を
読んであげたり、その子が読んでいる本の話を聞いていっしょに共感した
り、感想をいいあったり、次の本を薦めたりできる大人がいれば、子ども
の読みの幅が広がって行くと思います。○年生だから、これくらい読みな
さいではなくて、なんでそれが好きなの?それが好きならこれも読んでみ
たら?と子どもの読むことに寄り添うことが学校司書の仕事です。本を読
むのには、根気が必要です。本は○○しながらでは、読めません。読む人
に、読む意志がないとできないアクティブな活動なのです。
 読書の技法はいろいろあります。本を読むのが苦手な子でも気軽に参加
できて、生徒と本を結ぶ楽しい方法はないかしら?と考えていたところ、
ビブリオバトルと出会いました。
 ビブリオバトルは「人を通して本を知る・本を通して人を知る」をキ
ャッチフレーズにした書評ゲームです。
 ルールはとてもシンプルで簡単。
1 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2 順番に一人五分間で本を紹介する。
3 それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッショ
  ンを2~3分行う。
4 すべての発表の後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とし
  た投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ
  本』とする。
 シンプルで簡単だからこそ、学校だとどうやったらいいか戸惑ってしま
うこともあり、最初は試行錯誤しましたが、現在は定期的に学年全体や図
書委員の生徒といっしょにビブリオバトルを楽しんでいます。ビブリオバ
トルの実践の詳細については、岩波ジュニア新書に書かせていただきまし
た。
 『読みたい心に火をつけろ!』 木下通子/著 岩波ジュニア新書。よ
かったら、お読みください。

4 夏休みには本を読もう
 先生方は本を読んでいますか?
 もちろん、授業に関する本は読んでいらっしゃるでしょう。
 でも、楽しみの読書はされていますか?
 せっかくの夏休みです。本を読んでみませんか?
 もちろん、お好きな本を読むのもいいでしょう。でも、ちょっと趣向を
かえて、子どもの本を読んでみるのはいかがですか?
 子ども同士でいじめやケンカが起こった時。正論を言って子どもを諭す
よりも、一冊の本を読み聞かせすることで、心に響くことがあります。本
が伝えたいことを助けて伝えてくれるからです。
 子ども向きの本のブックガイドもたくさん出ています。そういうものを
参考にして、ご自分の学校図書館や、公共図書館の児童室、書店の子ども
の本コーナーをながめてみてください。学校図書館に司書がいなくても、
公共図書館には子どもの本を専門に勉強している司書がいます。こんな内
容の本を探しています、どこにありますか?と声をかけてもらえたら、公
共図書館の司書も必ず本を紹介してくれます。
 いま、私は子どもの貧困や家庭でのネグレクトがとても気になっていま
す。親が病気になると、親の病気を自分のせいだと思ってしまう子どもも
います。親がアルコール依存症やうつ病になった子どもに、親の病気を伝
えるための絵本も出ています。『家族のこころの病気を子どもに伝える絵
本』(ゆまに書房)というシリーズも、保健室や学校図書館で活用されて
いる本です。
 私が子どもの頃から、貧しいお家はありました。保護者がかまってくれ
ないお家もありました。私自身も母子家庭に育ったので、本が友だちでし
た。本の主人公といっしょに、別の国を旅したり、おいしいものを食べて
いるところを想像したり、本を読んでいる時には別の世界を旅して、心の
幅を広げていました。
 たとえば、1999年に出版された『ストライプ たいへん!しまもように
なっちゃった』 ディビッド・シャノン/文と絵 清水奈緒子/訳 セー
ラー出版 は、高校生にも読み聞かせをしている絵本です。
 主人公のカミラは、リマ豆が大好きですが、学校のみんながリマ豆が大
嫌いなので、ぜったいに食べようとしません。カミラはいつも人の目ばか
り気にしていて、みんなと同じにしていたいと思う女の子でした。そんな
カミラは、新学期になにを着ていこうか悩みます。どんなかっこうでいっ
たらいいのかしら?みんな、わたしをどう思うかしら?
 そう考えていると、カミラの身体が色とりどりのしまもようになってし
まいます。
 カミラはもちろん、学校を休みます。そして、やってきたお医者さん
は、しまもようが消えるようにと軟膏を出して帰って行きました。次の
日、カミラは、しまもようの身体のまま、学校に行きます。クラスの友だ
ちはカミラを見て大笑い。カミラをからかいました。友だちが好き勝手に
色や形を言うと、カミラの身体の模様は言われたとおりに形を変えていき
ました。お母さんやお父さんはとても心配して、いろんな専門家を頼みま
す。しかし、カミラのしまもよう病はぜんぜん治る気配がなく…。
 この絵本は絵本にしては文章が長く、一冊読むのに5分以上かかりま
す。小学校だと、高学年からがおススメです。絵がとてもはっきりしてい
て、カミラのまわりの大人の様子がこっけいで、どんどんお話の世界に引
き込まれます。最終的にカミラのしまもよう病は治り、自分を取り戻すの
ですが、病気が治ったきっかけがとてもステキな絵本です。
 進路を決められない高校生にもこの絵本はとても響くようで、紹介する
と自分で読みたいからと借りていく生徒もいます。
 
