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2017-11

教師教育メールマガジン43号、後藤健夫さんです! - 2017.11.18 Sat

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メールマガジン「教師教育を考える会」43号
           2017年11月17日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 若者の未来と地方創生、人工知能の進化
                            後藤 健夫
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 43号は、後藤健夫さん(教育ジャーナリスト)。大学改革、国際バカ
ロレア、地方創生と教育など、今後の日本の教育の変革を考える上でカギ
となる多様な領域に精力的な発言を続けておられる注目のジャーナリスト
です。                        (石川 晋)
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 若者の未来は明るいとは必ずしも言えない。
 だから、最近の私の講演はそれを克服するために教育を考えようと呼び
かけることになる。
 若者の未来をいかに明るくするかとはひとつのテーマであっても切り口
はたくさんある。高校教員向けなのか、保護者対象なのかでも話し方や
テーマへの切り込み方が変わる。ゆえに、講演はいつも違った話になるの
だ。
 このメールマガジンに何を書こうかと随分と悩んだ。
 教育の質的な転換が起きようとしている、いまだからこそティーチン
グ・ポートフォリオのように教員個々が自分が教える理念や方針、方法を
見直すことが必要だろうから、そのことを書いたら少しはそうしたことに
気を回してくれるかもしれない。そう、10月30日の日本経済新聞朝刊でも
コメントを掲載してもらったが、「知識詰め込み型教育から能動的に学ぶ
教育への転換する過渡期」にあり「理念や教え方など教師が変わらなけれ
ば、これからの時代にあった教育を生徒は受けられない」のである。
 大学入試に、民間の英語4技能テストが導入される。これには生徒の負
担が多くなるだけでなく、現状では業者の負担も大きすぎるし、運営にお
ける課題は少なくない。これもあれこれと書きたいところだ。
 文部科学省は大学入試改革において、いわゆる「学力の三要素」をすべ
ての受験生に課そうとしているが果たして「主体性等」をどのように測る
のかについても動向を伝えたいところだ。
 まだまだある。密かに注目されている国際バカロレアの「セオリー・オ
ブ・ナレッジ(知の理論)」についても書けることはたくさんある。

 はて、どうしたらよかろうか。

 やはりあれこれ書きたいことがあって絞りきれない。
 しかし、ここは思い切って絞り込み、地方創生と人工知能の進化に、少
子化やEdTechなどを書きたいことに落とし込んでまとめた感じに書いてみ
ることにした。

 若者の未来は必ずしも明るいとはいえない

 若者の未来は必ずしも明るいとはいえない。
 さらに言えば、我々のように高度経済成長期の真っ只中に生まれて20代
をバブル期として過ごしたような経験がない。高度経済成長もバブルも経
済財は右肩上がりであった。「いま頑張れば明日報われる」「今日より明
日は豊かな日となる」なんてことを言えた時代を経験したことがない。ア
ジアの他の国の若者に比べて日本の若者たちはハングリー精神に欠けると
言われるがそれはしかたがないことだ。日本は低成長期にある。そして、
アジアの他国は成長期だ。頑張れば報われるのであれば意欲も湧きやすい
だろう。日本の若者がかわいそうだと思う一面である。だから、どんどん
日本の若者は日本に縛られずに海外で活躍すればいいと考える。

 そんな若者の未来を取り巻く状況は、少子高齢化、複雑化する国際社会、
地方消滅の危機、そして人工知能の進化など、これまでには経験したこと
のないものである。
 この未来を明るくすることができるのは教育である。
 そして、若者の自己肯定感をいかに高めるかだ。辛いだろうとこれほど
までに見込まれる状況に向き合うためには自信や内発的動機に満ち溢れて
でもいないとうんざりしてしまうし、なにも問題解決できないかもしれな
い。
 まずはいかに生徒の自己肯定感を高めるかだ。
 そして、その前に教員の自己肯定感が低くては目の前の生徒たちの自己
肯定感が高まるわけがない。
 また、大学入試において、一般入試(学力試験)は自己肯定感を低くす
る方向に向かいやすいが、AO・推薦型の選抜試験は自己肯定感を高めや
すい。長所を評価してピックアップするからだ。そうしたことからもまだ
まだ一般入試の比率を下げてAO・推薦型の比率を上げるべきである。
 最近の各大学での調査では、大学入学後の成績は専門教育に向かうほど
一般入試よりもAO・推薦型で入学した学生の成績が良いことがわかって
きた。学ぶ意欲が成績に反映されているのだろう。
 若者の自己肯定感を高める方向に、何事も向かいたいものである。

 地方創生と働き手不足

 昨年あたりから、講演や相談で、地方に出かける機会が増えた。
 いずれも地方消滅の危機にある町や島だ。町では小学校が統廃合するし、
島では高校が閉校の危機にある。
 団塊ジュニアが生まれた頃には、毎年、町には毎月50人を超える子ども
が生まれていたが、いまでは5人だ。12クラスあった中学校もいまや2クラ
ス。
 町の小学校は全校で20名近くの児童がいても学年によってはゼロだった
り1人だったりする。1人では合唱もできない。統廃合は時間の問題だ。

 島の高校では全校で30人にも満たない生徒数。中学生も30人、小学校も
幼稚園・保育園も30人に満たない。それ故に、このままでは高校の生徒数
がこれ以上増える見込みはない。荒井由実(当時)がこの学校のために
作った曲が校歌のように愛唱歌として歌い継がれ、本人も何度かこの高校
を訪れている。そんな話題の高校も少子化の波には抗えそうもない。

