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2017-07

教師教育メールマガジン8号、木下通子さんです! - 2017.07.25 Tue

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メールマガジン「教師教育を考える会」8号
                     2017年7月25日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 「読書」視点から、教師に必要な力を考える
      埼玉県立春日部女子高校司書/ビブリオバトル普及委員
                            木下 通子

http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第8号は、木下通子さん。埼玉の高等学校の司書として、全国の学校図
書館から注目を集める図書館づくり・運営をしてきた方です。学校図書館
の司書という視点から、教師教育への提言をお願いしました。
                           (石川 晋)
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1 いよいよ夏休みですね!
 先生方はお忙しい一学期をお過ごしだったことと思います。
 夏休みは少しお休みできますか?
 私は学校司書。専任で専門(司書資格)の職員として、埼玉県の高校図
書館に勤務しています。勤務時間も先生方と同じで、一日中図書館で仕事
をすることができます。司書のいる学校図書館は、いつでも開いていて、
休み時間でも授業中でも図書館を利用することができます。
 私の勤務している県立春日部女子高校は、中堅の進学校です。女子高校
ということもあり、小さい時には本を読むのが好きだったという生徒が多
いです。しかし、小学校高学年、中学生になると、本を読めないという子
が増えてきます。勉強が忙しくて時間が無くなるそうです。小学校や中学
校に本のことを良く知っていて、生徒の様子がわかっている司書がいれ
ば、時間がない生徒にも上手にアプローチして、読書への動機づけができ
るでしょう。が、残念ながら日本の大半の小中学校には、学校司書が配置
されていません。だから、入学してきた生徒に様子を聞くと、高校に入っ
て初めて司書と出会ったという人が多いです。学校図書館は、本と人とを
結びつける場です。この場をお借りして、司書が学校図書館でどんな仕事
をしているか、少しご紹介させてください。

2 学校司書の仕事
 この原稿を書いているいまは夏休み前で、とてもあわただしいです。各
教科から夏休みの宿題が出る時期でもあります。問題集をやってくる。な
どの宿題だと、図書館に生徒が来る確率はほとんどありませんが、定番の
読書感想文や、「新書」を1冊読むとか、「〇〇に関する本を読んで自分
の考えを書きなさい」という課題が出ると、生徒は図書館に来ればなんと
かなるだろうと思って、本を探しに来ます。本のことは図書館へという信
頼関係ができているからです。生徒たちは図書館に来ると、「どの本が読
みやすい?」とか、「興味があることがないけれど、どんな本を読んだら
いいかな」など、それぞれの要求をぶつけてきます。先生から予告されて
いる課題なら、準備ができますが、生徒から課題があることを聞いて、あ
わてて先生に課題プリントをもらいに行くなんていうこともしょっちゅう
です。
 夏休みの宿題にあたりをつけることも重要で、そのためにも私は日ごろ
から先生方とコミュニケーションを取るように心がけています。日常的に
交流があって、情報交換できていて、図書館を利用してくれている先生
は、課題を出す前に、司書に相談をしてくれます。「こういう課題を出そ
うと思うのだけれど、本が揃えられるかな?」とか、「課題でこういう力
をつけさせたいんだけれどどう思う?」という突っ込んだ相談をしてくだ
さる場合もあります。これは、司書が本の専門家で、本についてくわしい
ということを、先生がわかってくれているからです。
 それから私はいつも、カウンターで仕事をしています。図書館に入って
来た人に、「こんにちは!」とあいさつをして、なんでも聞いてもらいや
すい雰囲気を作るためです。カウンターはただ、貸出・返却をする場では
ありません。返却された本の感想を共有したり、借りていかれる本につい
て話をして、別の興味に発展させたり、図書館の中心の場所と言えます。
学校図書館も公共図書館と同じように、レファレンスサービスをしていま
す。レファレンスサービスとは、利用者の質問に答えて、利用者が求める
資料を見つけるサービスです。先生方からは、「この授業に関連する資料
を探して」と頼まれることもあります。この資料をと、書名が上がる場合
は簡単ですが、ばくぜんとした内容で本探しを頼まれると、こちらがアン
テナを張り巡らせて、関連する資料を多岐にわたって用意します。用意し
た資料を全部使っていただく必要はなく、その中から使えそうな資料を選
んでいただく。それで、先生に「資料をそろえてもらったので、中身の濃
い授業ができた」と言われるのが、天にも昇るような喜びです。
 図書館の根幹は、蔵書です。本棚を歩いていると、本が「私を読んで
ー」と声をかけてくれるような棚づくりを目指しています。そのために
は、選書がとても重要です。生徒や先生方のニーズにあった本を購入する
のはもちろん、その年代の子どもに読んでもらいたい本、授業に必要な本
を計画的に購入していきます。図書館に司書がいない学校では、本の購入
は学期に一回と聞いたことがありますが、私たち、司書がいる学校図書館
では、収集方針を立て、司書の裁量で本を発注することができるため、リ
クエストの本や必要だと思う新刊は、随時発注しています。とくに新刊は
本屋さんに負けない品ぞろえを目指しています。 埼玉県の高校図書館に
は、40年くらい前から専任で司書資格を持った学校司書が配置されていま
す。蔵書も3万冊くらいが平均で、学校図書館に必要な百科事典や図鑑な
どの基本図書はそろっています。そんなベースがあるので、新刊図書を買
いやすいのです。ベストセラーはもちろん、実用書などもそろえていま
す。
 私は先生方と同じように、職員会議にも出ています。そのおかげで、生
徒の状況も把握できています。体調が悪い生徒を保健室に連れていくよう
に、情報を求めている生徒を担任の先生が図書館に連れて来てくれるケー
スもあります。

3 本を「読む」ことに寄り添うために
 大人は字が読めれば、本が読めると思ってしまいがちですが、本を読め
ることと字が読めることは違います。走ることができるのとマラソンが走
れるのとは違うように、本を読むのが苦手な人には、本を読む練習をする
ことが必要です。読書とスポーツは似ています。
 最近は本が一冊もない、新聞も購読していないというお家が増えてきた
ようです。
 共働きの家庭が増えて、お母さんも忙しいので、子どもにご飯を食べさ
せるのに精いっぱい。小さい時からゲームにお守をしてもらって育ってい
る子どもも多いですよね。
 それでも、保育園や幼稚園に通っている間は、折りに触れて大人に本を
読んでもらう機会があります。ところが小学校に入ると、読み聞かせをし
てもらう時間も減って、本は自分で読むもの、もう大きいんだから自分で
読みなさいと言われることが増えてきます。
 授業で読む読書は、学びのため。知識を得るための読書です。しかし、
読書には楽しみのための読書もあります。学校図書館は、学びのための読
書と楽しみのための読書の両方を支える場なのです。たとえば、ポケモン
にハマっている子どものために、学校図書館でポケモン図鑑を買ってもい
いでしょう。次の興味につないでいける大人が上手にうながせば、ポケモ
ンをきっかけに、子どもの興味が広がって行くこともあるでしょう。
 昔は、子どもにとって読書は娯楽でした。
 でも、今の子どもたちにとって、読書は娯楽ではなくなりました。本を
読むのがめんどうくさいという子どもも増えてきました。そんな子に本を
読んであげたり、その子が読んでいる本の話を聞いていっしょに共感した
り、感想をいいあったり、次の本を薦めたりできる大人がいれば、子ども
の読みの幅が広がって行くと思います。○年生だから、これくらい読みな
さいではなくて、なんでそれが好きなの?それが好きならこれも読んでみ
たら?と子どもの読むことに寄り添うことが学校司書の仕事です。本を読
むのには、根気が必要です。本は○○しながらでは、読めません。読む人
に、読む意志がないとできないアクティブな活動なのです。
 読書の技法はいろいろあります。本を読むのが苦手な子でも気軽に参加
できて、生徒と本を結ぶ楽しい方法はないかしら?と考えていたところ、
ビブリオバトルと出会いました。
 ビブリオバトルは「人を通して本を知る・本を通して人を知る」をキ
ャッチフレーズにした書評ゲームです。
 ルールはとてもシンプルで簡単。
1 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2 順番に一人五分間で本を紹介する。
3 それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッショ
  ンを2~3分行う。
4 すべての発表の後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とし
  た投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ
  本』とする。
 シンプルで簡単だからこそ、学校だとどうやったらいいか戸惑ってしま
うこともあり、最初は試行錯誤しましたが、現在は定期的に学年全体や図
書委員の生徒といっしょにビブリオバトルを楽しんでいます。ビブリオバ
トルの実践の詳細については、岩波ジュニア新書に書かせていただきまし
た。
 『読みたい心に火をつけろ!』 木下通子/著 岩波ジュニア新書。よ
かったら、お読みください。

4 夏休みには本を読もう
 先生方は本を読んでいますか?
 もちろん、授業に関する本は読んでいらっしゃるでしょう。
 でも、楽しみの読書はされていますか?
 せっかくの夏休みです。本を読んでみませんか?
 もちろん、お好きな本を読むのもいいでしょう。でも、ちょっと趣向を
かえて、子どもの本を読んでみるのはいかがですか?
 子ども同士でいじめやケンカが起こった時。正論を言って子どもを諭す
よりも、一冊の本を読み聞かせすることで、心に響くことがあります。本
が伝えたいことを助けて伝えてくれるからです。
 子ども向きの本のブックガイドもたくさん出ています。そういうものを
参考にして、ご自分の学校図書館や、公共図書館の児童室、書店の子ども
の本コーナーをながめてみてください。学校図書館に司書がいなくても、
公共図書館には子どもの本を専門に勉強している司書がいます。こんな内
容の本を探しています、どこにありますか?と声をかけてもらえたら、公
共図書館の司書も必ず本を紹介してくれます。
 いま、私は子どもの貧困や家庭でのネグレクトがとても気になっていま
す。親が病気になると、親の病気を自分のせいだと思ってしまう子どもも
います。親がアルコール依存症やうつ病になった子どもに、親の病気を伝
えるための絵本も出ています。『家族のこころの病気を子どもに伝える絵
本』(ゆまに書房)というシリーズも、保健室や学校図書館で活用されて
いる本です。
 私が子どもの頃から、貧しいお家はありました。保護者がかまってくれ
ないお家もありました。私自身も母子家庭に育ったので、本が友だちでし
た。本の主人公といっしょに、別の国を旅したり、おいしいものを食べて
いるところを想像したり、本を読んでいる時には別の世界を旅して、心の
幅を広げていました。
 たとえば、1999年に出版された『ストライプ たいへん!しまもように
なっちゃった』 ディビッド・シャノン/文と絵 清水奈緒子/訳 セー
ラー出版 は、高校生にも読み聞かせをしている絵本です。
 主人公のカミラは、リマ豆が大好きですが、学校のみんながリマ豆が大
嫌いなので、ぜったいに食べようとしません。カミラはいつも人の目ばか
り気にしていて、みんなと同じにしていたいと思う女の子でした。そんな
カミラは、新学期になにを着ていこうか悩みます。どんなかっこうでいっ
たらいいのかしら?みんな、わたしをどう思うかしら?
 そう考えていると、カミラの身体が色とりどりのしまもようになってし
まいます。
 カミラはもちろん、学校を休みます。そして、やってきたお医者さん
は、しまもようが消えるようにと軟膏を出して帰って行きました。次の
日、カミラは、しまもようの身体のまま、学校に行きます。クラスの友だ
ちはカミラを見て大笑い。カミラをからかいました。友だちが好き勝手に
色や形を言うと、カミラの身体の模様は言われたとおりに形を変えていき
ました。お母さんやお父さんはとても心配して、いろんな専門家を頼みま
す。しかし、カミラのしまもよう病はぜんぜん治る気配がなく…。
 この絵本は絵本にしては文章が長く、一冊読むのに5分以上かかりま
す。小学校だと、高学年からがおススメです。絵がとてもはっきりしてい
て、カミラのまわりの大人の様子がこっけいで、どんどんお話の世界に引
き込まれます。最終的にカミラのしまもよう病は治り、自分を取り戻すの
ですが、病気が治ったきっかけがとてもステキな絵本です。
 進路を決められない高校生にもこの絵本はとても響くようで、紹介する
と自分で読みたいからと借りていく生徒もいます。
 
