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2017-09

【コンサートその9 東京混声合唱団いずみホール第22回定期演奏会 2017.8.30】 - 2017.09.02 Sat

大阪いずみホール。東京混声合唱団の関西定期公演。22回もやっているらしい。
指揮は山田和樹。オーケストラ指揮者として世界的な存在になっていく道を歩きながら、この老舗のプロ合唱団を率いるということに心を動かされ、いつか聴いてみたいと思っていた。しかも今回は、木下牧子と上田真樹の二人の世代の異なる女性作曲家の曲集のプログラム。バレエありパイプオルガンありさらにピアニストがなんと萩原麻未という・・・。これを聴かずしてと思って会場入り。
会場はほぼ満席。しかも直前まで知らなかったのだが、山田、木下、上田によるプレトークがあった!

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さて一曲目の地平線の彼方へ。これは春にからネロまでの、ぼくも何度も歌った曲集だ。しかし、東混と山田、まさにプロフェッショナルな演奏だった。しかしそれにも増してすごかったのは、萩原のピアノで、ここに耳を奪われてしまったのはぼくだけではあるまい。萩原は自分でも方々で話しているが、もともとフランス系の楽曲を得意にしているピアニストなのだと思う。日本人の若手のピアニストの中では、こうして聴くと際だって感覚的な弾きぶりであり、しかも多彩な音色を持ったピアニストだ。また本来自在に自分で弾くのが合っている人だと思う。ところどころ、ピアノと合唱とは息づかいが違うというか、そう感じるところもあるのだが、このある意味手垢のついた楽曲の演奏に、山田がわざわざ萩原を起用する意味はよくよくわかった。時折、これまでぼくが知っている曲とは違う音楽に聞こえてきて、はっとする。
萩原は三曲目の上田の遠くへも弾いた。2012年の曲集だというこの曲集をぼくは知らなかったが、平明なアマチュアで十分に歌唱可能な音符の中に、深いパッションがある。彼女が最も敬愛する作曲家であるというバッハのようにシンプルだと、思える。震災を動機として書かれたということも含め、また一曲目に比べると、萩原と合唱団とのなじみも、また、曲自体のピアノの役割も独立的なつくりのところもあり、この夜一番の出来映えだった。東混うまい。そして山田との出会いで新しい局面を迎えつつあるんだと感じる。それにしても萩原のピアノはすごい。一曲目から三曲目への修正の力も高く、これは逸材だと感じる。
二曲目は上田の新作、合唱とバレエとの試み。
これは、バレリーナの針山愛美とのコラボだ。舞台上を草野心平の詩(したがって当然随所にヴォカリーズがあるコーラス)につけられた曲に、どの程度バレリーナが自分の独自性を発揮しながら踊る条件なのかわからないが、踊りを合わせていく。この「合わせていく」が評価の分かれるところだと感じる。テキストをなぞる表現というわけではないのだが、ホールで踊るという条件も含めて、やはりテキスト世界の写実になり、抽象的な飛躍にまで至らないという印象。これは作曲者の意図するところなのか、それとも、空間的な制約によるものか。神奈川に続いてすぐの事実上の初演に近い演奏で、楽譜もぎりぎりに完成したものと思われ、歌い手もどうしても楽譜に目を落とす場面もあり、別な空間での、今回のステージ経験をふまえた上での再演も聴いてみたいとおもった。
最後は木下牧子の光はここに。
パイプオルガンと混声合唱団。パイプオルガンは、独特の残響のある楽器なわけで、合唱と合わせていくのはなかなか至難だと思う。この夜の演奏はオルガニストの土橋薫の健闘が光った。この曲の演奏に作曲者自身が願ったであろう、深淵でそして今にも天上に召されるのではないかという美しさを持った道造の詩世界を、立体的に表現することに十分に成功していたと思う。美しい美しい音楽だった。

プレトーク開始18:30。終演21:15。
休憩は20分。山田は若い指揮者なんだと思う。その山田の思いに、演じるものたちそれぞれよく応えて、すばらしい演奏会だった。ぼくが聴きたいすべての条件がそろう合唱コンサートなんて、そうそうあるものではない。わざわざ大阪まで聴きにきてよかったと思う。
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【コンサートその8 小谷美紗子 早に雨】 - 2017.06.30 Fri