 ある町の小学校では統廃合をした結果、児童が遠距離を歩いて通えずバ
スを出しているそうだがその費用は年間1億円以上かかっているという。1
億円かけても子どもの教育と未来を考えているのだ。1人では合唱も野球
もできない。友だちがいるからこそテレビドラマの話をしても楽しい。お
兄さんお姉さんたちもいれば弟や妹のような仲間もいる。人口が多いとこ
ろでは当たり前だが、人口減の町ではそうではない。
 統合された年に、その町で開かれた教育フォーラムに私も公園で呼ばれ
て参加したが、例年になく多くの先生たちが参加され、懇親会まで付き
合ってくれた。少子化における危機感は先生たちの中で強くなり、そして、
より良い教育をしたいと考えるようになった。町も少子化ゆえに投資をし
てくれる。タブレットを児童が授業中に使えるようになった。IT化には力
を入れている。少人数だからできることもある。ディスカッション中心の
授業も心置きなくできる。

 他のある町では、1学年2クラスになってしまった中学校で英語強化策が
練られた。本当は海外に短期留学であっても送り出したいところだが、テ
ロの危険や費用の問題でなかなか実行に移せなかった。教育委員会の課長
が、町の人たちへの講演を終えた私のところにやってきた。何かいい手立
てはないかと。隣県にある、海外からの留学生を積極的にたくさん受け入
れていることで注目されている大学を紹介して、この大学と連携してみる
のがよいのではと提案した。するとすぐに協議をしたようで、その大学に
生徒を送り込みたいと連絡があった。結局、5日間のプログラムをその大
学のキャンパスで留学生を交えて展開することになった。この提案の中で
「少子化ゆえにできることがあるのではないか。200人の生徒にはできな
いことが、80人の中学生にならばできるのではないか」と示唆した。この
プログラムへの補助もそうだが少人数だからこそ支援できることはあるは
ずだ。その一方で1学年80人となると全校で240人である。この240人に関
わる大人は両親と学校関係者であり500人程度である。人口1万人の町で高
齢者は4000人。なかなか500人の意見は町の政策に反映されにくい。逆に、
町の議会や行政が意識的に、中学生の未来を共有しなければ、この町から
出て行ってしまうだろう。
 「共有する未来」
 子どもたちの未来を、教員も行政も共有しなければ、子どもたちの未来
も町のみたいも決して明るいものにならない。共有できなければ、子ども
たちが町を捨ててしまい、町の存続は厳しくなる。
 若者の未来を共有できない、これが地方消滅の一因である。

 少子高齢化と生産年齢人口減、そして人工知能の進化

 少子化の影響を受けるのは地方に限った話ではない。全国的な問題であ
る。
 そして、課題は少子化だけでなく高齢化が合わせて起きることだ。
 これにより、生産年齢人口は減少を続ける。生産年齢人口が減れば生産
量が減る。生産量を維持できなければ国力は下がる。だから生産年齢人口
が減ったとしても1人当たりの生産性を上げて生産量を維持したい。
 では、どうすれば1人当たりの生産性を上げることができるだろうか。
 そこはロボットやコンピュータを駆使することが考えられる。
 あるディジタルアーティストに言わせると
「人口減は大歓迎である。これからは人工知能が仕事を代替わりしてくれ
る。人工知能に仕事を奪われた人のベーシックインカムなどの対応措置を
考えなくてよくなる」
ということだ。
 果たして人工知能は、いつ、どのぐらいのことまで人の仕事を代替でき
るようになるのだろうか。

 人工知能の進化と教育

 さて、人工知能の進化は教育にも大きな影響を及ぼしそうだ。
 単純化できるもの、ルーティンワークのような機械的な作業、ある一定
の基準で判定できる仕事などが人工知能によって置き換わる可能性が高い。
具体的には、工場で人が働くことはなくなるだろう。そこでは工業用ロ
ボットが活躍するようになる。薬剤師や税理士、不動産鑑定士の仕事も人
工知能に代替される。医療や学校、経理などの事務仕事は人工知能で十分
だろう。銀行の窓口も人工知能だ。
 となると、私大文系が輩出していた人材が職を失う可能性は低くない。
 そうならないようにするために、相互に調整をしたり協調したりする仕
事、非定型的な業務などで職を得られるような教育にシフトせざるを得な
いだろう。
 こうした人工知能の進化の恐ろしいところは、いつの日か、これまでの
知識詰め込み型の受動的な学習を丸呑みして一気になきものにしてしまう
ところだ。そのときに嘆いても仕方がない。
 生徒のことを考えれば、そのときに対処できるだけの能動的に学ぶ姿勢
を身につけさせて自ら考えて学ぶことができるようにすることだ。
 そして、生徒がより良い教育を求めたときに教員が対処できることだ。
 生徒側が主体的に学ぶための権利を主張するようになったときに、従来
のような教育を継続していたら訴えられるかもしれない。そうした恐ろし
いことも起きないわけではないだろう。
 さらには、学習教材がアダプティブになれば教育の個別化は一層やりや
すくなる。そうしたときに授業の学習進度は誰のものかを考えざるを得な
くなる。
 知識を教えることは非定型的なものではないとしたら、教えることすら
人工知能が始めるかもしれない。現に、経済産業省は教育産業支援の部署
を設けて、Edtech の振興に力を入れ始める。学校現場にどんどん人工知
能やロボットが入り込んで来るだろう。
 ただでさえ少子化で学校は廃校になり教員が働く場がどんどん減って行
く可能性もあるわけで、教員の仕事が保障されるとは限らない時代が来る
かもしれない。
 そうしたときに、教員は学習者のリーダーとして学習の指針を示したり
的確に学習の方法を指導したりすることを求められるようになるだろう。
 そのときに、教員は、職業人として「なぜ教えるのか」「どう育てたい
のか」といった、個々の教育理念を問われることになる。