5 学校図書館に司書がいたら
 2015年に学校図書館法が改正され、「学校司書」という名称ができまし
た。いままでは司書教諭の先生一人の肩にかかっていた学校図書館運営
を、学校司書という専門職がいっしょに担えるようになりました。でも、
「学校司書」は国の配置義務があるのではなく、自治体独自で採用をして
いるため、置かれていない自治体もあるし、小規模自治体の採用では、採
用があったとしても短時間勤務で資格も問われていないケースが多いので
す。
 小・中学校図書館に司書を!という願いが、本を大切に思っている大人
の共通の願いです。そんな願いを後押ししたいと、学校司書の仕事をまと
めた本を書きました。このメールマガジンを読んで、学校図書館の活動
や、司書の仕事に興味を持ってくださった先生に、あわせて読んでいただ
けるとうれしいです。
 生きていくには、想像力が必要です。だから子どもたちには、想像力を
養う機会をもってもらいたい。また、困難な課題にぶつかっても、それを
乗り越えていく力をつけてもらいたいと思っています。その力をつけるた
めには、「本」が役に立ちます。
 先生方のお仕事も、本が助けてくれます。もちろん、教育関係の実用書
を読むことも大切です。でも、ちょっと笑える小説や、ワクワクドキドキ
するミステリーで、心を別の場所に連れて行ってあげるのも、夏休みだか
らこそできること。
 この夏休み、先生方にとって、ステキな本との出会いがありますよう
に!

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 私が長く勤務してきた北海道は、恵庭市などごく一部の例外を除いて、
小中学校の図書館には人がいませんでした。私は28年の勤務期間の中で
残念ながら自分が勤務する学校の図書館に専任の人がいたことがないので
す。そのことは、各教科の学習を進めていくうえでも、子どもたちの読書
環境整備においても、圧倒的な不利益を生じることである、と木下さんの
論考を読みながら実感します。
 そしてもう一つ、やはり私が思っていた通り、それは学校教員の成長に
おいても大きな不利益を生じるものであるようです。
 今春まで勤務していた学校で、一冊の本を自分の力で読み終える経験を
持たずに義務教育を終えていく子どもたちの存在を意識しました。それは
一定程度の学力層の子どもたちにも及んでおり、彼らがそのような状況で
例えば教員を志していくことも、十分に想定されると感じていました。事
実、近年、読書の体験がほぼない、したがって、自力で一冊の本を読むこ
とが難しい状況で教壇に上がる教員が散見されるようになっています。
 ネットが隆盛を極める今日においても、書籍を読むことから学べるとい
うことは、とても重要な力であると考えています。学校図書館司書が、木
下さんのように、校内的な影響力を発揮しながら、授業づくりや教室づく
りにも書籍を通して寄与していけることは、教員が育っていく上でもとて
も重要と考えます。
 木下さんの新刊は、『読みたい心に火をつけろ! 学校図書館大活用術
』(岩波ジュニア新書,2017)。夏の読書におすすめです。また、中高生
にぜひ勧めていただきたい一冊です。

 次号は、7月28日金。藤原友和さん(函館市立万年橋小学校教諭)で
す。学校教育の世界におけるファシリテーショングラフィック活用に先鞭
をつけた注目の実践家です。
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メールマガジン「教師教育を考える会」
8号(読者数2374)2017年7月25日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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【わたしたちの「撮る教室」】を読み直す - 2017.07.23 Sun

 中学校で、今のところ最後の学級担任となったクラスの人たちとぼくと、プロ写真家で作った記録。

 まだ手元に届いていない人たちに、ぜひ届いてほしいという願いの強い一冊。
 学校って何ができるかな、どこまでできるかなということを、一緒に考えるスタートラインの一つにしたい、と思うんだ。

71exmR48rYL.jpg

 8月は、みなさん授業づくりネットワーク京都集会で会いましょう。


教師教育メールマガジン7号、梶浦真さんです! - 2017.07.21 Fri

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メールマガジン「教師教育を考える会」7号
                     2017年7月21日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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【教師が育つ響志組織の創造とカリキュラム・マネジメント】
                 教育報道出版社代表
                             梶浦 真
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第7号は、梶浦真さん。総合的な学習の時間登場の前後から、「学校教
育」の未来に寄り添う形で、提言を続けてこられた編集者、ライターで
す。                         (石川 晋)
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-はじめまして-
 私は【有限会社教育報道出版社】という小さな出版社を営んでいます。
同時に、小中学校の研修講師をさせて頂いています。そんな、研修講師経
験の中から、今、考えていることを即興で書かせて頂きました。最近は、
授業実践における「省察的学習(振り返り指導)」と「学校における組織
的な学習」に関心を寄せています。近著の「アクティブ・ラーニング時代
の<振り返り指導>入門」は第5版を発行しました。次著もいくつか構想
がありますが「協働的な授業分析を通した指導技能の向上」について執筆
を開始したところです。

1.教師に期待される協働的な活動
 教師の「協働的教育活動」に対する期待が高まりを見せています。近年
よく耳にする【チーム学校】という言葉も、教師の協働的な活動に向けた
期待が込められた言葉です。ところで、教師に協働を期待している「主
体」は誰なのでしょうか。教師自身なのか、それとも行政なのでしょう
か。あるいは、時代からの要請という姿の見えない社会的圧力なのかもし
れません。

 平成27年12月に公表された中教審答申には「これからの学校教育を
担う教員の資質能力の向上について ~学び合い,高め合う教員育成コ
ミュニティの構築に向けて~」(傍線は筆者) というタイトルが付けら
れています。ここでは、「技術革新や社会の急速な変化への対応」「ベテ
ラン教諭の大量退職による若手の急増」「ICTを活用した授業や授業のAL
化など、新たな指導技能の向上」などへ対応できる教師の育成が求められ
ています。こうした、変化の激しい困難時代を生き抜く能力を高める土台
となる部分が、上記答申のサブタイトルに表れているのです。「学び合
い、高め合う」協働できる教師と組織があってこそ、「VUCA時代」を生き
抜くことができるということですね。

 VUCAとは(Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity
(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をとった言葉です。これから子ど
もと教師が生きて行く時代の特徴を示した言葉だと言われています。こう
した、変化の激しい困難時代を生きつつ、教育的な成果や成果の質を変え
ていこうとすると「個人だけの学び」では十分に対応することが難しく
なってきます。また、個人の能力やキャパシティーを越えた課題が生じた
場合も、同僚と協働して対応する必要が生じてきます。教育を取り巻く環
境が複雑になり、対峙すべき課題の質や量が変化して行けば行くほど、教
師の協働的活動が一層重要な意味を持つ様になるのです。

2.組織環境に着目する
 私は新聞記者時代を含めると、これまで述べ3000校近くの小中学校
へ伺ってきました。同じ公立の学校でありながら、教師組織の持っている
文化は学校によって異なります。同僚性が高い学校もあれば、他人の仕事
には干渉をしないという冷えた組織文化を持った学校もあるのです。
 
 極端な事例ですが、ある中学校の美術の時間にいじめを疑われる生徒の
様子が認められたことがありました。そこで、美術の教師が担任にその様
子を報告したところ「自分の授業で起きた事件をこっちへ持ってこないで
欲しい」と担任から迷惑がられたというのです。この中学校はいわゆる市
のトップ校でした。校長は行政出身の大物校長が輪番で赴任し、教頭や教
務も厳しい態度で教師に臨む学校です。やや命令的な管理職の指示が多
く、教師と管理職の間には心理的な溝が広がっていました。その様な状況
の中で、警察の介入が必要となる様な事故が起きたのです。当然、管理職
数人だけでは対応しきれない事態となり、一気にマスコミまで情報が飛び
火することになりました。協働的な組織文化の欠如は時として、組織に甚
大な被害をもたらすことがあるという事例です。
 
 一方で、教師の組織開発によって、学校の組織文化ががらりと変わった
学校もあります。この小学校は数年間に亘って、私が校内研修を担当させ
て頂いた学校です。私が最初にこの学校へ伺った頃は、職員の人間関係が
冷え切っていて、前校長はその心労から途中でご退職されたということで
した。その小学校に伺って、最初の講演で私の話す時間が予定を5分ほど
超過した時のこと。「おい、校長、時間が5分も過ぎとるぞ。職員の勤務
時間を何だと思っているんだ!」と罵声が飛んできました。
 その夜、校長、教頭、教務、研修主任とその後の作戦を練った。私が
とった策は「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative
Inquiry)」という方法だったのです。

 この方法は、問題解決というネガティブな方向に向かうのではなく、組
織として互いの良さを認め合いながら、ポジティブな組織文化の創造を目
指す方法です。この小学校では「一人の得意をみんなの得意に」を合言葉
に、個々の先生方の持つ授業実践の技の良さを共有して行くことにしまし
た。やがて、組織の空気が柔らかくなった時に、最も研修に反対していた
教師の授業を拝見し、指導講評でその先生の授業をべた褒めしたのです。
そう、意図的、計画的、戦略的なべた褒めだったのです。この時が、この
学校の組織文化を変えるターニング・ポイントとなったのでした。
 