6月29日。京都高台寺。

虫の声、鳥の声、下界の車の音、風。時計台ホールみたいだな。シチュエーションは違うけど。

初期の歌がいっぱい。20年。あの時もまたあの時も、この歌たちがぼくのそばにいた。いつも突き刺さってくるようだったと思う。

感受性にまみれた才能を持たされて生まれたものが20年を生き続けこれからも生き続けようとするのは、大変だ、と思う。

帰りは京都駅近くの宿まで歩く。

雨にあたりながら。

京都の雨は、北海道のそれとは全然違うんだ、と思う。

【コンサートその7 ソウルフラワーユニオン 6月24日 下北沢ガーデン】 - 2017.06.27 Tue

 30年近い教員生活をまっすぐに支えてくれたいくつかの音楽の一つが、昨年聴いたlittle creaturesであり、今度聴きに行く小谷美紗子であり、そして、ソウルフラワーユニオンである。

 下北沢ガーデン、結構な入り。心配したが、単独参加多数。まさに、自立している、ロックが好きで、この国を憂い手もいる人たちの個の集まりだった。ライブは、アジテーションの場なのではと少し心配したが杞憂だった。彼らは「歌は自由を目指す」と信じている人たちであり、だから、全ては音楽によって、ぼくらに届けられるという、シンプルなものだった。

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 まあくどくど書かないが、圧倒的な演奏力だった。また中川敬のソングライティングの非凡さを再認識した。
 ぼくはもちろん大半の曲を歌えるほどなのだが、この楽曲と初めて触れた人たちも、きっと、自然と口ずさみ、きっと、自然と踊り続けることだろう。

 熱狂の二時間半。でも、できれば大阪で聴きたい。

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【コンサートその6 NHK響、フェドセーエフ、ベレゾフスキー】 - 2017.05.26 Fri

 チャイコフスキーのピアノ協奏曲が聴きたい、と思って、NHKホールへ。
 2017年5月24日。
 ベレゾフスキーは、たしかこれが3回目。なんだか、ずいぶんおなかが出てしまって、中年のおじさんになってしまったのだが、圧倒的なピアノは健在。しかも、以前に北海道で聴いたときと違って、今回は、多彩な音色と弱音への気遣い、繊細な表現の幅広さに、耳を奪われた。豪壮なぶっちぎりのピアノを期待していった(確かにそういう面は健在なのだが)が、いい意味で裏切られ、表現者としての幅を広げ深めつつ彼の現在に触れることができた。聴衆大喝采、アンコールはなんと、チャイコンのさいしゅうがくしょうのクライマックス部分という 笑 およそコバケンくらいしかやらない離れ業だった。

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 実はそのピアノの前の、ショスタコーヴィチの祝典序曲でもその兆しは感じられていたのだが、後半のリムスキーコルサコフのイタリア奇想曲と、チャイコフスキーのフランチェスコ・ダ・リミーニが、とびっきりの名演だった。特に、あまり聴く機会のないフランチェスコ・・・がこれほどの名曲とは。
 フェドセーエフは、、これも、かつてモスクワ放送響を札幌で聴いたときのショスタコーヴィチ5番の爆音の印象が強く、管楽器や太鼓をぼかすか慣らすイメージだったのだが、いやあ、ずいぶんと円熟し、柔らかく美しい歌を紡ぐ人であった。N響がこの数年急速のこの指揮者との関係を深めた意味がわかる気がする。両者の好ましい関係は、ステージの様子を見るとよくよくわかった。
 アンコールはハチャトゥリアンのガイーヌより。これは、ぼくのよく知るフェドセーエフだった。ずいぶん疲れていたのだが、なんだか少し気持ちが明るくなるコンサートだった。

 東京は豊かだ。この水準の演奏を、お金さえあれば毎日のように、電車で小一時間の移動で聴くことができる。

【コンサートその5 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン ウラルフィル&リス&パパヴラミ】 - 2017.05.08 Mon

 東京国際フォーラムA。
 5月6日。
 5000人の、およそ音楽を聴くには不向きな巨大なホール。
 前の方の席を確保できたこともあるが、パパヴラミのヴァイオリンは表情に富み、音量も豊かで、さすがであった。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を堪能。前に聴いたのは、東京都響とウト・ウギ。ウギは既に老齢で、テクニックはおぼつかなかったが、あの素晴らしい美音は健在だった。
 今回のパパヴラミは、今が一番脂がのった時期と思う。一音一音に強いこだわりを感じさせる、考えぬいた演奏であった。
 ウラルフィルは、あまい上手だとは思わなかった。在京オケや関西の一線級、札響の方が上手なんじゃないだろうか。
 でも後半のショスタコーヴィチの黄金時代からの数曲は、豪快で楽しかった。

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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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