 「教員受難の時代」は、少子高齢化や人工知能の進化の波とともに、す
ぐそこまでやってきているかもしれない。

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 後藤さんがリードで述べられている通り、現代の教育を巡る多様な領域
について総覧的複合的に書いてくださり、本当に感謝です。
 地域創生の問題に絞って書きますと、私が今春まで勤務していた上士幌
町はふるさと納税による寄付が20億を超える町でした。人口は5000人を
わずかに切るくらいの規模ですから、大変なイノベーションが起こってい
る状況と言ってよいかと思いました。それまで子どもたちは自分の出身地
についてSNSで、近隣の都市である「帯広市」と書いていました。町が広
く知られ、そこで暮らしてきたことに誇りを持てるようになることで、子
どもたちのそうした「立ち位置」が少しずつ変わっていく様子を身近に感
じることができました。
 一方で、では、その地域で今後もさらなるイノベーションを生んでいく
人、そしてつながりを生み出していくために、教育がその中核的課題を
担っていることは明らかであり、授業が劇的に変わっていかなければ、こ
こからは危ういということを日々実感していました…。
 そのためにまず私たち教師のマインドが変わっていくことは何よりも重
要と考えます。その時、社会状況の変化をポジティブに捉え、変化を前提
に自らの在り方・立ち方を常に更新していくような教師は、どのようなプ
ロセスによって生まれてくるのかなあ、そういうことを考えつつ、読ませ
ていただきました。

 前号(42号)、編集ミスで見出しが41号になっていました。お許し
ください。
 今号は43号になります。

 次号は、11月21日火曜日。寺西隆行さん(ICT CONNECT 21 事務局
次長)。プログラミング教育など、ICT活用に関するメールマガジンを精
力的に編集発行し、様々な学習会を開催している方です。

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メールマガジン「教師教育を考える会」
43号(読者数2528)2017年11月17日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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教師教育メールマガジン41号、糸井登さんです! - 2017.11.15 Wed

糸井 登 (Susumu Itoi)さんにご執筆いただきました。
無料のメールマガジンです。ぜひご購読ください。
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メールマガジン「教師教育を考える会」41号
        2017年11月10日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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「大切なのは、惑い続けること」
           立命館小学校 
               糸井 登
               susumu422@gmail.com
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 42号は、糸井登さん(立命館小学校教諭/明日の教室代表)です。アーティストをゲストに迎えた授業づくりなどでも広く知られ、京都を中心に若手教員を育てる場づくりにも力を尽くしてこられた方です。      (石川 晋)
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 みなさんはじめまして。立命館小学校の糸井 登(いとい すすむ)です。今回、このメールマガジンに執筆依頼をいただいたのは、おそらく「明日の教室」代表としての私の立場からなのだと思っています。ですので、少し私の教師人生を振り返らせていただく中で、「明日の教室」を立ち上げることにした思いをみなさんにお伝えできればと思っています。

1 名人を追い続けた20代・30代

 20代の頃に、「教育技術の法則化運動」(現在のTOSS)や、「授業づくりネットワーク」を知り、少し参加させていただく中で、学びを深めました。また、名人と言われる、国語の野口芳宏先生や社会の有田先生の授業や講演会から多くの授業技術を学びました。

 毎月、山のように本を買い込み、日夜、読みふけったのも思い出です。大学時代に不勉強だった私が、斎藤喜博先生や大西忠治先生、東井義雄先生、大村はま先生などといった方々を知り、著作集を読んだのもこの頃です。

 優れた授業実践の追試を繰り返し、自分なりのオリジナル実践を生み出すことに苦心する毎日だったのですが、そんな時に見た、築地久子先生、鈴木恵子先生、漆間浩一先生といった方々の授業実践は、驚き以外の何物でもありませんでした。

 そして、30代が終わるころには、自分が学んできたような授業も学級も創り出すことはできないといった自分への失望が広がっていったのです。

2 40にして惑う
 孔子は「論語」の中で、「四十にして惑わず」と説いていますが、このように40歳になった頃には、自分への失望しかなく、惑い続けていたのです。

 そんな時に学校現場に出現したのが「総合的な学習の時間」でした。教科の枠にとらわれず、子どもたちが、教師が学びたいことを思う存分学べばいい・・・。
 子どもたちがやってみたいことはダンスでした。そこから、音楽、絵画、演劇、どんどんやってみたいことは広がっていき、気がつけば、私は多くの芸術家の方々と繋がりながら、今まで見たこともないような実践に手を染めていました。そして、いったん、学校外の方と繋がることができると、不思議なもので、その輪はどんどん広がり、企業の方とも繋がって、様々な実践を創り出すことができるようになったのです。
 学校が終わってから、外部の方と打ち合わせを行う。必要な経費を捻出するために助成金の申請書を書く。芸術家の方々と会うために東京まで行く等々、目の回るような忙しさでしたが、コラボレーションすることで新たな自分を創り出せることに気づいた私には、忙しさは大した問題ではありませんでした。そう、喜びが勝っていたのです。
 そして、様々な芸術家の方から、私は「教えることだけでなく、引き出すことの大切さ」を学ばせていただいたのです。
 この頃の出会いの一部は拙著『糸井 登─エピソードで語る教師力の極意』明治図書、2013)に紹介しています。お読みいただけると嬉しいです。

3 何かを残したいと思い立った50代
 40代後半から、思い続けていたことは「やばい、もう10数年しか教師人生が残っていない」ということでした。
 学校の中には「学級崩壊」という状況が確実に広がり始めていました。その状況に対応できない若手教師、その状況に怯える教師志望の学生が多くいることを知りました。そこで、私の残りの教師人生をかけて、そういった若手教師、教師志望の学生たちが学べる場を創りたいと考えました。「全国から一流の先生方をお招きし、学びの場を創る」「講師選定は偏らず、様々なジャンルから選出し、若手教師や学生が惑い続けられるようにする」と考えました。そう、私が20代から40代までかかった学びを数年で体験できるような場にしたいと考えたのです。