 その後、5年間この学校に講師として通うことになりました。2年目の
半ばに病気で退職する初老の図工教師が「こんなに短時間で学校が変わる
なんて。最後がこの学校でよかった」と涙をポロリと流していた光景が今
でも印象に残っています。この学校の研修に携わってよかったという思い
が込み上げてきた瞬間でした。やがて、この小学校は市の研究指定を受け
ることになりました。「互いに認め合う組織文化」が生まれたことによっ
て、若手の授業力が伸びたことは言うまでもありません。組織開発と組織
が持つルーティンを変えることによって、高いチーム力が生まれたので
す。

3.人を育てる環境としての組織に着目する
 糸井重里氏が「魚を飼うという事は、水を飼うことなのだ」とかつて氏
のブログに書いていたことがあります。なんと見事なメタファーでしょ
う。魚の成長は水環境の健全さによって決まります。また、大手種苗メー
カーの野原種苗の社長(野原宏氏)は「植物を育てるということは、根を
育てるということ。葉がおかしくなった時は、すでに根に異常があるので
す」と語っていたことを思い出しました。
 これも、土という環境が植物の育ちの鍵を握るということを示した言葉
です。では、教師の成長にとって、最も重要な環境とは何なのでしょう
か。それは、【学校の組織文化】なのです。人は組織という環境の中で育
つ。これは、人が個でのみ育つのではなく、社会的な相互応答関係の中で
育つということを意味しています。人的組織と個の関わりが人の学びを支
える重要な要因になっているのです。
 学校においても、特定の時期の特定の学校から優れた実践家が集中して
生まれることがあります。授業力が高い教師が特定の学校から生まれる。
その理由を探っていくと、協働的で充実した校内研修文化の中で研究同人
として技を高め合ったことが、その後の授業力の高さに繋がっていること
が多いのです。協働し、切磋琢磨して、授業づくりに励んだ仲間がその
後、それぞれに活躍する「何か」を得て行くということですね。それだ
け、組織環境は重要な意味を持つということです。

 人間の脳は体重の2%程度の重さしかありません。しかし、脳が消費す
るカロリーは基礎代謝の20%~最大50%にも達するのです。つまり、
人間の脳は非常に贅沢な器官であり、その贅沢さゆえに万物の霊長になれ
たということ。そして、人間を人間たらしめている脳の部位、新皮質や前
頭前野は、他者を意識して情報をやりとりする目的から巨大に発達したと
言われています(マキャベリ的知性仮説)。脳が他者との相互関係を高度
に充実させる方向で進化したということは、何を意味するのでしょう。そ
れは、脳(ヒト)にとっての学びは、教示や模倣、対話という個人間の間
主観的な行為によって高次な充実を可能にしているということです。人の
学びの本能は、社会性を基盤にしているのです。

4.組織のルーティンを変えて組織としての学び文化を築く
 組織という人的環境との相互関係によって個が育つとすれば、学校組織
における組織開発や組織ルーティンを変えて行くことも考えねばならない
でしょう。従来からその学校に存在した組織文化を「安定」と「柔軟性」
を兼ね備えた「学び合う組織」として不断に再構築をする。それが、お互
いの指導技能が伸びる「相個の学び」を生むのです。

 組織文化はその組織の持つルーティンによって再生産されます。そし
て、保守的なルーティンが固定化してしまうと、ダイナミックに学び合う
アクティブな組織文化は生まれにくくなります。組織メンバーの関係性の
固定化や、過度な繁忙による組織内コミュニケーションの欠如は、人が育
ち合う組織環境を生み出しにくくしてしまうのです。この悪循環ルーティ
ンを変えて行かなければ、若手が育つ組織文化、真に学び合う組織環境は
形づくられて行かないでしょう。ここを変えて行く手立ての一つが、カリ
キュラム・マネジメントの【質】を変えていくことです。

1授業という一次情報を大事にした校内研修を充実させる
2学校が目指す授業像や教育目標を全員で再定義しなおす
3問題解決型だけでなく、より互いの長所を引き出し合い認め合う「ポジ
ティブ」な研修文化を創る

 という三つの視点は次期指導要領に向かう今の時期、特に大事でしょ
う。詳しい具体例は『笑顔と対話があふれる校内研修/石川晋・大野睦仁
著(学事出版)』が参考になります。

 こうした、育ちが生まれる「学び合う組織」によって、組織内の個々に
新たな気づきが生まれるのです。この学び合う組織の中で123を通し
て、個々に「センス・メーキング」が起きる。センス・メーキングとは、
授業や教師間の対話などに参加し、思考することによって「新しい気づき
や本質的な価値の再発見をすること」を意味します。「なるほど」「そう
か」「本当はそういうことだったのか」という未知の知の発見がそれで
す。

 子どもの具体の姿や、授業実践という一次情報を資源にして、対話的・
協働的かつ、肯定的に学び合う行為を通して「深い学び」を得る。状況と
自己の中に存在しつつ、未知の知として言語化できなかった知が協働思考
によって顕在化して行くのです。この「深い学び」の象徴がセンス・メー
キングという気づきだと言えるでしょう。ここに成長や進歩の実感が生ま
れることになるのです。

5.実践的な挑戦に向けて
 ここまで述べてきた内容は、「ヒトの学びの本能が持つ社会性」や「組
織文化と個々の成長の関係」「学習する組織の充実度を上げること」、そ
して組織のルーティンを変える校内研修やカリマネを充実させることでし
た。

 ところで、これから半年間ほど私立小学校の研修講師として、月に1~
2回ほど伺うことが決まりました。この学校で、私が提案したことは「知
識」「組織」「意識」という3識を少しずつ変えることです。沢山の先生
方の授業を沢山拝見し、指導のよさや工夫の価値をプラス視点でどんどん
評価して、その情報を職員組織全体に発信していく。私立学校は人事異動
がなく、非常に硬い組織文化を持っている。そこに、授業という一次情報
を活用して、ポジティブな風穴を開けて行こうと考えています。その中
で、この小学校に1人しかいない新人教師の初任者研修にベテランや校長に
参加してもらい、新人教育も進めて行こうと考えています。

 学校の組織運営を論のレベルで語ることは可能です。しかし、組織運営
の実践は極めて流動的で多様な要素を持っていて、解決には論を越え含む
リアルな次元でのマネジメントが必要になります。しかし、どの様な組織
改革をしても、授業の質の改善として授業の中で効果が表れてこなければ
結果を出せたとは言えないでしょう。結局は、授業品質に反映する、指導
技能の向上や拡張が求められるのです。

 教師一人一人が個性を発揮しながら、志を共有できたとき「響志組織」
となる。そうした、響き合う学び環境の中でこそ、強かな教師力が育まれ
るのではないでしょうか。

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 現場で働く教師一人ひとりを温かく励ましていただく、そういう読後
感のある論考です。感激しました。現場で教師が育つというのは、教室
がそうであるように、個を育てる視点と集団を育てる視点との両方の支
援によってしか成り立たないものと、考えています。その肝は、古くは
齋藤喜博や伊藤功一の実践が示したように、校内研修にあると言えま
す。梶浦さんは、学校外部から校内に入り、切実さとそれ故の重さとを
持った校内研修の場を元気づけていく活動に取り組んでいるわけです。
その過程を、学校外の視点も持ちながら、すぐれたエピソードを切り出
す形で見せてくださる貴重な論考でした。
 梶浦さんのお仕事は、
 ブログ  http://blog.livedoor.jp/kyouiku39-smile/
や、出版社サイト  http://www.e-hodo.com/
で、さらに知っていただくことができます。
 学校外から「越境」してくる形で進められてきた梶浦さんのお仕事に
ようやくスポットが当たり始めたようです。教育の変革を巡る空気の流
れが変わってきていることを、そうしたことからも、感じています。

 新たにライター陣に、名古屋の私塾経営で、精力的に発信をつづけて
いる伊藤敏雄さんが加わりました。
 11月24日金 伊藤敏雄さん(All About学習・受験ガイド、「明
日の教室」名古屋分校事務局長)となります。

 次号は、7月25日火。木下通子さん(埼玉県立春日部女子高校司書
/ビブリオバトル普及委員)です。学校司書の立場から、本・そして子
どもとの関わりを通した教師の育ちについて書いていただきます。新刊
『読みたい心に火をつけろ!』(岩波ジュニア新書)もとてもとてもよ
かったです。おすすめです。

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メールマガジン「教師教育を考える会」
7号(読者数2373)2017年7月21日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
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教師教育メールマガジン6号、梶原さんです! - 2017.07.19 Wed

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メールマガジン「教師教育を考える会」6号
                     2017年7月18日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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「教師前途」
インターネット編集長/「中・高教師用ニュースマガジン」編
    集・発行人/鹿児島・志學館中等部・高等部教諭
                            梶原 末廣

http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第6号は、梶原末廣さん。鹿児島の私学の教員をしながら、日刊のメー
ルマガジンを発行し続ける驚異の実践者&イノベーターです。長文です。
じっくりお読みください。               (石川 晋)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回執筆の機会を得て逡巡したが、さっぱり出てきません。来し方を振
り返りながら責任の一端を果たしたい。先ずは、今から10年以上前に依
頼で書いたものを見ていただこうと思う。題して「教師も学ぶ」です。私
がつけのではなく、編集者がつけたタイトルです。それは2003年に尚
古集成館の「みんなの斉彬」プロジェクト(2003~2006年)に学
校教育との繋ぎ役として招請されてメンバーの一員となった。(今考えれ
ば、先般明治の産業革命遺産として仙巌園・尚古集成館などが認定されそ
の一因に微力ながらなり得たかなと)。「みんなの斉彬」プロジェクトの
記念冊子に多少の手を加えたものが、次の「教師も学ぶ」です。また、
「月刊国語教育」(東京法令)に掲載の「国語情報学への道程」~ICTで
「国語」も併せてご笑覧いただければ幸いです。
 尚、終わりに前年度末に行った国語科研修旅行記も楽しんでいただけれ
ば嬉しいです。
また、今年も「第18回霧島プロジェクトin国分」(7/29~30)開
催します。中高MM・霧プロの関連コラムも付記させていただきます。