5 学校図書館に司書がいたら
 2015年に学校図書館法が改正され、「学校司書」という名称ができまし
た。いままでは司書教諭の先生一人の肩にかかっていた学校図書館運営
を、学校司書という専門職がいっしょに担えるようになりました。でも、
「学校司書」は国の配置義務があるのではなく、自治体独自で採用をして
いるため、置かれていない自治体もあるし、小規模自治体の採用では、採
用があったとしても短時間勤務で資格も問われていないケースが多いので
す。
 小・中学校図書館に司書を!という願いが、本を大切に思っている大人
の共通の願いです。そんな願いを後押ししたいと、学校司書の仕事をまと
めた本を書きました。このメールマガジンを読んで、学校図書館の活動
や、司書の仕事に興味を持ってくださった先生に、あわせて読んでいただ
けるとうれしいです。
 生きていくには、想像力が必要です。だから子どもたちには、想像力を
養う機会をもってもらいたい。また、困難な課題にぶつかっても、それを
乗り越えていく力をつけてもらいたいと思っています。その力をつけるた
めには、「本」が役に立ちます。
 先生方のお仕事も、本が助けてくれます。もちろん、教育関係の実用書
を読むことも大切です。でも、ちょっと笑える小説や、ワクワクドキドキ
するミステリーで、心を別の場所に連れて行ってあげるのも、夏休みだか
らこそできること。
 この夏休み、先生方にとって、ステキな本との出会いがありますよう
に!

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 私が長く勤務してきた北海道は、恵庭市などごく一部の例外を除いて、
小中学校の図書館には人がいませんでした。私は28年の勤務期間の中で
残念ながら自分が勤務する学校の図書館に専任の人がいたことがないので
す。そのことは、各教科の学習を進めていくうえでも、子どもたちの読書
環境整備においても、圧倒的な不利益を生じることである、と木下さんの
論考を読みながら実感します。
 そしてもう一つ、やはり私が思っていた通り、それは学校教員の成長に
おいても大きな不利益を生じるものであるようです。
 今春まで勤務していた学校で、一冊の本を自分の力で読み終える経験を
持たずに義務教育を終えていく子どもたちの存在を意識しました。それは
一定程度の学力層の子どもたちにも及んでおり、彼らがそのような状況で
例えば教員を志していくことも、十分に想定されると感じていました。事
実、近年、読書の体験がほぼない、したがって、自力で一冊の本を読むこ
とが難しい状況で教壇に上がる教員が散見されるようになっています。
 ネットが隆盛を極める今日においても、書籍を読むことから学べるとい
うことは、とても重要な力であると考えています。学校図書館司書が、木
下さんのように、校内的な影響力を発揮しながら、授業づくりや教室づく
りにも書籍を通して寄与していけることは、教員が育っていく上でもとて
も重要と考えます。
 木下さんの新刊は、『読みたい心に火をつけろ! 学校図書館大活用術
』(岩波ジュニア新書,2017)。夏の読書におすすめです。また、中高生
にぜひ勧めていただきたい一冊です。

 次号は、7月28日金。藤原友和さん(函館市立万年橋小学校教諭)で
す。学校教育の世界におけるファシリテーショングラフィック活用に先鞭
をつけた注目の実践家です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
8号(読者数2374)2017年7月25日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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