 それが、「明日の教室」です。
 早いもので、もう開校してから11年目となります。全国から優れた教育者に御登壇いただいたのはもちろん、私が追い続けた野口芳宏先生や有田和正先生にも御登壇いただくことができました。また、衝撃を受けた鈴木恵子先生や漆間浩一先生。演劇でお世話になった劇団の蓮行さん、平田オリザさんといった方々やダンサーや音楽家の方にも御登壇いただいています。
 自分の中に安易に完成形をつくらず、常に惑い続けることが大事なんじゃないかなあと私自身が考えているからです。ですから、誰か一人から学ぶという研究会にはしたくなかったのです。

 私自身のことで言うなら、50歳になったときに私学、立命館小学校に移りました。いろんな理由がありましたが、一番大きかったのは「残り10年の教師人生を一つの場で腰を据えて過ごし、そこに何かを残したい」という思いでした。50歳という年齢は公立でいる限り、残り2校で勤務して終了ということになります。そうじゃなくて、10年をかけて何かをもう一度、自分一人で創りたいと思ったのです。

4 最後に、今、考えていること
 何だか、ダラダラと自分の教師人生の振り返りを書いてしまいました。うーん、これって大丈夫かなあ。まあ、所詮、私の原稿はいつもこんな感じになってしまうので、お許しを!
 一つは「明日の教室」のことです。11年前に開校した時には、そういった研究会がなかったこともあり、毎回、多くの参加者で賑わっていました。しかし、現在、実に多くの研究会、講演会が各地で開催されるようになり、参加者が分散することもあるのでしょう。なかなか一定数の参加者を集めるのが難しくなってきました。しかし、このように研究会、講演会が多数開催されるようになったことに、「明日の教室」は少なからず影響を与えたのではないかと喜んでいます。学びの場が広がることは歓迎すべきことです。

 ならば、次にやらなければならないことは何か。「明日の教室」が次なる形を示すことができるといいなあと考えています。教師の新たな学びの形に貢献できるといいなと思っています。
 少し、宣伝させて下さい。12月の「明日の教室」は、石川一郎先生をお招きして開催します。以下のサイトで告知をしています。興味ある方は是非、お越しください。
*「明日の教室・石川一郎先生」
 http://kokucheese.com/event/index/491768/

 教師人生も残りあと僅か。最後まで、惑い続けながら学び続けたいなあと思っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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 私が、たくさんのゲストを教室に招き入れる実践を仕組んでいく中で、最もたくさん学んだのは糸井実践でした。
 「明日の教室」という学びの場は、書籍や映像情報の発信と直接的に連動しながら、特に若い先生の日常を支えていった点で、それまでの民間教育運動が展開してきた教育研修会の中でも、エポックなものであったと考えています。糸井さんご自身の歩みと共に、シンプルにまとめてお書きいただき、感謝いたします。
 次号は、11月17日金曜日。後藤健夫さん(教育ジャーナリスト)。大学改革、国際バカロレアなど、今後の日本の教育の変革を考える上でカギとなる多様な領域に精力的な発言を続けておられる注目のジャーナリストです。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
42号(読者数2522)2017年11月14日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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教師教育メールマガジン41号、岩田将英さんです! - 2017.11.11 Sat

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メールマガジン「教師教育を考える会」41号
           2017年11月10日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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「柏市のOJTとOff-JT」~学校のニーズに応え,支える~
             柏市教育委員会学校教育部指導課指導主事
                            岩田 将英
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 41号は、岩田将英さん。柏市の現役の指導主事です。指導主事の立場
からその業務内容についての解説なども含めて、柏市の教育委員会の取り
組みを丁寧にご紹介いただいています。大変興味深い論考です。じっくり
お読みください。                   (石川 晋)
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 みなさんはじめまして。千葉県柏市教育委員会指導課の岩田将英(いわ
たのぶひで)です。簡単に自己紹介をします。

 平成13年に千葉県で小学校教員として採用されました。それから柏市
や千葉大学教育学部附属小学校で勤務をし,現在の職場におります。専門
は教育相談・カウンセリング心理学で,臨床心理士や学校心理士などの資
格を持っています。最近は道徳や社会科を中心に市内各校へ指導に回って
います。

 全国的に教員の需要が増えており,各自治体は優秀な人材を集めるため
に尽力しています。千葉県柏市においても,大量退職に伴う大量採用で年
齢構成や経験年数構成が二極化しており,20代~30代前半と50代が
突出して多い年齢構成になっています。学校現場においては,経験年数1
0年未満の教員が6割を超える学校が珍しくなく,中には8割を超える学
校も出てきました。

 柏市では,この事態に対し「人材育成」を教育行政の中心に据えていま
す。平成20年から柏市は中核市になりましたので,初任者研修や中堅教
諭等資質向上研修(旧10年経験者研修)等の研修を市独自で行っており
ます。柏市の実態に応じた人材育成を今まさに進めているところです。

「柏市教職員人材育成指針」
(http://www.boe.kashiwa.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=3857)
及び,
「柏市教職員人材育成指標」
(http://www.boe.kashiwa.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=3858)
に基づき,人材育成を進めており,教育委員会としては,OJTとOff‐JTの
両面から支援しています。

 OJTについては柏市教育委員会指導課が,Off‐JTについては柏市教育研
究所がそれぞれ担当しています。

 OJTとして,他の自治体と同様に,各学校の校内研修や授業研究に,各
校の要請に基づいて指導主事の派遣行われますが,柏市には2つの目玉事
業があります。それは,「パーソナル・サポート」と「キャリアアップ研
修」です。