1.「教師も学ぶ」                          
 「学びたい」という生徒と「教えたい」という先生がいて学校は成り
立っている。けれども、現実はそうなってはいないというほころびが見え
始めてかなりの歳月が経っている。教育界の低迷状態は継続している。打
開策や抜本的な解決を求めて論議が進んでいる。危機的な状況でありなが
ら未だに暗いトンネルの出口を見いだせないでいる。そんな中、ささやか
な営為ではあるが「継続は力なり」を支柱にした前進的な取り組みの一端
を紹介したい。
 2000年の3月から全国の中学校・高校及び教育に関心を持つ人々
へ、有益なメッセージを届けることを目的に行動を起こした。「中・高校
教師用ニュースマガジン」(教育系メールマガジン)の編集・発行であ
る。当初は執筆者20名の週刊でスタートさせた。執筆者の半数は筆者の
既知の人であった。執筆者の陣容は小中高の教師・大学の教官・医師・企
業経営者・カウンセラー・主婦という多彩な顔ぶれである。現在は執筆者
30名(前記の分野にNPO法人理事長・冒険家や海外の教師なども加わっ
た)で、購読者2000名の日刊発行のメールマガジンとなった。昨年の
9月から今年の6月の間に地元の新聞やラジオやテレビにも発行1000
号を記念して取材・掲載・報道と大きく取り上げられた。中央からではな
く地方からのナレッジ情報の発信であるという点でその意義は大きいと自
負している。
 このメールマガジン編集・発行、4年半の経験から見えてくるものがあ
る。先ずはインターネットの登場で革命的な情報の発信や共有が可能に
なったことである。今までは既存のメディアと既得者にのみ許された発
信・表現が、インターネットの環境さえ整えばだれもが表現・発信者にな
れる。その効果や威力の説明は不要であろう。発信される情報の信憑性は
既存のメディアには及ばない面もあり、受信者(情報入手者)のメディア
リテラシーに関する能力が試されるが、新しいものに相応のリスクはつき
ものである。
 次に購読者のメールマガジンの活用法であるが、受信購読の後、それぞ
れの教科への積極的な導入やLHRや道徳の時間での資料また学級通信の読
み物として活用するなど多彩である。特に総合的な学習では諸活動にわ
たっての有効活用がなされている。メールマガジンは情報発信が中心であ
るが、双方向の手法も活用(メーリングリスト)しているので実践例の連
絡もあり、互いに情報を共有し、質的な向上も図られている。
 さらに、「日刊中・高教師用ニュースマガジン」の発展的・持続的な活
動を紹介したい。創刊時の2000年の夏から毎年ワークショップ(セミ
ナー)を開催している。「第5回霧島プロジェクトin鹿児島」(未来教育
セミナー)と称して今年の夏は島津斉彬氏の別邸磯庭園と鹿児島の象徴桜
島を会場にGWT(グループワークトレーニング)やSGE」(構成的グ
ループエンカウンター)の手法を学びながら「仙巌園のCM制作」を全国
(10都道府県)の小中高の教師を中心とした参加者で実りある体験学習
が実施できた。日刊のメールマガジンと月例会(学習会)や冬季のロッジ
合宿研修会と夏の「霧島プロジェクト」と年間を通して鹿児島の教育関係
者を中心にその活動の循環が機能している。一人ひとりの教師が企画・運
営そして実践や報告会を一連の活動として継続させている。「日刊中・高
校ニュースマガジン」の購読が学びを増進させる。
(2005.07.09 Saturday)


2.「国語情報学への道程」~ICTで「国語」が変わる~

(1)はじめに

 平成九年十月に発表された「情報化教育に対応した初等中等教育におけ
る情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議(第1次報告書)体系的
な情報教育の実施に向けて」では、小・中・高を通して育成すべき情報教
育の目標を、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会へ参画す
る態度としている。高度情報通信社会を生きていくためには、「自ら必要
な情報を収集・編集・伝達・表現するための基礎的な能力を養う」こと
は、すべての教科に関するものとされおり、あらゆる機会を通して実践し
ていかなければならないということである。国語教育と情報教育の融合を
試みたいという願いが「国語情報学」を生んだ。

(2)国語情報学への道程

 「国語情報学」は筆者の造語である。基本的な考え方として教科「国
語」でコンピュータやネットワークを活用する際の名称として考えた。基
本は「言葉」である。教科としての国語は「自然言語」であり、コン
ピュータやネットワークは「人口言語」である。「人工言語」があらゆる
分野で急速に普及している現在、この二つの「言語」を出来る限り早い段
階から同時に学習させることが望ましい。日ごろ実践している授業の一端
として「デジタル新聞の活用」や「ネットワーク活用」を中心に紹介す
る。また、教師の為のメールマガジン「中・高校教師用ニュースマガジ
ン」の編集・発行に関わることも紹介する。

 1.新聞記事の国語学習での活用など  

 高校2年生の作品「文章について」芳賀綏(はがやすし)著(教科書
『新選国語二』(改訂版)尚学図書)を授業で扱った後、発展学習として
「朝が楽しくなる」プロジェクトと称して新聞への「投稿文」の作成・応
募・掲載を実施した。投稿は予想以上の成果(新聞掲載)をもたらした。
生徒と廊下ですれ違うときなど互いにニコニコと「やったね!」と合い言
葉を交わし、自分の作品が活字になることの楽しさを味わわせた。

【実践事例-1】

 ・「学校インターネット」(文部科学省・総務省共同プロジェクト)の
「学校インターネ  ット新聞」の編集委員(筆者)として。
  http://www.toshie-suzuki.net/newspaper/index.htm
 平成十四年(二〇〇二年)九月から平成十五年(二〇〇三年)十二月の
間、全国の「学校インターネット」参加校(約三〇〇〇校)にメールで配
信された。「動画や音声が紙面からあふれ出る未来型のビジュアル新
聞」。日本各地の教室の様子や子ども達の声が伝わるとっても楽しい内
容。
(筆者実践事例)
  http://www.toshie-suzuki.net/newspaper/06/news.html
  インターネット掲示板で「作文」。ネットで俯瞰・共有...

 2.こねっと毎日電子新聞の活用による情報発信(3.の(3))

【実践事例-2】
 ・中・高校生が「日本の未来」を変える!~主張は「勇気」…手段は
「IT」~

 いまその言葉(勇気の日)と実践活動が少しずつ学校から社会へそして
世界へ広がってきています。昨年の夏、八月に参議院主催で開かれた「二
〇〇〇年子ども国会」の論議をもとに「いじめや少年犯罪のない明るい社
会にするために『勇気の日』を作ろう」という子ども達の考えが主体に
なって始まったものです。いまその子ども達中心の運動が広がりを見せて
います。昨年の子ども国会の直後に実施された、TV会議により「参議院
報告会」(二〇〇〇年子ども国会に参加した子ども達)が全国から五校を
結んで中継があり、その時に私の勤務校の生徒(志學館中等部・高等部)
も参加しました。そのTV会議報告会の時に「勇気の日」を作ろうという
提案がありました。
 前記は過去の記述ではあるが、「いじめ問題」などで喧しい昨今、今こ
そ「勇気の日」提案が生きる時代はないと考えている。

【実践事例-3】
 ・「初めの一歩・グローバルプロジェクト」(国際理解教育&異文化交
流)
 五月十八日にワイオミング州の高校生(日本語選択コース)と鹿児島
(本校中高生)との間でテレビ会議システムを使ってクラスコミュニケー
ションを体験しました。九六〇〇キロと十六時間の時差を解決できたのは
CCDカメラとネットミーティング(TV会議ソフト)とインターネット
の力です。

(3)「 国語情報学で学ぶコンピュータ」
 一九九五年(平成七年)十一月二二日発行の学園新聞に「パソコン活用
と学校文化」を書いた。
 1.「情報活用能力」の育成を目指して
 国の情報教育に対する考え方とあわせ、本校のこれまでの研究ならびに
調査を基本として、授業への導入を本格的に検討する段階となった。コン
ピュータを授業に導入する目的やそれに基づく教育内容、教育方法を検討
した。中高一貫のメリットを活かすという観点も視野に入れながら、まず
コンピュータに対する慣れを当面の目標としてとらえ、コンピュータリテ
ラシー(コンピュータ活用能力)教育を中心として計画をたてた。
 コンピュータ教育年間目標=コンピュータに慣れ親しみ、違和感をなく
すとともにコンピュータを道具として、生徒の発想力や創造力を活性化さ
せる。教育課程編成の中に、本校の今後の特色のひとつとして、コン
ピュータを使った情報教育を織り込んでいきたい。そのためには、他教科
との兼ねあい、時数の問題、生徒の状況、指導方法の内容等、さまざまな
研究が必要なので、研究期間を設定した。

 2.パーソナルコンピュータからネットワークコンピュータへ
 現在は様々な場面でコンピュータ・ネットワークが必要不可欠となって
いる。本校の教育目標である「人間性開発」・「学力開発」の基本的な考
え方に基づいて、コンピュータを人間形成の一助となる道具として活用さ
せること。原則は、人間が人間と触れ合い、その中で教育活動が展開され
るコンピュータに人間の代わりをさせようとするような考え方では、本来
の教育の姿が失われてしまう。教師がコンピュータという魔法に負け詰め
込み教育を行うのではなく、生徒教師双方の間にコンピュータを介在させ
ることにより、常に互いに学びとっていくような環境作りが必要である。

 3.インターネットや各種情報機器等を活用した授業
 中等部の国語の時間(国語情報学)に、「情報リテラシー」の養成を目
標に、コンピュータの基礎やコンピュータの基本操作を体験的に学習させ
ている。入力の演習として「今日の出来事」「友人との手紙交換」「コン
ピュータとの出会い」「ロードレース体験記」など学校や身の回りの出来
事などを入力する。そのうちのいくつかは、「こねっと毎日電子新聞」
(デジタル新聞・FAXでの入手も可能)の作品として採用され、掲載さ
れている。
 また、さらに具体的な実践として、本校の中等部三年生は、「一万字論
文」への挑戦として「テーマ学習」に取り組んでいる。テーマ学習は個々
の興味や関心を基本として表現力や思考力を養成するために二〇〇一年か
ら実施している。各自のテーマ設定と指導教官を本校の専任教師に依頼
し、生徒と教師の二人三脚で論文を仕上げていくものである。テーマ設定
の為に情報収集から最新の研究調査の検索など端末やインターネットを十
分に活用している。論文の執筆計画・構成表の作成・草稿・推敲・決定稿
へと存分に端末の活用をしている。例年二月に優秀賞の受賞者(金・銀・
銅)の発表会を実施しているが、発表者はノートパソコンとプロジェク
ターそしてプレゼンテーションソフトを駆使している。この3月で「テー
マ学習その足跡」(二五〇頁)という成果集ができあがった。(昨年度は
文部科学省の特色ある教育にも指定されている)
 高等部の国語情報学や総合的な学習の時間にインターネットの「検索シ
ステム」を使って「調べ学習」等にも役立ている。教科書の作品を題材と
して、各自の「課題」を設定し、十時間程度を目途にして「課題解決学
習」に取り組み、A四版(四十字×四十行)で五枚のレポートを作成。そ
して、これらの全てを(計画から実行)をコンテンツ(情報内容)とした
生徒個人のホームページの作成。また、ネットワークの利用しての進路学
習=別項、学校と卒業生、保護者、地域を結ぶ「志學館ネットディ」もあ
る。
 「ネットワークの利用」、進路学習のひとつとして、「進路情報の入
手」(どのような方法で、何を入手するか、その活用は?)が、挙げられ
るが、端末(コンピューター室及び全ての職員室)から「インターネット
アクセス」による(大学検索、学部学科研究・進学就職情報・大学生入試
体験談など)の利用ができる。生徒と先生が一緒に端末を操作して、情報
の入手・共有も実現している。