 「パーソナル・サポート」ですが,この制度は校長の電話一本で指導主
事を派遣する制度です。通常,指導主事を派遣する際,前の学期等
に各校へ送付された派遣依頼の文書に基づき,派遣希望日・教科・指導主
事名を報告する「様式1」と,派遣日が決まってから2週間もしくは1週
間前に詳細を記載した「様式2」という文書を教育委員会に送らなければ
なりません。

 そうすると,すぐに研修したい場合でも来学期まで待たなければなら
ず,実際のニーズと時期がずれてしまうこともあります。また,指導主事
が授業研究の当日だけ来て指導助言するよりも,事前に授業者の考えや意
図を聞いて,それを実現させるための指導をして本時を迎えた方が力量形
成には効果的です。

 また,初任者指導教員が付かない講師や,教職経験2年目以降の教諭を
学校がOJTで育てなければなりませんが,10年経験者未満を半数以上抱
える学校もあり十分に育てられないのが実状です。

 そこで,校長から指導課長または教育研究所長へ電話一本で指導主事を
派遣する,パーソナル・サポートが有効なのです。早い時には,その日の
午後に学校へ行くこともありました。

 「キャリアアップ研修」について。各教科主任の悉皆研修とは別に,さ
らに自分の力量を高めるための研修機会として,キャリアアップ研修とい
う制度を設けています。この研修は土日のどちらかに行われる悉皆ではな
い研修なので,出勤にはなりませんが,毎回,著名な講師を招聘していま
す。指導課主催のキャリアアップ研修は,OJTの観点から実際の指導につ
いての内容であり,教育研究所のキャリアアップ研修はOff-JTの観点か
ら,様々な領域の講師を招聘しています。また,その一部は教員免許更新
講習の単位にもなります。

 受講料は市内の教員ならばすべて無料です。
「研修事業一覧(平成29年度)」
(http://www.boe.kashiwa.ed.jp/?page_id=116)

 柏市では部活動のあり方についても,取り組みを進めています。それは
児童生徒の負担過重を防ぎ,教員の働き方改革を行うという観点と共に,
教師の資質・力量の向上に不可欠だと考えるからです。

 昨年度から有識者や教員の代表によるワーキンググループを立ち上げ,
柏市「部活動・特設クラブ活動のあり方に関するガイドライン」(平成2
9年3月)を制定しました。

 初年度で試行期間という形ですが,具体的な内容としては,「小学校に
おいては原則,土日の練習はしない。平日に1日の休養日を設ける。その
場合,行わない朝練習と放課後練習が同一日でなくても良い。中学校にお
いては,平日の放課後に休養日(部活ごとに設定可)を設ける。シーズン
オフの土日には積極的に休養日を設け,繁忙期であっても1ヶ月に1~2
日の休養日を設ける。祝日に練習を行う場合は原則半日とする」となって
います。

 教師教育については,各学校の創意工夫が求められますが,その創意工
夫を後押しする制度や,支援体制,仕組みそのものの検討や改善を教育行
政は求められています。

 2030年以降の子どもたちが,「答えのない問いに最適解を出す」こ
とを求められているように,それを指導する教員,教育行政関係者が今ま
でのやり方や考え方に縛られることなく,様々な要素や状況に対して最適
解を導き出すべく,積極的にリスクを取っていく姿勢が求められると考え
ます。

 私自身,微力ながらその一助になるよう,自らを教育して参りたいと存
じます。ご精読ありがとうございました。今後とも柏市教育委員会をどう
ぞよろしくお願いいたします。

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 指導主事の業務が大変な激務であることは、これまでにも様々お聞きす
る機会があります。制度として丁寧に設計されている研修プログラムを推
進するだけでなく、現場の要請によって迅速に対応する「パーソナル・サ
ポート」もあると知り、さらに突発的な事案への対応も求められるわけで
しょうから、本当に頭が下がる思いです。
 現場における教師教育について考えると、公的な機関による研修は重責
であると考えます。各自治体でこれまでとは違う様々な取り組みが、始
まっていることを、千葉県・柏市の取り組みからも知ることができ、大き
な期待を感じました。
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、指導主事に職責を明示してお
書きいただくことがなかなか難しい状況もあります。岩田さんは関係の方
方にご協議くださった上でご快諾いただきました。岩田さん、関係者の皆
様、ありがとうございました。
 次号は、11月14日火曜日。糸井登さん(立命館小学校教諭/明日の
教室代表)です。アーティストをゲストに迎えた授業づくりなどでも広く
知られ、京都を中心に若手教員を育てる場づくりにも力を尽くしてこられ
た方です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
41号(読者数2517)2017年11月10日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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教師教育メールマガジン40号豊福晋平さんです! - 2017.11.08 Wed

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メールマガジン「教師教育を考える会」40号
           2017年11月7日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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間違いだらけの授業ICT活用法
  国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター 准教授
   (Associate professor)・主幹研究員、IUJ Associate professor
                            豊福 晋平
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 40号は、豊福晋平さん(国際大学 グローバル・コミュニケーション・
センター 准教授 (Associate professor)・主幹研究員、IUJ Associate
professor)です。きわめて早くからコンピュータの教育利用にフォーカ
スし、多彩な発言を続けてこられた方です。        (石川 晋)
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 私の研究領域は教育情報化ですが、日本から海外学校の情報化の視察に
行くと、現地の先生方にいつも不思議がられることがあります。それは「
日本は技術大国で教育も世界トップなのに、なぜ我々のような学校を見に
来るのだ?何か役に立つのか?」ということ。「いえいえ、日本はあなた
たちよりもずっと遅れているのです」と毎回説明するのは骨が折れます。
意外な事かもしれませんが、例えば、学校へのコンピュータ整備状況ひと
つみても、過去から現在まで一度も、日本は米国や英国の水準に追いつい
た事がありません。かのOECDのPISA2015(ICT活用度調査)でも、日本の
レベルは国際的にはほぼ最下位に甘んじているのです。ご存じでしたか?