 4.志學館ネットディ(未来プロデューサー)
 子どもたち一人ひとりを、よりよき未来へデビューさせるプロデュー
サーとして、学習(授業)の創造があると考えている。その試みとして、
文化祭を中心に「志學館ネットディ」を実施している。

 5.「こねっと毎日学校電子新聞」への原稿作成・掲載・活用へ
 一九九八(平成十)年十月から原稿の作成と投稿そして記事掲載から購
読へと循環を経てきた。特にネットディや東海村原子力発電所の事故に関
わった記事は今も記憶に新しい。(国語情報学HP参照)

(4)メールマガジンの編集・発行へ
 教育界の低迷状態は続いている。ささやかな営為ではあるが「継続は力
なり」を支柱にした前進的な取り組みの一端を紹介したい。
 二〇〇〇年の三月から全国の中学校・高校及び教育に関心を持つ人々
へ、有益なメッセージを届けることを目的に行動を起こした。「中・高校
教師用ニュースマガジン」(教育系メールマガジン)の編集・発行であ
る。執筆者の半数は筆者の既知の人であった。執筆者の陣容は小中高の教
師・大学の教官・医師・企業経営者・カウンセラー・主婦という多彩な顔
ぶれである。現在は執筆者30名(前記の分野にNPO法人理事長・冒険家
や海外の教師なども加わった)で、購読者二〇〇〇名の日刊発行のメール
マガジンとなった。一昨年の九月から今年の六月の間に地元の新聞やラジ
オやテレビにも発行一〇〇〇号を記念して取材・掲載・報道と大きく取り
上げられた。中央からではなく地方からのナレッジ情報の発信であるとい
う点でその意義は大きいと自負している。このメールマガジン編集・発
行、五年半の経験から見えてくるものがある。先ずはインターネットの登
場で革命的な情報の発信や共有が可能になったことである。今までは既存
のメディアと既得者にのみ許された発信・表現が、インターネットの環境
さえ整えばだれもが表現・発信者になれる。発信される情報の信憑性は既
存のメディアには及ばない面もあり、受信者(情報入手者)のメディアリ
テラシーに関する能力が試されるが、新しいものに相応のリスクはつきも
のである。
 次に購読者のメールマガジンの活用法であるが、受信購読の後、それぞ
れの教科への積極的な導入やLHRや道徳の時間での資料また学級通信の読
み物として活用するなど多彩である。特に総合的な学習では諸活動にわ
たっての有効活用がなされている。メールマガジンは情報発信が中心であ
るが、双方向の手法も活用(メーリングリスト)しているので実践例の連
絡もあり、互いに情報をさらに、「日刊中・高教師用ニュースマガジン」
の発展的・持続的な活動を紹介したい。創刊時の二〇〇〇年の夏から毎年
ワークショップ(教育支援セミナー)を開催している。昨年の夏は「第七
回霧島プロジェクト」と称して磯庭園茶室「秀成荘」と「かごしま県民交
流センター」の二会場で二日間実施した。要項は次の通りである。

◆「第七回霧島プロジェクト」
 テーマ:未来教育(「読解力」&「課題解決力」)
日時 二〇〇六年八月十六日~十七日
 1.「未来問題解決プログラム研修講座」~指導者をめざして~
 ・子どもたちの「創造力」と「問題解決力」を養成するワークショップ
 2. 参加型シンポジウム 「教育とメディア」
 コーディネーターに田中孝一氏(文部科学省視学官)を迎えシンポジス
トには細田直樹氏(NHK制作局経済社会情報番組「クローズアップ現
代」)・岩堀美雪(福井県小学校教諭)・永井真紗子氏(朝日新聞宮崎総
局記者)・高橋りう司氏(NPO未来問題解決プログラム)
 3.講話「島津斉彬の目指したもの-思無邪の精神-」
 ・寺尾美保(尚古集成館学芸員)
 4.「オプショナル懇親会」(於:中原別荘)
 参加者によるプレゼン:野元尚巳氏「ALASKA Glacier Bay Expedition」
アラスカ・グレッシャーベイ遠征報告)・岩堀美雪氏&細田直樹氏(番組
紹介など)
 5.各種情報交換と懇親会

 「未来問題解決プログラム」や「SGE」(構成的グループエンカウン
ター)の手法を学びながら全国(10都道府県)の小中高の教師を中心と
した参加者で実りある体験学習が実施できた。日刊のメールマガジンと月
例会(学習会)や冬季のロッジ合宿研修会と夏の「霧島プロジェクト」と
年間を通して鹿児島の教育関係者を中心にその活動の循環が機能してい
る。一人ひとりの教師が企画・運営そして実践や報告会を一連の活動とし
て継続させている。「日刊中・高校ニュースマガジン」の購読が学びを増
進させる。

(5)おわりに・今後の展望
 コンピュータ室の設計図作成から機器の導入そして活用との過程を経て
10年、その後2年間は研究のまとめ期間となった。
 ひとりの国語教師が新たなるツール「コンピュータとインターネット」
と出会って様々な研究と実践を経て確かな手応えを得た。国語はすべての
教科の基礎・基本であり応用である。教師は常に教えることと学ぶことを
己に課していなくてはならない。
 今後の展望として、まず何よりも今の子どもたちに自己肯定感が持てる
ような取り組みをしていきたい。「自信」・「誇り」・「矜持」と同じよ
うな意味を持つが、自ら学び、自ら考えそして自らの未来をたくましく切
り開いていく子どもたちの育ちに寄与できる教師になりたい。考える中・
高校生の実現をめざしたい。
 環境整備としてそれぞれの教科の中でインターネットや端末を有効に使
う為にすべての教室に情報コンセント(インターネット接続口)が設置さ
れて「ユビキタス授業」が実践されることを願っている。設備としては校
内LANから教室内無線LANの実現であり、また、教科の教材データベース化
を実現させながら校内ネットワーク内で十分に演習を積ませ大学や社会に
出てもらいたい。
 尚、今回の報告の補足は次のホームページで閲覧可能である。
国語情報学HP「 http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/kokugo/ 」
また、筆者は『21世紀の高校 生きる力はITで!』鈴木敏恵著(学
事出版)の第3章「未来と世界を「教室」へ」を執筆担当している、併せ
てご一読いただければ幸いである。
(「月刊国語教育」2007年5月号掲載 加筆修正)

3.「平成27年度国語科研修旅行in甑島」
http://island-ecs.jp/tour/621/
http://www.koshiki-tour.com/
期  日:平成28年3月5日(土)~6日(日)(1泊2日)
時  間: 1日: 8:50(川内港発)~ 9:40(里港着)
(8:20集合)(高速船) 2日:17:10(里港発)~
18:00(川内港着)
*オプション(朝の豆腐屋さん見学及び試食:1000円・ナイトツアー
:3000円・       里ツアー:3000円) 
宿  泊:「甑島館」電話:09969-3-2121
      〒896-1101 鹿児島県薩摩川内市里町里1619-15
    「island Hostel 藤や」(民宿)〒896-1101 鹿児島県薩摩川内
     市里町里172番地
     TEL :09969-3-2212( 山下商店 )
    【WEB】:http://island-ecs.jp/fujiya/
参加者数:7名
参加費 :25,000円(往復高速船代金、宿泊、昼食・夕食・朝食代
込み)
3,360(高速船)・2,500(断崖)・3,000(昼食2)・
10,626(ホテル)・3,360(高速船)・レンタカー(@1,5
00)24,346円

◆プログラム概要◆
 日 程:3月5日(土)(1日目)
 8:20 川内港ターミナル集合
 8:50 川内港発(高速船 甑島)
 9:40 里港着・レンタカーで中甑へ
10:00 中甑着
10:10 中甑港発(断崖クルージング)
12:00 中甑港着
12:10 「寿司膳かのこ」へ(昼食会場)
12:20 昼食
13:40 「寿司膳かのこ」発
14:00 「甑島館」チェックイン着
14:30 観光ツアー出発
甑大明神橋・鹿の子大橋・帽子山展望所・木の口展望所~田之
     尻展望所~
     長目の浜(海岸:ロックバランシング)~「ギャラリーひらみ
     ね」(休憩:里)
18:00 入浴など
19:00 夕食
20:00 斉藤家へ(サイトハウス)
お話会「斉藤きみ子」(児童文学作家)
21:20 フリータイム
23:00 就 寝

 3月6日(日)(2日目)
6:00 山下商店(豆腐屋見学試食:不定休も>希望者5:30起
           床)
 7:00 起床・洗面等
 7:30 朝 食
9:00 里武家屋敷散策(「しまなび」ケンタ君)(「ジェルキャン
      ドル作り」斉藤君)
11:40 里 発~平良港へ
12:00 昼 食 「LunaPiena」
13:30 平良集落散策
15:00 平 良 発 (中甑港待合所:お土産など)
15:20 フリータイム
17:10 里港発
18:00 川内港着・解散

 例年、教科で会費を積み立て研修旅行を実施。日帰り研修もあれば、今
回のように宿泊研修もあります。研修候補地が「甑島」に決まったのは、
皆が行ったことがなくて一泊程度の行程で行けるところ。また、甑島に決
まったのは、嘗て一人の先生が斉藤きみ子さんの講演で感銘を受けその斉
藤さんと歓談できる段取りがついたことです。従って、今回の収穫は何と
いっても里在住の斉藤きみ子さん(児童文学者)に会えたことと同時に2時
間にもわたって貴重なお話をうかがえたことです。勿論、新鮮な海の幸、
甑島断崖クルーズ体験ができたことも望外の喜びでした。時が止まったよ
うなまた昭和の空間に紛れたような気分でした。さまざまに感覚が研ぎ澄
まされた気がしている。
教科の研修旅行を終えて、二日後には生徒を引率して三泊四日の東北旅
行が待っていた。
 東北大震災から5年となる今年2016年3月8日~11日の修学旅行
です。機会がありましたら寄稿したいと考えています。