 実は、私達学校関係者の周囲に生じているのは、一般日常生活と学校生
活との著しいICT環境ギャップです。子ども達の情報機器普及は顕著です。
2016年内閣府調査では小学生84.2%中学生91.9%高校生98.2%が何らかの情
報機器を利用しています。特に、高校生のスマホ普及率は高く94.8%に達
します。
 しかし、文部科学省は2009年の通知で「学校における教育活動に直接必
要のない物」とみなし、学校への携帯電話の持ち込み・使用を原則禁止し
ているので、学校では日常的な連絡にLINEも使えないし、授業中に分から
ない単語をウェブで検索するなんてことも出来ません。学校は毎日大量の
印刷物を家に持ち帰らせますが、多くの保護者は、せめてPDFで学校サイ
トに置いてくれれば職場からでも確認出来るのに、と思っています。
 児童生徒や保護者は情報機器も持っていれば、一通り操作するスキルも
あるのに、学校の環境があまりに特殊過ぎて使う機会がない、というのは
ひどくもったいない話です。そればかりか、児童生徒の高いICTスキルが
学習の文脈と強制的に切り離されることで、学校が積極的にキャリアチャ
ンスを奪っている可能性さえあります。

 さて、教育情報化には政策と莫大な予算が絡むので、簡単に解決策が見
いだせないのは言うまでもありませんが、20年以上日本の学校の情報化が
進まない理由の一つは、間違いなくICTの使い方・使わせ方にあると考え
ています。指摘点はいくつもあるのですが、今回はもっとも特徴的な学習
者端末(タブレットなど)の活用について記そうと思います。

日本の常識的なICT指導法を疑う

 日本の公開授業で学習者端末活用を拝見すると、教師側の負担が高く、
機器トラブルで授業を中断するリスクが高いことに気付きます。授業中の
先生はいつもパタパタと忙しそうです。特に学習者端末に不具合が複数起
きれば、もうシナリオ通り時間通りに授業は進みません。
 リスクを避けるために、不要な時間は端末をロックダウン、短時間・単
純反応操作しか与えない、といった対応が一見合理的ですが、これでは「
授業中にICTを使わない」が最善策になってしまいます。利用場面が短時
間で限定的になれば、児童生徒の操作スキルも保証出来ないし学習効果も
向上しません。つまり、巷の授業研究でよく紹介されるICT指導法の多く
は最初から矛盾含みなのです。統制(指導力)を強化するほど、授業リス
クが増え効果を奪ってしまうのですから。

北風と太陽

 教師負担と授業中断リスクを低減する方法とは寓話「北風と太陽」のよ
うな話です。
 例えば、北欧の学校での学習者端末活用シーンでは、小学校低学年で
あっても学習者側作業に授業時間の多くが割かれていること、課題は構成
的なレポートワーク中心であること、個別・ペア・グループ作業をそれぞ
れ静かにこなすこと、(授業用の特殊仕様でない)一般的なアプリやサー
ビスが使われていること、が普通です。児童生徒のICTスキルが高いので、
教室内で使われている端末がバラバラでも全く気にしませんし、授業途中
の課題をクラウドに預けて、続きを家庭でこなすことも当たり前です。
 日本の一斉授業のような分かりやすいストーリーもなく、教師も教壇上
でパフォーマンスをしないので、けっして見栄えのする授業ではないので
すが、子ども達は騒ぐでもなく真面目に課題に取り組んでいるのを見れ
ば、そうした教室のルールが浸透している事を感じさせます。つまり、学
習者中心の展開で教師側の統制を解くことが、学習者端末活用のスタイル
として定着しているわけです。

一斉授業×教具から学習者中心×文具への転換

 最初から単元内容と授業方法が決まっているのに、ICTごときにやり方
を指図されてはたまらない。だから「ICTなど所詮道具に過ぎぬ」とよく
批判を受けます。しかし、授業のスタイルにこだわるのは教師側の都合で
あって、児童生徒にとってそれが最善かどうかは別の話です。
 一斉授業はICTを教具化するので、特定授業場面でしか使えない統制と
強制の手段にしてしまいます。教師のための付加機能は子どもだけでなく
教師の使い方も規制します。子どもは自ら持つICTの能力を活かす事な
く、やがて単純なタスクに失望してしまうでしょう。
 学習者端末は学習者中心に展開してこそ真価を発揮します。要は教師主
導の教具的発想をやめて、学習者に寄り添う文具として見立てることで
す。学習者の文具視点から学校の情報環境を見直せば、現状の仕様がどれ
ほど教具的ゴリアテと化しているか、再認識されることと思います。

おまけの宣伝

 Facebookの公開グループ「ICT教具論からの脱却」では、ICTの学習者中
心文具的な展開を模索しています。ご関心のある方はぜひメンバーに加
わっていただきたいです。詳しくはこちらへどうぞ。
https://www.facebook.com/groups/1059176697441865/

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 豊福さんの文章を読んでいると、ICTの話題を切り口としながら、実は
日本の一般的な教室で行われている授業の見事な弱点分析になっていると
感じます。
 豊福さんが教育情報化に関わり始めたのが1992年ということですから、
既に四半世紀。もっと迅速に変わらなければならなかった学校現場(授
業)ですが、本当にもう変わらないといけない瀬戸際に来ていると、痛感
します。そのためには、やはり私たち教員のマインドが変わらなければな
らないようです…。
 「機器トラブルで授業中断」「シナリオ変更」などなど、痛烈な批判で
もあるのですが、情景が目に浮かび思わず苦笑してしまいました。

 次号は、11月10日金曜日。岩田将英さん(柏市教育委員会学校教育
部指導課指導主事)です。教師教育を考える上で絶対はずせない立場・要
素の一つが指導主事の役割なのですが、実は、主事の方に職責を明示して
お書きいただくことがなかなか難しい事情があります。岩田さんは関係の
みなさんにもご協議くださってご快諾いただきました。みなさん、どうぞ
お楽しみに。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
40号(読者数2516)2017年11月7日発行
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教師教育メールマガジン39号、一尾茂疋さんです! - 2017.11.03 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」39号
           2017年11月3日発行
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「生き抜く力」それは、「それって本当?と問う力」
        一尾塾塾長、自主学校瀬戸ツクルスクール運営責任者
                            一尾 茂疋
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 39号は、一尾茂疋さん(一尾塾塾長、自主学校瀬戸ツクルスクール運
営責任者)。私塾、そしてオルタナティブスクールの立場から考える教師
教育についてご執筆いただきます。            (石川 晋)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 みなさん、はじめまして。
 一尾 茂疋(いちお しげひこ)と申します。
 愛知県瀬戸市で2009年から小中学生対象の学習塾を自宅で営んでい
ます。
 2014年4月からは、オルタナティブスクールである自主学校瀬戸ツ
クルスクールを開校し、運営責任者をしており、2016年からは瀬戸市
教育委員会の事業である、教育アクションプラン推進会議委員として瀬戸
市の公教育にも関わらせていただいております。よろしくお願いします。
──────────────────────────
「生き抜く力」それは、「それって本当?と問う力」
1・学習塾における「それって本当?」いいえ、違います。
2・学校教育における「それって本当?」いいえ、違います。
3・「それって本当?」と「成長」
4・「それって本当?」に行きついた経緯
──────────────────────────

1・学習塾における「それって本当?」

「学習塾は成績をアップさせなければならない。そうしなければ、その塾
は選ばれない。」

「それって本当?」

 みなさんは、どう思われますか?

 塾の説明会では、

「私の塾は成績を上げるための塾ではありません。それでもいいですか。」

と伝えます。

 月謝は通常の塾の2倍~3倍します。それでも保護者は大切な子どもを
預けてくれます。現在は10年先の予約もいただいています。
 
 もちろん様々な工夫はしています。しかし、「成績をアップさせる塾が
選ばれる塾」ということに対して、「それって本当?」という問いを持た
なければ、その工夫も生まれなかったでしょう。もし、その問いを持たな
ければ、「いかに成績を上げるか?」「合格実績をいかに出すか?」に執
着し、その結果、飽和している塾産業に埋没し、おそらく私のような小さ
な塾は生き残ることはできていないでしょう。まさに「それって本当?」
という問いが、今を生き抜く力につながったと思っています。

2・学校教育における「それって本当?」

「自分の好きなことばかりやっていたら、自分勝手になって集団行動が身
につかない。」

 これは、瀬戸ツクルスクールの説明を学校の先生や親、学生にすると言
われることの多いものです。

 現在日本には多くのオルタナティブスクールがあります。様々なスタイ
ルのものがありますが、現在の瀬戸ツクルスクールは、自分がやりたいこ
とをやる、というスタイルを取っています。その話をすると、上記の話が
でるわけです。

「それって本当?」

 実は、私もどうなのだろう?と思っていました。しかし、実際にやって
みると、ちゃんとみんなでやらなければいけないときは、みんなとやる、
という力はつきました。

 保護者の方から聞いた話です。

 その女の子は小学校低学年。地元の学校にはほとんど通わず、瀬戸ツク
ルスクールに通っています。瀬戸ツクルスクールでは、平均5,6名の生
徒ですから、集団といわれるような人数での行動はほとんどしたことがあ
りません。

 そんな彼女は体操教室に通っていました。その体操教室も参加する大会
がありました。たくさんの子どもたちが参加します。大会の最初に役員の
方などから挨拶があります。みんな座って聞かなければなりません。保護
者の方は思ったそうです。

「うちの子はこういうことに慣れていないから、きっと上の空だったり、
そわそわしたりするのだろうな~。」

 お話が始まりました。始まる前、ざわついていたのですが、そのざわつ
きは、収まりません。隣の子と話していたり、うつむいていたり・・・
 
 そんななか、一人、背筋を伸ばして、話している人を真っ直ぐにみて聞
いている子どもを見つけたそうです。会場の遠くから全体を見ていて、自
分の子どもを見失ってしまっていたので、

「あ~、ちゃんと聞いている子もいるな~。」

と思ったら、自分の子どもだったそうです。保護者の心配は杞憂に過ぎま
せんでした。

「自分の好きなことばかりやっていたら、自分勝手になって集団行動が身
につかない。」

ということは本当ではなかったわけです。

 このことに関しては、私自身「それって本当?」という問いを持っては
いましたが、確信は持てていませんでした。しかし、その問いを実際に行
動に移すことで、実感を持つことができました。そして、新たな視点を獲
得できたと思います。それにより新たなアプローチを考えることができる
ようになりました。

 これからの時代は、今までの成功事例をただ踏襲するだけでは立ち行か
なくなっていく可能性が高いです。そんななかで、新たな視点を持ち、新
たなアプローチを考えだせることは、生き抜く力につながっていくと考え
ています。そのスタートとなるのが、「それって本当?」という問いなの
ではないでしょうか。

3・「それって本当?」と「成長」

 そのほかにも「それって本当?」という問いをもって取り組んだものが
たくさんあります。そして、そのほとんどが、ただある一面で「本当」な
だけでした。

「地域の学校に行かなければ、社会に適応できない。」
 すでに卒業生が地域で働いています。ちゃんと社会に適応しています。

「学校の先生でなければ、学校教育で教える内容は教えられない。」
 現在の環境(一般の人の教養の高さ、ICT)であれば、やり方さえ工
夫すればできます。

「学校をつくり、運営するにはお金がかかる。」
 現在瀬戸ツクルスクールは無料で運営しはじめて、3年半がたっていま
す。やり方さえ工夫すれば、学校をつくり、運営すれば、お金はかかりま
せん。