4.おわりに
 寄稿の決意をして気持ちは高揚したが、日々の仕事や雑事に紛れて執筆
に専念出来ませんでした。冒頭にも記したように責任の一端を果たすべく
これまでの作品を俯瞰して少しでも教科に関連性のあるもので再構成し
た。国語も「能動的主体的学習」(アクティブラーニング)や「ICT活
用授業」も花盛りであるが、20世紀から21世紀の移行期(転換期)に先行的
な研究と実践を行った事実を紹介できたと思っている。私は90年代の初
頭に情報革命が起こったと捉えている。その点を視野に起きいくつもの先
行研究と実践を行っている。この先、未来の教室はどうなるのか。ある程
度の想像は可能であるが、それほどの進歩がないかもしれないし、あるい
は加速度的に進むかもしれない。それはこの道を歩く人が増えることで可
能になるのです。

================================================================
 【本作品関連リンク】
●インターネットを活用したネットワークづくり(数研出版第4号2001年
  9月)
  https://www.chart.co.jp/subject/joho/inet/inet04/inet4_2.pdf
================================================================
 【コラム1】
「霧島プロジェクトに参加して」
 お盆休みに鹿児島で1泊2日で開かれた「第9回未来教育セミナー」霧
島プロジェクトという集まりに参加した。実行委員長である鹿児島の私立
高校の先生、梶原末廣さんに第1回から誘われていたのだがなかなか参加
する機会がなかった。
 参加者約60人のほとんどが九州一体の学校の先生たち。メーンはシン
ポジュウム「生きる力と学力」(新学習指導要領のねらい)。田中孝一・
文部科学省主任視学官の基調提案に続いて同氏がコーディネーターになっ
てシンポが進められ、自分もシンポジストとして参加した。  
 その内容はいずれ報告するとして、実に温かくて気持ちの良い集まり
だった。学校の先生たちのいい部分ばかりを持ち合わせた人たちのように
見えた。知的で、理想を持ち合わせ、真実味があって、控えめ。そして、
いろいろ悩みを抱えている・・・。
谷口泰三(教育ジャーナリスト・元新聞記者)2008年8月17日 (日)
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 【コラム2】
 「ロールレタリング始動 (^_^)v」
 ふと気づけば、2006.6月以来娘の日記を読むことはあっても、自
分から日記を書くことはなかった。理由は、いろいろあるのですが。。。
今は、略!
 ヒロさん(私)から教えて頂いたロールレタリングを始めます。
 昨日、ノート40冊(生徒39名+自分用1冊)とアルミケース(鍵
付)、チェーン、鍵(キー2個付)をそろえたら合計5000円ちょっと
になりました。
 100均で,安いグッズをそろえようとも考えたのですが、中学生たち
にその気にさせるためには、なるべくきちんとした道具を準備することが
大切だと思い、ノート40冊が入るくらいの大きさのアルミ製の工具箱約
3000円、切り売りのチェーン(90cm)約700円、鍵約300円に
したのです。
 本日の学活で、最初に卒業式にこのノートを渡すことを話して、卒業式
当日の自分へ手紙を書き、その後1週間後の自分へ手紙を書かせようと考
えています。
 いろいろとやることも多いのですが、懸案だったロールレタリング、い
よいよ始動します。子どもたちひとりひとりと私自身の密やかな気づきを
期待して。。。
 ロールレタリング初回の記録
 ノートと鍵をケースの中に入れて教室に持って行く。ロールレタリング
の説明をする。
 特にチェーンにつける鍵のキーを1個ずつ代議員に渡す。これで、私が
ケースのキーを別々にもつことが確認できる。代議員は、驚いた様子で、
うれしそうにキーの保管場所を考えていた。卒業式での最後の学活で、こ
のノートと卒業証書だけを渡すことを話し、卒業式の自分の姿を考えさせ
る。ノートを配り、表紙に名前を書かせた後に、一番最後のページに卒業
式の自分へ手紙を書かせる。書き終わった生徒には、1週間後の自分へ手
紙を書かせる。
 文章の最後には、書いた日付も記入するようにさせる。
 15分タイマーをかける。
 私も机に座って、ノートに書き始める。
 一気に1ページ文字でうまる。
 涙があふれて、思わずハンカチでぬぐう。
 生徒たちもノートに向かっていたので、気づかれなかった?
 ノートを集め、タイマーと一緒にケースに入れる。
 2重に鍵を掛けて、教室の机の下におく。
 欠席の分のノートは、ケースにいれずにおく。
 次回までにかかせるか、次回から始めるかにしよう・・・。
 書けない者がいる。集中してたくさん書いた者もいる。
 続けていくことが大切だと思う。
 卒業式のことを考えて、現在の机がうまらない状況を考えて、落ち込ん
でしまったようだ。同僚から元気がないと声をかけられた。
 放課後、教室に残っていた生徒と「このケースは重いし、鍵も二重にか
かっているし、泥棒が間違えて盗んで行ったら、泥棒はノートしか入って
いないので驚くだろうね」と話す。
 (中高MM購読者&霧プロスタッフ)

 【コラム3】
▼子どもの心中学校で <5> 面談「自慢していいぞ」
 授業が終わって教室を出た時だった。当時1年生のR子が「先生、あの
クリアファイルに何を入れればいいの?」と聞いてきた。
 「自分の好きな物、自慢できる物でいいんだよ」
 「うーん、難しい……」
 学校では毎年、5月下旬に三者面談を行っている。学校生活に適応し、
学習面と生活面のバランスがとれているかどうか、本人と保護者に確認す
る。
 その資料として、私は生徒に「パーソナルポートフォリオ」を作らせて
いた。教育界における「ポートフォリオ」とは、学習の過程で生徒が集め
た資料やメモ、作品などを保存した学習ファイルを指す。時系列に保存す
ることで、本人の学習歴や進歩がわかる。生徒の新しい評価法として採用
されだしている。
 私はそれを、生徒自身の自己発見に利用している。自分の良い所を10
個記入させるとともに、自分らしい物を5、6個集めてクリアファイルに
入れさせる。面談では、それを使って保護者と私に自己紹介させるのだ。
 ホームルームでポートフォリオの作り方を説明した。私が「うーんと自
慢していいぞ。歌がうまいとか、駆けっこが速いとか、記憶力抜群とか
ね」と言うと、ある生徒が「足が長いとか、もてるとかでもいいの?」と
言って笑わせた。だが、R子はその時間中、ずっとうつむいていた。
 R子の三者面談が来た。少し心配していたが、取り越し苦労だった。小
さい時から絵や書道が好きなことや、バイオリンが相当の腕前だというこ
とを、書道の表彰状やバイオリンの発表会の写真を基に紹介してくれた。
 あれから2年。最上級生となったR子は毎週発行する学級通信に挿絵を
描いてくれている。 (2005年10月 Y新聞)
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【コラム4】
1.新連載『eトーク』 たかがメルマガ、されどメルマガ
 大海に墨汁をたらすような心もとない作業ですが、こうしたメルマガの
コラムも発信を続けていれば何がしかの反応はあるものです。これまでに
何人かの先生方とこのコラムを通じて知り合いになりました。あるいは、
先日は「読みました。出張で東京へ行くから会いませんか」というメール
も旧知の先生からいただきました。
 早くも梅雨が明けたかと思わせるほど暑かった12日の日曜日。秋葉原
電気街で数年ぶりにその先生、鹿児島市の志學館中等部・高等部教諭、梶
原末廣さん(52)と落ち合いました。開口一番「いやーもう疲れました
よ」と梶原さん。情報教育の“伝道師”さながらに八面六臂の活躍を続け
てきたが世の中はなかなか思うように進んでくれないという嘆きのようで
す。しかし、しばらく話しているうちに彼の情熱が衰えるどころかますま
す高まっていることを知りました。
 梶原さんと実際に会ったのは6年前の6月ですが、その1年以上前から
仕事上の協力をお願いしていました。当時、毎日小学生新聞、毎日中学生
新聞(いずれも日刊タブロイド紙)の発行部署にいた私は、毎日学校電子
新聞を始めました。NTT主導の「こねっとプラン」とタイアップして9
7年秋に創刊、約3年半発行したウェブ上の新聞です。当時まだ珍しかっ
たPDF利用による縦組み約14ページの週刊新聞でした。子どもと先生
が原稿を書くのを基本にした発信型教育の1つのチャレンジのつもりでし
た。
 電子新聞作りのための指導者を求めて、私は全国にアンテナを張りまし
た。そこでキャッチしたのが梶原先生です。一度は会って話をしたいと9
9年6月、鹿児島へ飛びました。梅雨の列島に迫る台風のせいで離陸から
着陸まで窓外は雲の絨毯が続き何も見えません。それでも「情報教育を草
の根で切り拓く先駆者の一人にもうすぐ会える」という期待で退屈な機内
も苦にならなかった記憶が今も鮮明です。
 秋葉原のマクドナルド店内。ひとしきり情報教育の厳しい状況を話し
あった後で梶原先生が1枚の名刺を取り出しました。そこには「中・高校
教師用ニュースマガジン」のインターネット編集長と書かれていました。
マガジンの内容はホームページ
 http://www.synapse.ne.jp/%7Ekanoyu/sukaji/index.html
を見てください。その中にマガジンが1000号を迎えた2004年6月
に南日本新聞に紹介された記事があり、経緯が分かりやすく書かれていま
す(コンテンツ欄の「教師用メルマガ1000号」をクリック)。なんと
日刊マガジンなのです。「目下部数は1683部。覚えちゃってますね」
と梶原先生が少しはにかみました。多いと見るか少ないと見るか、取り方
は様々でしょうが、私はそのはにかみにマガジンに込める並々ならぬ思い
を感じました。日々動く部数(登録者数)を入念にチエックしているので
す。媒体作りに携わる同業者としてその気持ちは痛いほど分かります。
 毎日深夜に寄稿を整理してメルマガを発行するエネルギーは、当然他の
活動にも波及します。8月16、17日に予定している未来教育セミナー
「第6回霧島プロジェクトin川辺」など梶原さんが推し進めている活動
は実に多彩です。メルマガなどを通じたネットワーク作りが大きな推進力
になっているのです。
 「外に広く同士を求めて、ネットワークの力で情報教育を少しでも発展
させるためにやっていきます」。熱っぽく語る梶原さんは、さながら日本
の夜明けを熱望する薩摩隼人の風情でした。
 連れの方を交えて4人。若者のようにマクドで2時間も話し込んでしま
いました。このへんがオフラインのすごいところなのですが、きっかけが
ネットであったことを忘れずに、私もうまずたゆまずこのコラムを書いて
行こうと思ったものでした。別れてすぐに「中・高校教師用ニュースマガ
ジン」(無料)の配信申し込みをしたことは言うまでもありません。
谷口 泰三(M新聞社紙面審査委員)          