 ほかにもたくさんの「それって本当?」という問いを立てました。そし
て、実行しました。そのことにより、たくさんの新たな視点、解決策を持
つことができました。

「成長」という言葉の意味を、「同じものを見ても、今までとは違ったよ
うに見えること。今までとは違うアプローチや解決策を獲得すること。」
だとしたら、「それって本当?」と問い、それを実行することは、「成
長」につながるということです。

「それって本当?」と問うことは、とても身近なものです。どこかに時間
を使って学びに行く必要もありません。今、自分が当たり前に行っている
ことに対して問いを持ち、実行することで、想像以上に大きな学びを得ら
れる可能性があるものです。

 ぜひ試しに月曜日に一つ試してみてはいかがでしょうか。問いを持つこ
とと同じ、あるいは、それ以上に大事なことは、とにかくそれを実行して
みるということです。実行なしには、成長はありえません。どんなことで
もよいと思います。

・大きな声を小さな声でいってみる。
・最初の5分、一言も話さずに授業してみる。
・宿題をやりたい子だけに出してみる。 などなど。

 きっと今までとは違った景色が見えると思います。そして、それは「成
長」につながっていくのではないでしょうか。それができれば、いつでも
どこでも私たちは成長することができるということだと思います。

4・「それって本当?」に行きついた背景
 最後に、私がこの考えに行きついた背景について書かせていただきま
す。

 現在は最初に書かせていただいたように学習塾を営んでおりますが、開
業にいたるまでの10年間はサラリーマンをしておりました。

 1998年に大学卒業。就職活動時は塾講師志望でしたが、社会経験の
必要性を感じ、関西大手チェーンストア、外資系医療機器メーカーに勤務
しました。

 その後、地元トップ高校に多くの合格者を輩出する集団授業の進学塾、
一人一人をサポートする個別指導塾、海外進学をサポートする海外大学進
学準備校での経験を経たのち、開業しました。

 そして、起業前にアドラー心理学、キャリアカウンセリング、NLP、
マインドマップ、アクティブ・ブレイン(記憶法)などを学び、現在に
至っています。

 さて、私の卒業年を知って、みなさんが思い浮かべることはなんでしょ
うか。

 1997年~1998年は、回復しかけた経済が、アジア通貨危機や大
手金融機関が破たんした年です。それまでもバブル崩壊という言葉を背中
で感じながらも、中高生であったこともあり、それほど当事者意識をもっ
ていませんでした。
 
 しかし、大学生の時期に、崩壊が表面化し、「倒産」「リストラ」とい
う言葉が一気に自分事になりました。そんなときに思ったことが、「もう
いままでのようにはいかないぞ。会社は社員のことなど守ってくれない。
自分の身は自分で守っていくしかないのだ。」ということです。言い換え
れば「これまでの常識を信じていては、生き抜けないぞ。」ということで
す。

 そんな思いの中、自分が身に付けておかなければならない力はなんなの
か?ということを考えて、その必要な力が身に付けば、また次の力を身に
付けることのできる会社へと転職を繰り返しました。
 
 今までの常識で考えれば、10年間で5回の転職ですから、あまり好ま
しくないとされることが多いですが、終身雇用、年功序列の崩れ、非正規
雇用が増加、自己責任という言葉が当たり前のように飛び交い、今現在、
私の周りでも同世代(30代後半から40代)で、まじめに勤めていた知り
合いが解雇になってしまうような状況において、ちゃんと仕事があり、家
族を養えるだけの収入を得ることができているのは、今の時代、そして、
これからの時代を生き抜くために必要な力を身に付けられたからだと思っ
ています。

 この原動力となったのは、間違いなく「これまでの常識を信じていて
は、生き抜けないぞ。」という思いでした。

 2009年に個人事業主となりました。その後の成長を支えてくれてい
るのも、「常識を疑え!それって本当?」という考え方だと思っていま
す。

 この「それって本当?」と問いかけを持つことで、見える景色が全く変
わりました。そして、その違った景色に実際に足を踏み入れることで、ぼ
んやりとしていた景色がはっきりしたり、また違った景色が見えたりしま
した。「成長」という言葉を、前述したものだと捉えるならば、私はそれ
によって「成長」したと思っています。

 こんな経緯があったことから、今回の「それって本当?」と問う力を大
切にしたいということになりました。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

一尾塾HP・・・http://www.ichiojuku.com/
自主学校瀬戸ツクルスクール
HP・・・https://setotkrschool.jimdo.com/
Facebook(活動の様子)・・・
https://www.facebook.com/setotkrschool/

==================================================================
 一尾さんの歩んできた道筋、そして今がわかる貴重な論考でした。
 豊かなエピソードが一尾さんの現場で積み重ねられていること、一尾さ
ん自身の生き方が今の一尾さんの在り様に色濃く表れていること、そうい
うことも丁寧に伝わる論考で、感激でした。
 今、従来の学校教育の枠組みとは違う形での様々な教育の試みが各所に
起きつつあります。そうした動きを作り出す一人である一尾さんの考えの
筋道と決意とがぼくにも伝わってきました。

 次号は、11月7日火曜日。豊福晋平さん(国際大学 グローバル・コ
ミュニケーション・センター 准教授 (Associate professor)・主幹研究
員、IUJ Associate professor)です。きわめて早くから情報教育に
フォーカスし、多彩な発言を続けてこられた方です。どうぞお楽しみに。
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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
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