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◆石川さん・北見さん・城ヶ崎さん・
  杉本さん・鈴木さん・山部さんセミナー◆
【第18回霧島プロジェクトin国分】
日 時:2017年7月29日(土)(13:00~18:00)
             ~30日(日)(9:10~16:30)
場 所:29日「国分パークプラザ」霧島市国分中央3丁目9-20
    0995-46-4401
30日 「サン・あもり」霧島市隼人町見次1371
     0995-43-3373
対 象:保育・小・中・高校・大学の教師及び教育に関心のある方
人 数:40名
参加費:4,000円(全日程:資料代を含む)(大学生は3,000円)
主 催:霧島プロジェクト(運営実行委員会)
運 営:ボランティアで行う
後 援:日刊「小&中・高校教師用ニュースマガジン」
懇親会:「一茶」29日夜7:00 霧島市国分中央3-14-5
0995-46-0863

●お申し込み方法(申込締切:7月28日(金))
1.連絡問い合わせ
   Mail:kanoyu@po.synapse.ne.jp・携帯:090-1346-3090
2.下記のフォーム入力でも受付いたします。
     申し込みフォーム: http://form.mag2.com/ronotridai
◆日程及び内容◆
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2017年7月29日(土)第1日目(会場「国分パークプラザ」)
9:00 スタッフ集合・打ち合わせ・諸準備
12:00 受け付け開始
13:00 開講式 13:15 自己契約、名札をつける
13:30 出会いのワーク・知り合うワーク(SGE)
14:00「ハイブリッド保育?9割のアナログ保育と1割のデジタル保
育?」(セッション1)杉本正和さん(鹿屋つるみね保育園園
   長) 
15:10 「授業・クラスを革新するために~協同学習、ゲストティー
   チャーなど~」(セッション2)石川 晋さん(NPO法人授業づ
   くりネットワーク理事長・元北海道公立中学校教諭)
16:40「18歳選挙権時代の公民教育~新学習指導要領をふまえて」
(セッション3)鈴木隆弘さん(高千穂大学教授)
17:50 1日目 終了
19:00 懇親会(「一茶」霧島市国分中央3-14-5 0995-46-0863)
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2017年7月30日(日)第2日目(会場 「サン・あもり」)
8:30 受 付
9:10「志共育(志を共に育む)体験会」
(セッション4)北見俊則さん(一般社団法人志教育プロジェクト
  専務理事/前・横浜市立上永谷中学校校長)
10:50「子どもらしさをつぶさない、受け止めるしどうほう!」
(セッション5)城ヶ崎滋雄さん(千葉公立小学校教諭)
12:10 昼食
13:10「これからの教育2020年を考えるシンポジウム」
(セッション6)(全参加者)
14:40 休憩
14/50「命の育て方授業」
(セッション7)山部三千代さん
15:50「別れの花束」(SGE)担当:実行委員会
16:20 閉講式
16:30 解散
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 私の活力の源が「中高MM」と「霧プロ」です。「かごしま朗読Ca
fe」と「さかのうえ哲学カフェ」と「まちさるく会」も継続していま
す。今回、ほぼ20年を俯瞰しましたが、この振り返りが未来へつなが
るものと信じて入力を終えます。長文を最後まで読んでいただきました
ことに感謝申し上げます。
 さあ、今年も楽しみの霧プロを開催します。遠方ですが、どうぞ鹿児
島にお起こしください。皆さんに会えることを愉しみにしています。

梶原末廣
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 梶原さんの活動内容は多岐にわたり、それを一挙にご紹介することは
困難です。ただ今号をお読みいただいてお気づきの通り、2000年前
後の総合的な学習の時間の登場以前から、一貫して、学校の外と内との
「越境」の必要を説いてきた先駆的な実践者・イベンターです。
 私自身も中高MMや霧島プロジェクトの動きに大きな刺激を受けながら
新しい学校教育の動きについて考え続けてきました。今夏もご縁をいた
だき、久しぶりに鹿児島で再会できることを楽しみにしているところで
す。
 梶原さんの編集する中高MMは、次のサイトから購読手続きできます。
 http://www.mag2.com/m/0000027395.html

 教員が育っていく過程において、書く・記録するということは非常に
重要なファクターの一つであろうと思います。すぐれた実践の多くはそ
の実践を記録する文体の開発を伴って広がったという歴史もあると思い
ます。梶原さんの功績の大きな一つは、学校の内と外との「越境」の他
にもう一つ、自分の教育実践を内省したり、他に伝えたりする機会をた
くさんの人たちに用意してきたこと、新たな書き手を発掘し育てるとい
うことがあると私は分析しています。
 今授業も教室づくりも(部活動も)新たな局面を迎えつつある状況で
「学校を巡る記録」はどのように進められていくか。新しい状況に見合
う新しい「記録」はどのようになされるべきか、このことも改めてみな
さんと真剣に考えてみたいテーマです。

 次号は、7月21日金。梶浦真さん(教育報道出版社 代表)です。
総合的な学習の時間登場の前後から、学校のすぐ外から、学校の在り様
について、丁寧に議論を投げかけてきてくださった編集者・ライターで
す。

================================================================
メールマガジン「教師教育を考える会」
6号(読者数2370)2017年7月18日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます
※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです

◎教師教育を考える会
のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000158144/index.html?l=odt096a77f

◎教師教育を考える会
の配信停止はこちら
⇒ http://www.mag2.com/m/0000158144.html?l=odt096a77f

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【教師教育メールマガジン5号、宮田純也さんです!】 - 2017.07.11 Tue


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メールマガジン「教師教育を考える会」5号
                     2017年7月11日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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  "未来の先生展"の挑戦
未来の先生展 実行委員長
宮田 純也

http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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 第5号は、宮田さん。全くのゼロから10000人参加を目指す「未来の先
生展」開催を目指す方です。無謀ともいえる試みに、チャレンジする宮田
さんの、教師の学びの場づくりへの思いを語っていただきます。じっくり
お読みください。
 なお、さらに4名の方が書き手として参加してくださることになりまし
た。最後にご紹介しておりますので、ご覧ください。   (石川 晋)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  "未来の先生展"の挑戦
未来の先生展 実行委員長
宮田 純也

1. 自己紹介と「未来の先生展」実施の背景

 みなさん、はじめまして。宮田純也(みやたなおや)と申します。
 私は今回、未来の先生展というイベントを企画しました。
 2017年8月26日(土)-27日(日)武蔵野大学 有明キャンパス (東京都江東
区有明3-3-3)を会場に開催します。参集人数10000人を目指す、我ながら
無謀な試みです。
 http://www.mirai-sensei.org/

 まずは、なぜそのような大きな場づくりに挑戦したいと考えているかを
お話しします。

 私は今までにオルタナティブ教育の普及を目指すNPO法人の理事を行う
などの経験や、行政や私教育など、さまざまな教育の取り組みを拝見する
機会がありました。その中で、よく言われているように同じ教育業界の中
でも、現状は、それぞれが”タコツボ”化ともいえる状況になっているん
だなあということに気づきました。また、多くの方が「主体性を育む」と
いった理念を同じくしながらも、そのアプローチにずいぶん大きな違いが
あるんだなあということにも気づきました。

 一方、私は異なる業界から教育業界を見つめる機会もあるのですが、残
念ながら日本社会において教育の重要性や社会的意義について十分に理解
が進んでいるとは言えないとも感じています。教育というのは大切だとい
うことに異議を唱える人はあまりいませんが、相対的に重要性を低くとと
らえられている、社会的地位が相応ではないと思っています。
 教育業界の側から、日本社会に対して教育の社会的意義を訴え、取り組
みの有用性を認知してもらい、社会的地位の重要性を唱える機会を創るこ
とが必要なのではないかと漠然と考え始めました。

 そもそも、いわゆる”タコツボ”化すれば、個々の活動の規模も小さく
なってしまいます。それらの活動に横串をさすことで何か新しい動きが起
こるのではないかと思い立ちました。ICT、先生方のサークル活動、普通
の学校法人…様々な方々の実践を互いに見合うことのできる場を創り、相
互につながりあうことで何か領域横断的なものが生み出されるのではない
か。そういったことで教育業界全体を盛り上げていこうという目的とコン
セプトを持って、今回、「未来の先生展」を開催しようと考えました。

 幸い武蔵野大学のキャンパスを貸し切りにして実施させていただけるこ
とになっています。こうした規模のイベントはEDIXやNew Education Expo
などがありますが、あくまで来場者やプログラム提供者の学び・交流に特
化しているイベントはあるようでないということも、開催を決めた理由で
す。

2. 未来の先生展で目指すもの

 未来の先生展は多元的な教育を支援することによって多元的成熟社会の
実現を図ります。具体的には、多領域(営利・非営利、公教育・私教育、
国内・国外など)からなる教育実践家を集めます。教育実践家がそれぞれ
の取り組みや概念、プロダクトを紹介するだけではなく、交流を図ること
による創発を目指します。これによって、参加⇒発見⇒つながる⇒生まれ
る、こうした循環を生み出し、参加者のみなさんと新しい社会における未
来の先生・教育の形を素描していきます。

 教育と学びは、未来を創る営みです。子どもたちや私たちがよりよく生
きていこうとするとき、教育と学びの果たす役割はとても大きいと言えま
す。まだ知らない知識との出会い、人との出会い、知らなかったことを知
ることや、考え方が深まること、物事に対する興味関心が増えていくこと、
より楽しく充実した人生に向かって歩むこと、これらは教育と学びが貢献
できることの大きな部分ではないでしょうか。

 AIの登場をはじめとする技術革新は私たちの生活を大きく変化させる
と言われています。そして、国際政治においては新たな秩序が生まれつつ
あるなど、私たちの社会・未来は大きく変わってきています。
 しかし、どんなときであっても、未来は私たちが創り上げるものです。
そこで、子どもたちの未来を拓く取り組みを広く集めようと考えました。

 この活動を推進することによって、まなびの未来・未来の先生を素描し
ていきます。未来の先生展では、教科教育からスポーツ、芸術まで、そし
ていわゆる学校の枠にとらわれないオルタナティブスクールなど、未来を
形作るという文脈で学校の先生を中心にして多くの教育実践家が集いま
す。従来、こうしたイベントをこの規模でやろうという試みは存在してい
ませんでした。
 多領域・他分野横断型の学びを実現するために、当日は学校教育から芸
術・スポーツに至るまで、国内外から多くの分野・領域の組織や個人が集
まります。参加者がそれぞれ興味関心に沿ったプログラムへ参加して学ん
だこと・気づいたことを参加者同士の対話(随時、対話を行うプログラム
を実施)によって深めていきます。こうすることで、対話によって学びを
深め、環境によって主体的・対話的で深い学びを体験することを目指して
います。

 最終的に目指すものは、体験型“未来の教育 ショーケース”です。
 「未来の先生展」が、学ぶ続ける教師を支援し、社会一般が教育の重要
性や社会的意義を認知し、絶えず日本の教育や社会の未来が紡がれていく
一助になれればと思っています。

3. 当日の内容

 一部の内容をご紹介します。※詳細・最新情報はHPでご覧ください。
 http://www.mirai-sensei.org/

◆北欧の教育と社会を学ぶ
 デンマーク・フィンランドをはじめとした北欧諸国は教育の先進性が評
価され、社会の成熟度の高さが日本でも有名になっています。北欧諸国に
ついて、オランダなどの事例を加えながら学びます。同時に、北欧諸国に
ついて深く学び理解するために、北欧諸国をオンラインでつなぎ、リアル
タイムでディスカッションをする機会も用意しています。滅多にないこの
機会をお見逃しなく。 ※同時通訳あり

◆「ミネルバ大学」 創立者兼CEO ベル・ネルソン オンライン講演会
 大学の在り方を根本から問い直す! 全学生が世界の7都市に滞在して
真のリベラルアーツを学ぶ、全寮制の「ミネルバ大学」に世界が注目して
います。ハーバード大学合格者も入学する全世界注目の大学「ミネルバ大
学」について、創立者兼CEOが語ります

◆中学生・高校生による発表
 中学生・高校生がデザインシンキングを用いて製作した企業の課題解決
プロダクトの発表や、高校生がこれからの教育を議論して作成した小学校
での授業案など、主体的に取り組んだプロダクトや教育の発表を行いま
す。

◆第6回アクティブ・ラーニングフォーラム(主催:一般社団法人アクティ
ブ・ラーニング協会)
 書籍『伝え方が9割』の著者として、今注目されている佐々木圭一氏
や、「論理エンジン」の開発者として著名な出口汪氏など、多彩な講師陣
が登壇予定です。

◆映画『みんなの学校』上映会
 “すべての子どもに、居場所がある学校をつくりたい。””学校が変わ
れば、地域が変わる。そして、社会が変わっていく。”(パンフレットよ
り)数々の賞を受賞した『みんなの学校』上映会を行います。 c関西テレ
ビ放送

◆持続可能な開発目標(SDGs)
 2015年から2030年までに国際連合加盟国 で取り組むことになった、貧
困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などから構成される持続可
能な開発目標(SDGs)の説明を通じて、教育現場での活用の可能性や実践
例について、そしていかに世界の課題を自分事としてとらえ、チェンジ・
メーカーとして関わっていくのか、等についてのシンポジウムやワーク
ショップを行います

◆日本財団パラリンピックサポートセンター主催ワークショップ&模擬授

新教材「I'm POSSIBLE」を用いた現場でのパラリンピック教育実践例を
説明します。(参加者に教材セットをプレゼント)

◆Teach Meet Tokyo
2006年にイギリスで開催されて以降、アメリカなど多数の国で開催され
ている教員向け イベントTeach Meetを日本で初開催します。

◆対話・ファシリテーション
 主体的・対話的で深い学びを環境や体験によって学ぶことが出来るよ
う、対話やファシリテーションを実際に行うことで学ぶプログラムも多数
用意しています。ワールドカフェやファシリテーショングラフィック、レ
ゴを用いたリフレクションなど、各プログラムでの学びを最大化させ自分
のものにできる仕組みを用意しています。

◆より良い働き方を目指そう ~アクティブワーキングとは~
田中 光夫 氏(フリーランスティーチャー)

◆先生のワーク・ライフ・バランス ~制度を変えなくてもできること~
澤田 真由美 氏 (学校専門ワーク・ライフ・バランスコンサルタント)

◆誰でもできるワクワク道徳授業の作り方             
丸岡 慎弥 氏(大阪市立香簑小学校 教諭)

◆子どもたちの心をつかむ社会科授業の作り方
古川 光弘 氏(兵庫県佐用町立三河小学校 教頭)

ほか多数のプログラムを用意しております。

〇講演・登壇者等一覧(調整中含む)

・永田 佳之 氏(聖心女子大学文学部教育学科教授、同グローバル共
生研究所副所長)
・吉田 敦彦 氏(大阪府立大学副学長、同学生センター長)
・古山 明男 氏(古山教育研究所所長)
・石黒 和己 氏(NPO法人青春基地 代表理事)
・石川 一郎 氏(香里ヌヴェール学院中学校・高等学校 校長)
・小泉 和義 氏(ベネッセ教育総合研究所 副所長)
・藤牧 朗 氏(目黒学院中学・高等学校 教諭)
・佐藤 徳紀 氏 (一般社団法人Teacher's Lab. 代表理事)
・根本 かおる 氏(国際連合広報センター 所長)
・藤原 誠 氏(文部科学省初等中等教育局 局長)
・白井 克彦 氏(元早稲田大学総長、元放送大学学園理事長)
・井之上 喬 氏(株式会社井之上パブリックリレーションズ 代表取
締役会長)
ほか多数

〇開催概要(7月10日現在)

タイトル:“未来の先生 展”2017
会 期  :2017年8月26日(土)-27日(日) 10:00-18:00(9:30会場、
20:00完全閉場)
会 場  :武蔵野大学 有明キャンパス (東京都江東区有明3-3-3)
主 催  :未来の先生展実行委員会
共 催 :一般社団法人Teacher’s Lab.
後 援  :文部科学省(予定)、総務省(予定)
協 力(五十音順):NPO法人ADDS、株式会社a.school、株式会社
うちゅう、NPO法人Chance For All、株式会社CURIO SCHOOL、
Dare to Learn、NPO法人eboard、Genkei合同会社、
株式会社Findアクティブラーナー、iTeachers、
株式会社IPイノベーションズ(UMU)、
NPO法人Learning For All、株式会社Sapience Sapience、
NPO法人Teach For Japan、tanQ株式会社、
一般社団法人Teacher’s Initiative、VARKEY Foundation、
YES International School、NPO法人アイセック・ジャパン、
アクティブ・ラーニング学会、一般社団法人アクティブ・ラーニ
ング協会、株式会社朝日学生新聞社、NPO法人アフタースクール、
NPO法人いきはぐ、英語教育・達人セミナー、NPO法人カタリバ、
一般社団法人コアプラス、国際連合広報センター、
NPO法人授業づくりネットワーク、学校法人シュタイナー学園、
株式会社小学館、知窓学舎、一般社団法人21世紀学び研究所、
日本財団パラリンピックサポートセンター、反転授業の研究、
公益財団法人ベネッセこども基金、未来教育会議、
みらいの学校、株式会社ユニバーサル・エデュケーション 他
協 賛(五十音順):ウェブリオ株式会社、株式会社教育と探求社、
株式会社日本パブリックリレーションズ研究所、株式会社ネ
リーズ、株式会社ホンモノ、株式会社リタリコほか
参加&来場者:日本全国の教員及び教育関係者そして教育に関心のある
一般
入場料 :高校生以下      0円
大学生・大学院生 1,000円(1日のみ)・2,000円(2日間)
大人       2,000円(1日のみ)・3,000円(2日間)


4. 今後の展望

 毎年開催し、教育を盛り上げる象徴的なイベントにしたいと思ってい
ます。3月に”未来の先生展Global”という、世界中の教育を直にオン
ラインでつないでディスカッションするグローバル特化版の開催を検討
中です。学びを支援するために、いろいろな気付きや示唆があるイベン
トにしたいと思っています。

5. おわりに

 主体はあくまで来場者です。みなさんのご参加をお待ちしております。
お力添えいただける方もお気軽にご連絡ください。読んでくださってあ
りがとうございました。
E-mail : n_miyata@teachers-lab.org

======================================================
 私は本メールマガジン2号にも書きましたが、民間教育研修会で精力
的に学びの場を創ってきました。しかし、近年学校教育を巡る様々な動
きの中で、若手の教職員やその周辺の人たちが創る在野の活動の形、学
びの場の形が、大きく変容しつつあることを実感しています。
 やり方や進め方の段階から、これまでの活動に精通してきた人たちと
の小さくはない衝突も起きていると聞いていますが、私自身は、彼らの
動きが順調に伸びていくことで、新しい教育者の登場を促していくこと
になるのでは、と期待してやみません。
 宮田さんもまた若いイノベーターの一人です。大きな夢が、何年かの
時間をかけて花開き、未来の先生たちが育っていくといいなあと思って
います。

【新たに書き手としてご協力いただけることになりました】

 新たに岩田将英さん(柏市教育委員会学校教育部指導課指導主事)、
岩渕和信さん(神奈川県山北町立山北中学校教頭)、金大竜さん(大阪
市立新高小学校教諭)、平井良信さん(有限会社カヤ プレイフルプロ
デューサー)の四人の方にご執筆いただけることになりました。現職の
指導主事、一般教諭、行政経験を経て中学校の教頭を務める方、そして
在日韓国人3世である現職教諭、教師教育に関わる映像プロデューサー
のご協力です。大変感謝しております。
 執筆の日程は以下の通りになります。ご期待ください。

11月10日金 岩田将英さん(柏市教育委員会学校教育部指導課指導
               主事)
12月15日金 岩渕和信さん(神奈川県山北町立山北中学校教頭)
2月23日金  金大竜さん(大阪市立新高小学校教諭)
3月2日金   平井良信さん(有限会社カヤ プレイフルプロデュー
               サー)

 前号からさらに読者が増えました。2400人が見えてきました。引
き続き、みなさんの周囲に、本メールマガジンの存在をお伝え下さい。

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メールマガジン「教師教育を考える会」
5号(読者数2360)2017年7月11日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)

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石川晋

Author:石川晋
北海道の中学校教師を退職しました。
都内に潜伏して、ゆっくりのんびりしなやかに、教育、芸術、自然の話をしながら、これからの自分のことを考えつつ、新しい状況に対応する「学びのしかけ」のことを考えて行きます。facebookアカウントは、
https://www.facebook.com/profile.php?id=100000528475920
ぼくにできそうなことは、どんどんお受けしますので、遠慮なくお知らせください。FBのメッセンジャーが一番確実です!

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